担当編集者は知っている。


『EDU-TOY
 ネフとヨーロッパの木製玩具たち』

著者:小柳帝
価格:3,360円(税込)
発行:プチグラパブリッシング
ISBN:4939102661
【Amazon.co.jp】はこちら

「ほぼ日手帳2006」のページで使われている
カラフルで、たのしさがつまっていて、
ぬくもりがある積み木。
その積み木の生みの親である
ネフ社の作品を紹介するすてきな本です!
創業者のクルト・ネフさんいわく、
「子どもはおもちゃを通して、世界を知って行く。
 だからこそ、美しい優れたおもちゃを
 子どもたちに手渡すべき。」‥‥
大人も夢中になる美しいEDU-TOYの数々や、
玩具デザイナー、製造現場を丁寧に取材した
日本初の本です。
担当編集者の上條さんにお話を伺いました。
(「ほぼ日」渡辺)

************************************

担当編集者/上條桂子


この本の企画はぐぐっと種の段階まで溯ると、
話を2000年の夏まで戻さねばなりません。
当時、神戸の芦屋市美術館にて
「クルト・ネフ/デザインとおもちゃ」展
が開催されていました。

著者の小柳帝さんは、映画や音楽、
あとは60年代のグラフィックデザイン、
イラストなどに非常に造詣が深いライターさん。
知育玩具についても見識が深く、
ネフ社のデッドストックものやカタログも
コレクトしている、いわゆるネフマニアのひとり。
当時から「Educational」と「Toy」の造語
“EDU-TOY”という言葉を提唱し、
知育玩具のなかでも優れたデザインの
大人が見て触っても楽しめる玩具のよさを
伝えてきていました。
それはプチグラパブリッシングで発行していた
『PetitGlam』というシリーズの
単行本の中でも書いてあります。
プチグラパブリッシングの代表伊藤高氏と
小柳さんの間では、
もうこの時に本の企画が立ち上がっていたのです。

ネフ社の創設者であるクルト・ネフ氏が
展示のために来日した際に小柳氏がインタビューに赴き、
玩具に対する想いを伝えスイス取材を敢行することに。
その裏側には、ネフやヨーロッパの玩具を
日本に初めて紹介した吉祥寺にある
木製玩具店“アトリエ・ニキティキ”の西川敏子さんの
強力なお力添えがあったことも書いておかねばなりません。

そして、2000年の8月にスイス取材が終わり、
その後ニキティキの協力を仰いでの大量の商品撮影も終了、
いよいよ本ができるかと思いきや、
なかなかそうはいかなかったようです。
小柳さん、伊藤さんともに忙しく、
二人で顏を合わせるのも困難なほど。
こだわって作りたい本だからこそ、
なかなか前には進みませんでした。
そんなこんなで数年経ってしまい、
プチグラ周辺では「知育玩具本はオクラ入りなのか??」
「あの本は幻なのか?」と噂にまでなっていたそうです。

そして2004年6月、伊藤さんより私に
「知育玩具本の編集をやらないか」
というお話をいただきました。
私自身、絵本や玩具が大好き。
話を伺った時はすごく嬉しかったのを覚えています。
ですが、この本は4年前からの小柳さんや伊藤さん、
ニキティキのみなさんの想いが詰まっている企画。
その年月分の想い、気持ちを
一気に理解して前に進めなければなりません。
そして、歴史ある木製玩具、ヨーロッパの玩具、
そして玩具デザイナーや工場をまとめて紹介する
日本で初めての本になるわけです。

最初は「好きだけど、知識がまったくない私に
 担当編集が務まるのだろうか」と
かなり不安になってしまいました。

まずは、その4年間でたまった取材資料を
すべて紐解くところから始めました。
ネフ関連の文献を読みあさり、ネフ氏の講演を聞き返し、
小柳さんがスイス取材の時に収めてきた
ビデオをすべて見る。
ものすごい量だったのですが、
なぜかあまり苦にはなりませんでした。
だって、ネフ社の内部の映像や工場で働く人の息遣いや、
ネフ氏のご自宅での様子が動く状態で見れたのですから。
会議室でテレビ画面を前に、心は小柳さんと一緒に
夏のスイスの気持ちいい風が吹き抜ける、
ネフ氏の邸宅にトリップした気分になっていました。
ネフさんのお庭の写真がこちらです。



ネフ社を代表する玩具をいくつかご紹介しましょう。
まずはクルト・ネフ氏によるデザインの
「ネフ・スピール」。
リボン型の木片を積み上げていきます。



そしてデザイン玩具としてファンも多い、
ペア・クラーセン氏によるデザインの
「キュービックス」。

この玩具は、積み上げ方の工夫次第で
本当にたくさんのカタチを生みだすことができ、
革新的な玩具として発売当初称賛の的になったそう。
私も持っており、原稿に詰まった時などは
頭を柔らかくするために積んでいます
(余計イライラすることもありますが‥‥)。
良質な木を使っているので、
崩れる時の音もまた心地いいんです。

また、本書では日本で初めて紹介すると言っても
過言ではない玩具デザイナーが登場しています。
それはアントニオ・ヴィタリ氏です。
小柳氏が敬愛するデザイナーの一人で、
写真で見ただけでもすごく素敵な方でしょう。



ヴィタリ氏は玩具に対する想いが非常に強く、
またモノ作りに対するこだわりも非常に強い方。
それもあって残念ながら、現在では
ヴィタリの玩具を製造しているメーカーがないのです。
今回掲載しているのは、取材時の写真と
小柳氏とニキティキの所蔵品。
今はどこにも売っていない貴重なものばかりです。



これは、ヴィタリ氏の作品である「2頭の象」。
写真からも伝わってくるツルツル感が素晴らしい!
ずーっと握って、なでていたい気持ちよさです。

デザインのいい玩具って、見ているだけで癒される
というのを実感しながらの作業でした。
玩具の撮影点数も膨大な量だったのですが、
ポジを見ているといつのまにか
ニマニマしている自分がいるんです。
玩具の力ってすごいですよね。

また、この本で多大なご協力をしていただいたのが、
アトリエニキティキの川島冬香さん。
撮影時だけではなく、玩具のキャプション部分や
遊び方の説明、最後のメーカー紹介部分は
川島さんの力がなければ実現できませんでした。

そして最後に、この本を素敵にデザインしてくれたのは、
デザイナーの岩淵まどかさん。
小柳さんもプチグラ伊藤さんも、
文句なしのデザインに仕上げてくれました。
見本を見たときには、もうなんとも言えない嬉しさで
胸がいっぱいになりました。

ヨーロッパの木製玩具の素晴らしさが
ギュウギュウに詰まった、
子どもから大人まで見て楽しめる本です!
そして、小柳さんの玩具に対する愛情とやさしさが
伝わってくる文章も読みやすくて魅力的。
めくっているだけでほっと心があたたまる、
大人にこそ読んで欲しい一冊。
永久保存版です!

************************************


『EDU-TOY
 ネフとヨーロッパの木製玩具たち』

著者:小柳帝
価格:3,360円(税込)
発行:プチグラパブリッシング
ISBN:4939102661
【Amazon.co.jp】はこちら

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-09-16-FRI

BACK
戻る