担当編集者は知っている。


『コラム息切れ』
著者:小野 法師丸
価格:1,000円(税込)
発行:現代書林
ISBN:4774506907
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この本を企画した鹿野さんは、
出版社で営業の仕事をされていて、
本を作るのは初めてだったそうです。
営業の鹿野さんが初めて本を作ろうと
決意された偶然の出会いや、
営業マンの自分と企画者の自分のせめぎ合い、
そして本ができていく喜びを語ってくださいました。
また、鹿野さんと二人三脚でこの本を作られた、
編集の武藤さんに、本書のために書き下ろされた
「月刊鎧ライフ」のウラ話やオススメの読み方を
お伺いしました。

(「ほぼ日」弥絵)

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企画者
/現代書林 鹿野青介


●「象滑り台」のこと

まずは、こちらの写真をご覧ください。



この滑り台、営業で取引先をまわっている最中、
偶然出くわしました。
「気の弱い子は、泣き出しちゃうんじゃないか‥‥」
社に戻り、デスクのパソコンで情報を検索した私は、
巨大象滑り台の衝撃を独自なやり方で受け止めた
一人の人物に出会いました。
小野法師丸さんの個人サイト「テーマパーク4096」には、
この公園の詳細なレポートがあったのです。
そしてこの「テーマパーク4096」には
「コラム息切れ」という
小野さんのコラムのページがありました。

●「コラム息切れ」のこと

小野さんの文章は実に奇妙な味わいを持っていました。
日常の流れのあちこちに散らばっている
あるかないかのでっぱりに律儀にけつまずく。
転んで潜った流れの底から、
小さな小さなでっぱりを楽しむのにふさわしい
無駄のない言葉の塊をきちんと引き上げてくる。
これは、普通なら見逃してしまうような
出来事のささくれを、常人すれすれの感覚で捉え、
見事に転ぶ文芸といっていい。
入社以来、営業部に所属していた私は、
臨時の企画担当者として、
「コラム息切れ」の単行本化を会議で提案していました。

●本の「外見」のこと

企画が正式にスタートした段階で、
この本は、息抜き、あるいは気晴らしと
呼ばれる楽しみを、きっちり提供できるものになる
という確信がありました。
中身は、この線に沿って、
著者と、技術面・作業面をバックアップしてくれる編集者と
企画担当者(兼一ファン)の私とが組んで
作っていけばいいとして、
先決しなくてはいけないことがありました。
読者とこの本の「出会い」の現場を左右する、
本の「外見」です。これは営業担当(私)が、
企画担当(私)に出した重要なリクエストでした。

遠慮を知らない脳内営業担当曰く。
ご案内の時、外見部分が決まっているのといないのでは、
書店さんの理解や協力体制に大きな差が生じる。
本で息抜きや気晴らしをしようという方は、
なにかの合間に、書店さんに駆け込むケースがほとんど。
本選びに使える時間は短い。
だから、小野さんのサイトを知らない方にも、
この本の楽しみがスッと伝わるように工夫して欲しい。

著者と編集者と企画担当者、
うんうん唸って本の「外見」を考えました。
オビに掲げるメインのコピーは?
この本を読めば、仕事や遊びの流れを断ち切って、
次の流れが起こるまでの空白をしっかり楽しめる、
そういうメッセージを込めて、
「人生、一時停止。」これでいってみよう。
カバーデザインは?
小野さんの作品は、普通に暮らしている人たちを取り巻く
小さなリアルに、転びながらもしっかりと関わっている。
だからこそ面白いし、共感できる。
そこが伝わるように、
現実的な存在感のある写真を使ったらどうだろう?
ああでもないこうでもないと考えた末、
「ほぼ日」の福田利之さんの「フォト絵」が、
【目で見る「人生、一時停止。」】ではないかと
気づきました。

「フォト絵」のこと 

小さなリアルが組み替わって
別のリアルが現れてくる面白さを持ったフォト絵。
作品の方向性は違うものの、
創作の出発点にある、切り取られたリアルのサイズと、
日常の中での立ち止まり方(「一時停止」状態)に
小野さんの作品に通じるものを感じました。
著者を含めた三人組、興奮気味に額を突き合わせました。
もしもフォト絵がカバーを飾ってくれるなら、
本の楽しみそのものが外にはみ出しているような
カバー作りが可能になるんじゃないか?
実際にカバーをご覧になった
読者の皆さんがどんなふうにお感じになるかは
まだわかりませんが、
デザイナーの吉崎広明さんからは、
十数点に及ぶカバー案を頂戴しました。
少なくともデザイナーの方は、福田さんのフォト絵を
大いに楽しみながら仕事をして下さったようです。

通勤、通学の電車で、海で山で、お昼休みに、
単行本『コラム息切れ』は、
本ならではの「人生、一時停止。」な
ひと時をお約束いたします。
読者の皆様とこの本が出会い
一つでも多くの息抜きや気晴らしが生まれることを
心から祈りつつ証言を編集者にバトンタッチいたします。



編集者
/ 現代書林 武藤郁子


本書はサイト上のコラムを再構成する形態の単行本です。
ついては、本でしか読めない書き下ろしを
お願いしたいと小野さんに提案しました。

著者発案による「月刊鎧ライフ」。
これ、本物の鎧に身をつつみ、
さまざまなミッションに挑戦するという企画です。
本書の最も重要な要素は「どうかしてるよ!」
ということですからバッチリです。
小野さんは、13万円かけて鎧を購入。
まさに英断、というか素晴らしい蛮行っぷりで、
担当としては改めて惚れ直したのでした
(でも奥様には本気で謝罪しました)。

追加原稿案決定後、
なにやら巷も「鎧」で騒然となってきました。
角川春樹さんの『わが闘争』のカバーには、
著者ご自身が鎧姿で登場。
映画『戦国自衛隊1549』が公開され、六本木が
自衛隊の戦車と鎧の人たちで埋まったという噂も。
とどめは『スターウォーズ エピソード3』の公開です。
ダース・ベイダー、あれは絶対「鎧の人」!
やっぱり「鎧」は流行っている!
‥‥こうして私たちは完全に勘違いの領域へ
突き進んだのでした。



勘違いはさておき、
この鎧、その後の展開をとても助けてくれました。
鎧で商談に伺ったり、サイン会を敢行。
皆さんにたいへん喜んでいただきました。
ところが、いざ鎧で人前に出るとなると、
小野さんは急に暗くなり、ヘンな汗をかき始めます。
心配する私に小野さんは「本当は鎧なんか着たくない」
とおっしゃるのです。
「でも、だからこそやる意味がある、
 楽しいからやるだけではダメなんです」
けだし名言‥‥。

素晴らしい書き手と出会えた、と
編集者の幸運を噛みしめたのでした。
それを聞いた鹿野も満足そうにうなずいています。
(しかし鹿野もヘンな汗をかいています、
 大丈夫なんでしょうか、この2人は‥‥)

連続活劇の書き下ろし以外は、
ぱらぱらと、どこからでも読めるようになっていますが、
一回目は、頭から尻尾にかけて
順番にお読みいただきたいと思っています。
そのほうが「息切れ度」が効率よく高まるように、
作らせていただきました。
真面目だけどちょっとヘンな小野さんワールドを
一人でも多くの皆さんに味わっていただければ幸いです。

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『コラム息切れ』
著者:小野 法師丸
価格:1,000円(税込)
発行:現代書林
ISBN:4774506907
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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-08-09-TUE

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