担当編集者は知っている。


『Good Luck(グッド・ラック)』
著者:アレックス・ロビラ
    /フェルナンド・トリアス・デ・ベス
訳者:田内志文
出版社:ポプラ社
価格:1,000円(税込)
ISBN:4-591-08145-1
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はからずも、ラッキーな偶然です。
2回続けて、幸運のしるし、「四つ葉のクローバー」を
モチーフにした本を紹介します。

担当編集者は、ポプラ社の斉藤尚美さん。
ポプラ社といえば、童話や児童書で有名ですが、
この本は一般書籍の部から発行されました。
すでに巷では、話題になっています。
さて、どんな本なのでしょうか?
              (ほぼ日 斉藤りか)

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『Good Luck(グッド・ラック)』
担当編集者/ポプラ社 斉藤尚美


はじめまして。
ポプラ社第三編集部の斉藤尚美と申します。
いま、あちこちの書店さんの一角が
「クローバー畑」と化しています。
みなさん、もうご覧になりましたか?

「なんだあの緑の本?」
→「グッドラック・・・キムタクのドラマか?」
→「なになに、幸運を手にする7日間の物語??」
→「ポプラ社???」

と謎が謎を呼んでいるのではないでしょうか。
まずは順番にその謎を解いてまいりたいと思います。

これは非常に不思議な本です。
著者は世界的にはほぼ無名の経済学者ふたり。
しかし、本国(スペイン)で原書が発売される前に
ゲラが世界中に回覧され、
各国の編集者がわれ先にと版権を買いに走りました。
現在はなんと、世界54カ国24言語での出版が
決まっています。
それだけ、どんな文化圏の
どんな環境に暮らす人が読んでも
心うごかされる、シンプルで普遍的な
ストーリーだといえます。
「マーケティングの神様」の異名をもつ経済学者、
フィリップ・コトラー氏も
「素晴らしい! この本はきっと古典の仲間入りを
 するにちがいない。大人にも子供にも愛される、
 『星の王子さま』みたいにね」
と絶賛のコメントを寄せています。

かくいう私も、最初に原稿に目を通した時から、
単純でありながら実に奥が深いこの物語の
虜になってしまい、
同じように感銘を受けた社内の人間たちと
「この本を一人でも多くの読者に届けるために、
できることはなんでもしよう!」を合い言葉に、
さまざまな試みをしながら本づくりに取り組んできました。

試みその1。一般の方、書店さんなど
合わせて300人のモニター読者の方々に
仮綴本をお渡しし、感想をお寄せいただきました。
ここで、この本は「ビジネス本」「自己啓発本」として
ではなく、「物語として面白い」というご意見を
たくさんいただけたことは、その後の本づくりの方向性を
揺るぎないものにしてくれました。

試みその2。30種類以上の装幀ダミーを検討。
装幀の仕事は今回が初めてのデザイナー、長坂勇司さんは、
「以前から本のデザインをしてみたかった」
ということで、勢い余って30種類以上のダミーを
作ってくれました。
この中から最もよかったものを厳選し、
さらにブラッシュアップを重ね、
現在の表紙にたどりつきました。この時から、
「多面展開していただいた時の美しさ」は
かなり意識していました。

試みその3。本に「7つの秘密」をちりばめる。
モニター読者の感想に、
「手元に置いてくり返し読みたい」という声や、
「大切な人にプレゼントしたい」というご意見が
非常に多かったため、一冊一冊に愛着を
もっていただけるように「仕掛け」を考えました。
例えば、この本はカバーがリバーシブルになっています。
裏側には、本を読み終わったあとで見ていただくと
新たな感動がやってくるある光景がデザインされています。
それから、今回、スピン(しおり)は7色ご用意しました。
渋い色から明るい色まで、年代や性別に合った色を
取り混ぜたので、お好きな色を選んでいただけます
(ただし限定10万部)。
他にも、幸運をつかんだ歴史上の偉人たちの名言や
各章のメッセージをまとめた小冊子が
はさみこまれていたり、ページの思わぬところに
四葉のクローバーが潜んでいたり・・・。
ささやかながら、「読む」以外の楽しみも
いろいろと隠された一冊になっています。

こう書くと、まるでトントン拍子にコトが
運んできたようですが、さにあらず。
「できることはなんでもしよう!」と決意したはいいが、
一冊の本の準備を「完璧に」するには、
こんなにやることがあるのか!
と何度茫然とし、泣きたくなったことか。
しかし、投げ出すわけにはいきません。だって、
この物語には
「幸運は待つものではなく、自分でつくるもの」
というメッセージがこめられているんです。
この企画を成功させれば本のメッセージを
そのまま体現することになり、
失敗すれば本の説得力まで失ってしまう……。
社外の読者モニターに300人も
読んでいただいたくらいですから、
もちろん社員も、エージェントの方も、
デザイナーさんも、印刷所の方も
とにかく関わるスタッフ皆が原稿を読んでいました。
だから、この思いはほとんど全員が共有していました。
営業の者は書店さん、取次さんへの呼びかけを、
制作の者は材料の手配やコスト削減を、
デザイナーさんは装幀や広告のデザインを、
訳者さんは翻訳を、私は編集作業を、
それぞれがそれぞれの持ち場で
本に後押しされるように底力を発揮し、
これまでになかった一体感と達成感のなかで、
『Good Luck』は発売になりました。

そして、今。
あちこちの書店さんに美しい「クロ−バ−畑」が現れ、
またたく間にその本がなくなる、という嬉しい現象が
起きています。
まさに『Good Luck』が呼び寄せてくれた幸運。
そして、
「幸運は待つものではなく、自分でつくるもの」
というメッセージはひとまず実証されました。

「児童書のポプラ社」という看板でやってきたポプラ社に、
「第三編集部」という一般書の部署ができて丸4年。
この歴史は、第三編集部発足と同時に入社した私の
歴史でもあります。
とにかくなんでもアリ、編集者の惚れ込み度の針が
思いきり振れていれば大抵の企画が通る、
という無茶で幸せな職場ですが、
「大人も子どもも楽しめる」「本好きでなくても読める」
「読んで元気になれる」という
ポプラ社だからこそのコンセプトは
大切にしたいな、と思ってきました。
そんな中で生まれたこの『Good Luck』は、
まさにポプラ社第三編集部らしい、
胸をはって売りまくりたい一冊です。
お力を貸してくださったたくさんの方への感謝も込めて、
これからしばらくのあいだ、突っ走らせていただきます。

100万人読んだら、100万種類の幸運が見つかる物語。
『Good Luck』をまだお読みでない方は、今すぐ書店へ!!

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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-07-08-THU

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