担当編集者は知っている。


『映画の畑で四つ葉のクローバーを探して』
著者:安田裕子
出版社:阪急コミュニケーションズ
価格:1,600円(税込)
ISBN:4-484-04210−X
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【この本を書いたひと、
 やすだ ゆうこより、まずはご挨拶】


みなさま、こんにちは。やすだゆうこです。

ひょっとして覚えていらっしゃる方がいたら嬉しいナ、
というわけで、99年にこの「ほぼ日」で
「映画プロデューサーは走り回るよ。」という
『うちへ帰ろう』の配給ダイアリーを
書かせてもらっていた私です。
その際は、感想メールを下さった方もいたりして、
とても嬉しかったのを覚えています。
ありがとうございました。

その「ほぼ日」コンテンツをたまたま見ていた、
作家エージェントとの出会いがきっかけで、
この度、こんな本を書きました。
はっきし言って、第4章は、「ほぼ日」コラムの転載です。
少しは手直ししてますよ。日付とかね。
でも、その他プロローグから、エピローグまで、
11章分は、書きおろし!
「失敗ばかりを披露するキャリア・ウーマン本」というのも、
近頃出色ではないでしょうか…?
と、担当編集者のオカブを奪ったところで、
拙著をぜひオススメしたい人を、以下に列挙します。

(1)ほぼ日の愛読者
(2)映画やその業界に興味があるひと
(3)「ハイディ、ハイディ、フデ、ハイディ、ホー
   丸大ハンバーグ」が懐かしいひと
(4)「イメルダVSアウン・サン・スーチー」
   の機微が分かるひと
(5)神宮のプールにスクール水着で
   デビューしたことのあるひと
(6)「いまのアタシって、ほんとうのアタシ?」と
   現状、ちょっぴりヤバイと思ってるアナタ!

ちなみに、
「映画に興味がなくても、面白かった!」と
近所の主婦が申しておりました。
それでは、担当の小泉さんの登場です。
よろしくお願い致します。

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『映画の畑で四つ葉のクローバーを探して』
担当編集者/阪急コミュニケーションズ 小泉伸夫


安田さんからご紹介いただいた、
担当編集者の小泉です。
この本は安田さん本人が申されているとおり、
「失敗ばかりを披露するキャリア・ウーマン本」
として確かに出色です。
だって僕自身原稿を読みながら、
何度吹き出したことか。

でも、それだけだったらただのお笑い本。
この本には、安田さんが「この映画届けたい!」
との一念で駆けずりまわり、
しまいには自分で映画まで作ってしまうという、
映画という舞台で自分の「想い」を届けるために
奮闘した濃密な日々が凝縮されています。
たくさんの失敗を重ねたかもしれないけれど、
それほどまでに仕事に没頭している姿に、
正直、羨ましさを感じたりも…。

本書の可笑しさも、
そういった熱い「想い」が
読んでるこちらにもひしひしと伝わってきて、
感じ入るところがあるからこそだと思います。
だから、時にホロっとさせられます。
そして元気が出ます。本当に。
ちなみに、この本を作るに際しても、
安田さんの熱い想いと勢いにノセられて
一気呵成で出来た観ありですが。

じゃあ安田さんってどんな人? というと、
これも自分で本の中に書いています。
「好奇心旺盛、前向き、向上心が強い」
――確かに怖いくらい前向きです。
言い換えてみれば「こらえ性がなく、
飽きっぽくて、自分がわかってない」
――怖くて僕の口からは何とも言えません……。

そんな安田さんも、
もとはバブル期に休みが多くて
高給取りの何不自由ない生活を送っていたお気軽OL。
「なんかやりがいのある仕事がしたい!」と、
ありがちな動機から三十路を前に
映画業界(配給会社)に
飛び込んだのがそもそものはじまり。

とはいえ、初めて行った海外のマーケットでは
右も左もわからず社長に怒鳴られっぱなし、
続くカンヌでも緊張から段取りがうまくできず、
人前で怒られた恥ずかしさと、
マイケル・ジャクソンにサインをもらいそびれたのと、
初めての赤絨毯を
社長の友達のポルノ王と一緒に
歩かされた屈辱と、
そんな人と腕を組んで
イギリスBBCに映ってしまったのとで、
ふんだりけったり。
結局、この3ヶ月後に会社を辞めてしまう。

そのおかげで死ぬほど
大大大好きなハリソン・フォードが
東京国際映画祭で来日したのに会場に入れず、
「やっぱり辞めてはもったいない」
とパルコ映像部におさまることに。
ここから彼女の怒涛の映画人生が始まります。

まずは苦労もいい思い出に変わった作品から。
パルコ系列の映画館シネクイントでオープニング作品として
無名だったヴィンセント・ギャロの『バッファロー'66』を
ブッキングし予想以上の大ヒットに。
続けてブッキングしてあったギャロが脇役の
『Go! Go! L.A.』もおかげでスマッシュヒット。
さらに監督もキャストも無名ながら
「これ見せたい!」
という思いだけで何もかも初めて全部やった
『エイミー』も異例の大ヒット。
そして日本では厳しいとされるSFパロディ
『ギャラクシー・クエスト』をブッキングして大成功。
さらに『メメント』『アタック・ナンバー・ハーフ』
などなど錚々たる顔ぶれ。

一方、結果的に苦労がむくわれなかった作品……。
『ギャラ・クエ』の大ヒットに味をしめ、
「日本じゃプチ・メジャー止まりの
 USメジャー作品を引っ張ってくる作戦」で、
『ワイルド・スピード』『チアーズ!』『8マイル』に
挑むもあえなく撃沈。
パロディ・オタクの虫が騒いで配給した
『ミラクル★ぺティント』『ピンク・ピンク・ライン』
にいたっては禁句状態に……。
具体的な作品名となると
さすがの安田さんも多くを語らないので、
このへんでやめておきます。

そんな山あり谷ありの中、安田さんの本領発揮は、
自分で映画を作ることになって、
プロデューサーまでやってしまったこと。
それは『ウォーターボーイズ』をはじめ
ヒットメーカーの矢口史靖氏と
その“師匠”の鈴木卓爾氏の共同監督による、
『パルプ フィクション』ならぬ『パルコ フィクション』
というデパートのパルコを舞台にした短編オムニバス。

ただ、「軽い思いつき、後悔先に立たず……」。
言い出しっぺのパルコが
お金を出さないと言い出すわ、
スタッフは逃げ出すわ、
低予算のため1日20時間労働を課すはめになるわ、
進行が危くなり鈴木監督とやりあうはめになるわ……
しかもそんなピリピリムードのなか、
パルコのテナントに貼ってあるポスターのモデルの眉毛を
ゲジゲジにした輩がいたりして、
ふだんの超パワフル・ウーマンの安田さんからは
想像しがたいエピソードですが、
ふんだりけったりで涙涙の日々。

しかし熱い想いがかない、結果、
『パル・フィク』は連日満員御礼、
そしてビデオも大ヒット。
なにかとぶつかりあった鈴木監督から
後日安田さんがもらったメールの内容(転載)には、
読んでるこちらもグッときました。
本作りもこうでなくっちゃ、
と改めて思わされたエピソードでした。

そして最終章に、今の安田さんが一女性として、
仕事のこと、家庭のこと、そのはざまで
揺れ動く心境を綴っていますが、
それこそ安田さんが伝えたかったことなんでしょうね。
やりたいことはあきらめない――
その過程で仕事と家庭も両立できるようになる――と。

映画好きな方や映画業界に興味がある方はもちろん、
何か面白いことしたいなー、と思っている方、
仕事と家庭の両立に悩んでいる女性のみなさん、
はたまた「最近のオンナはわけがわからん」と
思っている年配の方々まで、ぜひオススメします。
元気と勇気がわいてきますよ、本当に。

******************************

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-07-01-THU

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