担当編集者は知っている。


『ファイヤーキング マグ図鑑』
著:山下哲
出版社:河出書房新社
価格:1800円(税別)


ほぼにちわ、シェフ武井です。
この『ファイヤーキング マグ図鑑』
という本のことを知ったのは、
「ほぼ日」に来た1通のメールからでした。
それは「山下哲さん」という、
この本の著者からのもの。
こんなメールでした。


はじめまして。
都内在住、文筆業を営んでおります山下哲と申します。

ホントに唐突なお話なのですが、
じつは私、今月12日に
マグカップの本を出版いたしました。
『ファイヤーキング マグ図鑑』という
アメリカの耐熱ガラス製マグカップを
ひたすら紹介する単行本です。
自分で買い集めたり、
ショップやコレクターさんからお借りして撮りためた
ゴツくてキッチュなマグの写真が
857個掲載してあります。
「何をそこまで」と思われそうですが
このファイヤーキングのマグ、ちょっと面白いのです。
ジッポーとかTシャツのようなゴキゲンなノリで、
実にいろんなプリントが施されていたりして。
ズッシリと重く、
ポッテリとなめらかな手触りもイイんです。
一度手にすると、
他のマグでは納得できなくなりますよ。
普段づかいにオススメです。
私自身、カップ&ソーサーが苦手で
気軽につかえるマグを探していたので、
はじめて手にしたときには軽い驚きがありました。
それが高じて、こんな本まで
出すことになってしまったわけです。

こんな本です。





“MYマグを1個見つけて
 生活を少しだけ楽しくしましょ”
というのが、まあコンセプト。
ファイヤーキングが秘かなブームになっているのは
知っておりましたが、
お陰様でこれが予想以上の売れ行きのようで
ビックリしてます。
マニア本だし小さなブームだし、
ということで初版は控え目に刷ったのですが、
発売2週間で版元に在庫がなくなってしまったとか。
嬉しい誤算。
でも、予算を使い果たしてしまったので
私もスタッフ一同も、ギャラはちょびっと。
はは、自業自得ですね。
でもいいのです、イイ本をつくりたかったから。

ほぼ日様と大きな接点がある本とは思えないのですが、
思い入れを持って丁寧に作り上げた一冊なので、
大好きなほぼ日の方々に
チラッとでも見ていただければ光栄と思い、
不躾を承知の上で
思いきってメールさせていただきました。

山下哲


おぉ、なんと、ゴキゲンなメール!
(キーボードを打ちながら、山下さんが
 にっこにこしているのが目に浮かびました)
届いた本をめくると、やっぱり思いっきり
ゴキゲンな本だったのです。
ソフトカバーで、ビニールカバーがついてて、
大きすぎない判型(小さすぎもしない)、
そして「かわいい」のに「ファンシー」じゃない。
たしかにマニアックなんだけれど、
けっして「おたく」っぽくも、ない。
とても素敵な本なのです。
なんていうんだろう、僕はファイヤーキングのことは
ぜんぜん知らなかったのですが
「好きなアメリカ」の匂いがする気がしました。
ぼくはこの「山下哲さん」という人に
すごく興味がわくのと同時に、
まずはまずは、この本をちゃんと紹介すべく
担当編集者に原稿を依頼したのでした。
長い前置き失礼。では、どうぞ!

●担当編集者/大西香織

青山とかのしゃれたカフェではなく、
東京都下の地元の人が憩う喫茶店で、
山下哲さんが言いました。
「ファイヤーキングって知ってる?」
いい名前だな、と思いました。
3年くらい前のことです。

ファイヤーキングは、
アメリカのアンカーホッキング社というメーカーが、
1940年代〜70年代にかけて大量につくっていた
ミルクガラス製の食器ブランドのこと。
それが時間と空間を超えて、21世紀の日本で
売ったり買ったりされているというのです。

なかでもマグは種類がたくさんあって、
山下さん(←コーヒー通)は、
その日の気分で選んだファイヤーキング マグで
コーヒーを飲むと幸せになれる、
とうっとりまなこでした。
他人の幸せ、眺めてるだけじゃおもしろくない、と
いそいそと出かけていったスーパージャンクショー
(年2回、東京タワーボウルで開催される
 コレクティブルズショップがたくさん集まるイベント。
 ファイヤーキングもたくさん売られている)で、
さっそく私もファースト・ファイヤーキングをゲット。
以来、そのなんでもないたたずまいと
ミルクガラスのそこはかとない透明感を眺めながら
カフェオレ飲んだり、牛乳飲んだり、うがいしたり…
するようになりました。

ファイヤーキングについていろいろ調べていくと、
3分で描けちゃったでしょみたいな
ヘッポコポップなプリントものから、
おなじみアメリカン・キャラもの、
50年前につくられたなんて信じられない
モダンなパターンやロゴものまで‥‥
あれもこれもファイヤーキング。
そんな節操のなさを、本でそのまま一気に見せたくて
「図鑑」をつくることにしました。

山下&大西が買い集めたマグだけでは
質・量ともに足りず、
コレクターさんやショップの方々に
多大なご協力をいただきました。
まだ版元が決まっていないときから
電話1本で、大きなリュックを背負って
突然押しかけたでたらめなふたりを、
内心さぞ怪しんだことと思いますが、
それでもこころよく大切なコレクションや
商品を貸していただけたときは、ちょっとホロリ。
そして山下さんは、まだ見ぬマグがあると聞くと、
いてもたってもいられず、
国内なら深夜バスで駆け付け遠征。
ネットで知り合った本場アメリカ在住の方から、
わざわざ航空便で送ってもらって
撮影したマグもあります。
そんなふうにして集めた857の
ファイヤーキング マグをせっせと分類、
雑貨心のあるデザイナーさんの職人芸を経て、
この本ができました。

さて、コレクターさんは、
この図鑑をなめるように見て、
持っていないマグがあれば悔しがって、
それから今後のコレクションの励みにしてください。
この本で初めてファイヤーキングを知った方は、
欲しいマグをチェックして、
急いでネットやショップへGO!

国内では初のまるごと一冊ファイヤーキング本、
そして世界でいちばんたくさん
ファイヤーキング マグが載っている本、のはずです。

この本がファイヤーキングのように
丈夫で長もちするように、
ビニールカバーをつけました。
末長いおつきあいを、どうぞよろしく。

担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2003-09-19-FRI

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