![]() |
| 担当編集者は知っている。 |
------------------------------------------- 〜筑摩書房ツルミさんのコメント〜 さて、今週は「みそひともじ」です。 「三十一文字」つまり、短歌です。 「ほぼ日」でお馴染みの枡野浩一さんの 「マスノ短歌教」の一員でもあった 天野慶さんのデビュー歌集です。 一読すると 日溜まりのような柔らかな雰囲気の歌なのです。 文字遣いやリズムに天野慶さんならではのものがある。 でも単なるほのぼのした短歌ではないのです。 温かく、穏やか、でも少し哀しい、そんな歌です。 私が気に入った歌を二つほど。 この道は春に花降る道となる パラダイスとは変化するもの 君とした雪合戦の あの雪の白さを超えるものはまだない 静かに心に沁みる歌たちをどうぞ。 あ、枡野さんの 『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)もよろしく! たまには自分の担当本もアピール(笑)。 ------------------------------------------- 担当編集者: ディスカヴァー・トゥエンティワン 藤田浩芳 その日弊社に届いた、 ちょっと膨らんだ封筒から出てきたのは、 一見して手作りとわかる、 掌に収まる大きさの薄い本が数冊。 ぱらぱらとめくってみると、 短歌がさまざまな書体と級数で、また、 タテやヨコに自由に組まれていて、 ちょっと不思議な雰囲気のイラストも 付けられていました。 およそ歌集らしくない作りでした。 読んでみると、短歌そのものがまた素晴らしい。 たとえば、 パレットにあるだけ絵の具を出してみて 何も描かないような休日 走ることただそれだけが好きなこと そんな少女に育ちたかった 夕方は夕方用の地図があり キヨスクなどで売っております といった、後に本書に収めることになる作品をはじめ、 ぞくぞくするような傑作が次々と出てくるのでした。 上司に見せますと、出版するというゴーサインが出て、 すぐに天野慶さんとお会いすることにしました。 天野さんは弊社の本のファンで、 弊社からぜひ本を出したかったのだとおっしゃり、 とても喜んでくださいました。 さっそく、これまでにお作りになっていた 400首以上の短歌の中から、 130首ほどを自選していただきました。 こうして、すぐにも本が出来上がるかと 思ったのですが……。 この本が出たのは今年(2003年)の2月。 しかし上に述べました天野慶さんの短歌との出会いは 2000年のこと。 実際に本になるまで、 ほとんど3年近くかかったことになります。 理由は、出版に適した時期が なかなか来なかったということです。 ちょうど2000年から2001年にかけては、 弊社の主なジャンルであるビジネス書の販売促進に 全社(十数名の小さな会社です)あげて 取り組んでいた頃で、 そのときに未知の「短歌」の本を出すというのは、 タイミングを外している感がありました。 ちゃんと売れる体勢ができたところで出したいと 思っていましたが、ずるずると延びるのは 天野さんに申し訳なく、あるとき遂に 「弊社としては、必ず本にするつもりですが、 いつとはっきり申し上げることができません。 もし、他の出版社からお話があるようでしたら、 そちらでお出しくださってもかまいません」 と申し上げたことがあります。 すると天野さんは 「初めての本はディスカヴァーさんから 出していただくのが夢でしたから、 出せる時が来るのを待ちます」 とおっしゃってくださったのでした。 出版社にとって、 こんなに嬉しい言葉があるでしょうか。 感激で体中が熱くなったあの感じ、 今も覚えています。 そしてようやく機が熟しました。 お待ちくださった天野さんのお気持ちに応えようと、 本づくりに全力を注いだつもりですが、 どこまで応えられたでしょうか。 あとは読者の判断を待つばかりです。 |
担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。
2003-06-27-FRI
![]() 戻る |