担当編集者は知っている。

「イタリアン精進レシピ」
 

京都「イル・ギオットーネ」
笹島保弘著
出版社:本願寺出版社
本体:1600円
ISBN4-89416-168-0

 
〜ほぼ日・シェフ武井のコメント〜
 
【うどのカルパッチョ】
【えびいものニョッキ】
【賀茂なすのステーキ】
【松茸と銀杏のカルトッチョ】
【トリュフまんじゅう】
…55品すべてを羅列したいくらい、
魅力的なメニューの数々です。
野菜だけを使った“イタリアンで精進料理のレシピ本”、
しかも版元は“本願寺出版社”!
そう、京都の西本願寺から、
この本は出版されているのでした。
写真もすごーくおいしそうで
(↓見て〜)

夏野菜のカネロニ仕立て

生春巻きの皮を使って
スティックサラダが大変身

‥‥あ〜腹へった。
担当者も、さぞや食いしん坊に違いないです。

 


担当編集者/本願寺出版社 藤本真美
 
当初、依頼を受けてくださった著者も不安だったように、
実は私も不安でした。
はたして「あり得る」のかどうか、と。
しかし、すべての入稿が終わった翌日の、
3月8日の日記に、私はこう記していました。


 不安が確信、それも良いほうの、に変わるとき、 
 涙って出るもんなんだなあ…
 
 ほんとにたのしかった。「愉」の方ね。
 だって、「楽(らく)」ではなかったもん。
 そして、感謝の念でいっぱいだ。手を合わせる。
 誰に? 何に?
 すべてに。そうとしか言いようがない。。
 いろんな出会いに。インスピレーションに。

 
本願寺出版社は、その名の通り、本願寺の出版社です。
「本願寺って西? 東?」
そのツッコミを入れられる人は“稀有”でしょうが、
当方は、“西”本願寺です。
そして、西本願寺は、浄土真宗本願寺派の本山です。
「どうしてお寺の出版社が料理の本を出すの?
 しかもイタリアンなんて…」
その疑問はごもっとも。
私も永平寺が「スパニッシュ精進」とか出したら驚きます。
 
では、少し長くなりますが、誕生秘話をお話しましょう。
 
○はじまりは一昨年の秋

次年度の新刊の企画を編集担当で話し合う会議がありました。
わが社の主力商品(?)は、
当然「お経の本」「仏教関係の本」ですから、
一般書店に並びません。
ふだんは、一般のお寺さまからの注文に
通信販売の形でやりとりをしているのです。
それらを<内向き>と呼ぶならば、
「ふつうの本屋さん」の宗教書コーナー以外に
置いてもらえる<外向き>の本を新たに作ることは、
私たちの“ねがい”でもありました。
しかし、私たちは「本願寺出版社の社員」
である以前に「本願寺の職員」であるため、
すべての企画に上層部の検閲が入ります。
そんななかで、「ふつうの本」を作るには
どうしたらいいのか…
悩みました。
そこで、発想の転換です。
既に認められた企画をベースにして
アレンジすればよいのではないか、と。
その“既に認められた企画”として注目したのが、
本願寺の新聞に月イチ連載されていた
「精進料理もう逸品」でした。
連載終了していたため和食と中華
各20品の原稿がありました。
これにもう20品ほど足して
1冊の本にしようと思ったのです。
当時、狂牛病が大きく取り沙汰され、
「粗食のすすめ」もブームでしたし、
「これから野菜がきっと脚光を浴びるはず!」
そんな確信が漠然とありました。
 
○では、なぜイタリアンなのか?

和食・中華、と来れば、イタリアンかフレンチ。
料理の鉄人でもそうでした(なつかしい〜)。
そこで、「イタリアン→オリーブ油」「フレンチ→バター」
とすると、バターも動物性ですから、
オリーブ油の方が適しています。
あと、単純に私がイタリアン好きだったから(苦笑)。
かくして、「イタリアン精進」案が生まれました。
そして、上層部も「ああ、おもしろいんじゃない?
やってみなさいよ」だけにとどまらず、
「和食も中華もとっぱらって、イタリアンだけで
 1冊作ってみてごらんなさい。」という後押しもあり、
とんとん拍子で「イタリアン精進レシピ」の
企画が動き出しました。

笹島保弘シェフ
(イル・ギオットーネ)

○1年がかりの撮影、そして…

京都の人気イタリア料理店
現「イル・ギオットーネ」の笹島保弘シェフが、
快諾してくださり、そのご紹介もあって
撮影は料理写真専門の大岩衛氏
(シェフが「大岩氏=オオイワシ」と発音されるので、
 初め頭の中で「大鰯」という変換がおこってしまい、
 そのたびに笑えました…)に。
四季の旬の京野菜を使うため、大きく4回の撮影と、
細かく何回もの撮影をくりかえしました。
撮影はすべて、お店の前の通称“女坂”で、
ランチタイムとディナータイムの間の数時間、
しかも日が照っている間だけという条件。
ですから、料理に照り映えている“光”は、
“旬の光”なのです。
冬の撮影は、刻一刻傾いてゆく太陽とともに、
撮影台にしているワゴンもどんどん移動。
おしまいには歩道に乗り上げ、
下校途中の小学生にレフ板を持っていかれたことも…
また、春の撮影には「菊乃井」の村田さんが
たまたま通りかかられ、味見をして一言。
「めっちゃ普通やなあ〜」。
はじめ、ショックでした。
「イタリアンで精進なんて、そんじょそこらにはないのに!
 なんで普通やのん??」と。
でも、それって、ほめ言葉だったんですね。
「野菜を使って家庭でもできる、
 簡易イタリアン“おばんざい”」なんですから、
「普通」=「家庭料理」として合格、ってことだったのです。

わらびのアーリオ・オーリオ

わらびとオリーブオイルの
相性は抜群。
このままパスタにしてもおいしい。

本書には、その村田さんのインタヴュー
(2時間あまりお話いただいた一部)も収録。
「日本人が日本の素材を使って、
 日本人にために作る料理は、
 どんな料理も日本料理やと思う。」
などなど名言ばかりでセレクトするのに困りました。
 
○自分が一番の読者だと思って

「こんな本があればいいな〜」
というイメージが自分の中にずっとあり、
「コアントローとグランマニエってどう違うんだっけ?」
「どうして“カルパッチョ”って言うんだろう?」
などなど、自分で疑問に思ったことは、
とことん調べてコラム欄にしてみたり、
料理本を初めから本として読む変わった人(あ、私だ)
にも楽しんでもらえるよう構成したつもりです。
結果的に「ダイエット料理」「節約料理」
「ベジタリアン対応」になったのはうれしい誤算ですが、
「本願寺の国宝・重要文化財の紹介」
「本願寺の精進料理<お斎(とき)>の紹介」という
当社でなくては載せられない情報もたくさん提供しています。
帯には、銀座「ラ・ベットラ」の落合務シェフが
直筆原稿を寄せてくださいました。
伝統は、守るだけでなく、
拓いてゆくことも必要であり、
可能―――
そのことを、ぜひ、手にとって
確かめていただきたい思いでいっぱいです。
 
※個人的には
【白菜と豆腐のごまクリームソースのリングイネ】が
一番のお気に入りです☆

白菜と豆腐の
ごまクリームソースのリングイネ

クリームソースの正体は湯葉!
とてもヘルシーです。



「イタリアン精進レシピ」
 京都「イル・ギオットーネ」
 笹島保弘著
 出版社:本願寺出版社
 本体:1600円
 ISBN4-89416-168-0


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2003-04-04-FRI

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