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『リナックスの革命:ネット社会の仕事とお金の新しい哲学』
原題:The Hacker Ethic and
the Spirit of the Information Age 
Published by Random House
著者:ペッカ・ヒマネン  Pekka Himanen
   リーナス・トーヴァルズ Linus Torvalds
   マニュエル・カステル Manuel Castells
翻訳者:安原和見・山形浩生(やすはらかずみ・やまがたひろお)
発売日:2001年5月25日
体裁:46版上製、256ページ
定価:本体1600円
ISBN: 4309242456

河出書房新社 田中優子

ポスト資本主義の精神を徹底的に分析した、
ネット・エイジに贈るバイブル!


コンピュータとインターネットの普及により、
今、多くの変化が起こっています。

従来の資本主義を支えてきた価値観とは
まったく違う何か
--仕事やお金に対する倫理観、
 時間に対する考え方--
が急速に一般化し拡大していることは、
誰もがなんとなく感じているはずです。
ケータイで仕事のメールが入ってくれば、
日曜日だって、仕事をすることもある。
反対に、会社に行かなくても
どこでも仕事ができるようになってきています。
IT化が進むこれからの社会では、
今までと違う考え方が必要だということは、
うすうすみんな、気がついている。

政府や行政は、IT、IT、と言うけれど、
でも実は、コンピュータや
インターネットなどを創ったのは、
一握りの個人たち
--熱中し、目標にむかって努力し、
 真剣に遊ぶことのできる人たち--
すなわち本書でいうところのハッカーたちです。

マスコミでは、80年代くらいから
セキュリティ破りのような犯罪的行為をする輩を
ハッカーと呼んできたので混乱があるけれど、
それはハッカーではなく、
クラッカー(破壊する、という意味)。
広い意味で、コンピュータに限らず、
熱中してある目的を果たすことができる職人のような人を、
ハッカーと呼ぼうとこの本では定義しています。

この本は、今日のいわゆるネット社会で、
ではどんな変化が実際に起きているのか、
またいかに変化してきたのか、それをまとめたものです。
そして、リナックスに代表される、
ネット社会を革命的に発展させてきた
「ハッカーたち」の倫理、
すなわち「楽しくなくちゃ、仕事じゃない」
「お金のためだけに働くのではない」
「ネット社会での倫理観」をまとめた画期的な書物です。

この本の序文には、
リナックス創始者の
リーナス・トーヴァルズが寄せています。
ハッカーの体表として、また技術者の代表として、
ネット社会で成功を治めてきた彼の
「ハッカーのかんどころ」を、魅力的に語っています。
そして、
第一部「楽しくなくちゃ仕事じゃない--
    あなたは何のために働くか? 労働倫理」
第二部「人生の目的は、お金だけじゃない--
    あなたにとってお金とは何か? 金銭倫理」
第三部「プライバシー、表現の自由--
    ネットワーク社会のルールとは何か?
    ネット倫理」
と、
「ハッカーたちが、未来を変える」かもしれないさまを、
スリリングに描いています。
本書を読み興味がわいたら、さらなる学習ができるように
膨大な注と参考文献もついております。
さらに、翻訳者は、あの山形浩生氏&安原和見氏。
山形氏の解説も、
「ハッカー倫理」のさらなる理解へといざなってくれます。

私がこの本の出版を知ったのは、
昨年のフランクフルト・ブック・フェアでした。
この世界でいちばん大きい「本の見本市」で、
アメリカ・最大手出版社の
ランダムハウ社のミーティングで本の内容を聞き、
どうしても早く原稿を読みたくて、
ミーティングにもしぶとく残って、
タイプ打ち原稿を読ませてもらったのです。
著者ペッカ・ヒマネンは、
本のテーマを明確かつあざやかに提示し、
リーナスの序文は、まだできたてほやほやのようで、
そのいきおいと「ハッカーマインド」に
すっかり引き込まれてしまいました。
たくさんの出版社が興味を持っていたので、
コピーもできず、
1部しかないそのタイプ原稿を読むために、
担当者の空いている時間をねらい、
何度もブースに足を運び続けて読みたいのに
次のミーティングが、と言われつつ、
読み続けたのでした。

以前、Linux創始者の
リーナス・トーヴァルズの自伝の自薦がありましたが、
実は、この本の序文はリーナスが書いており、
そのため今年の1月から、
リーナスと、
小社の新刊の著者ペッカ・ヒマネン氏のふたりを呼び、
オープンソースの思想や、
これからのネット社会の労働と
お金の新しい哲学を語ってもらうシンポジウムを
都内某大学にて企画しておりました。
その頃は、リーナスの自伝の版権が、
日本でも売れていることは知っていましたが、
まさか日米同時発売で、同じ5月刊行とはつゆしらずに、
小学館プロダクションさんとは
まったく別個に動いておりました。
リーナスの会社にストーカーのごとく留守電を残したり
(ああ、なんという!)
リーナスとも友人である著者ペッカさんにも、
なんとかお願いして!と頼み込んだりしていました。

そして、3月ごろ、小プロさんのほうの動きがわかり、
一緒にプロモーションして盛上げましょう! 
と、先方もリーナスの来日に向けて
最終調整をされたということです。
ただ、残念ながら、どうしても日程があわず、
ふたりでのシンポジウムは不可能になりました。
リーナスに比べて、まだ著者のペッカさんは、
知名度が低く、それも原因の一つだったかもしれません。
しかしながら、
彼がリナックスの実践的「ポスト資本主義の人」ならば、
著者ペッカ・ヒマネンは、
リナックスに代表されるハッカーたちの思想的
「ポスト資本主義の人」です。
情報社会学としても、またポスト資本主義の労働倫理、
ということでも、彼は
「ノキアの国からやってきた若き天才学者」ですので、
魅力ある著者だと自負しております。
弱冠28歳にして、大学教授。今後が楽しみな人です。
来日は、5月27日から6月2日まで、
うち28日月曜日から30日までを取材日に設定しています。

2001-05-29-TUE

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