担当編集者は知っている。

最新のオススメ本



『それがぼくには楽しかったから
 ―全世界を巻き込んだリナックス革命の真実』

著者:リーナス・トーバルズ/デイビット・ダイヤモンド
監修:中島洋
訳者:風見潤
出版社:小学館プロダクション
定価:未定
2001年5月上旬刊行予定

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担当編集者:山本将隆/小学館プロダクション

「暴挙をやってみたらと思うのですが」
と、糸井さんはうちが送ったリリースに対しての
ご提案をしてくれた。
「是非、ぜひに。暴挙、ダイスキです」
小躍りしながら返信を書いた宣伝担当のナカミチ。
普段は暴挙とは無縁のサラリーマンなのに…。
ともかく、このメールのやり取りをきっかけに
史上初(?)の“暴挙”をさせていただくことになりました。
何が暴挙かって…実はこの本まだ発売していないんです。
ホントに。
ただいま制作、真っ最中なんです。
ふつう発売後に掲載されるのが一般的かと思うのですが、
発売日前(しかも2ヶ月前)に
堂々とこの本について語ってしまおうかと。
タイトル決めでてんやわんや(だからまだ仮題です)、
翻訳で四苦八苦、入稿もそろそろなのに、
ああ、時ばかりが過ぎていく…。
しかしそんな中でも“暴挙”やらせていただきます。

◆ところでLinux(リナックス)って何?

「え、何?イナックス?」
そりゃ抗菌トイレでしょ…
僕の友人はそんな程度でした。
そこまでじゃないにしても
Linuxを知らない人は
まだまだ多いんじゃないのでしょうか。
Linuxというのは簡単にいうと
パソコンのOS(オペレーティング・システム)で、
Windows OS、Mac OSに次ぐ
第三のOSと言われているもの。
でもこのLinuxっていうのは
他のOSに引けをとらないほど興味深い。
テクニカルな部分はもちろんのこと、
周辺の状況、歴史など、
ここでは語り尽くせないほど奥が深い。
(もちろん本書ではすべてが語られています)

でも、なんといっても開発者本人がいちばんユニーク。
Linuxを開発した人はこの本の著者である
リーナス・トーバルズ。
彼は、もともと本の執筆には
まったく興味がなかったんです。
しかし、古くからの知り合いのライター、
デイビッド・ダイアモンドが何度も話すうち、
「(本作りが)おもしろいならやるよ」と、
やる気になったそうです。
この「楽しいから、おもしろいから」というのが彼の哲学。
そしてすべてにおける動機でもある。
だから原題は
「JUST FOR FUN
 -The Story of The Accidental Revolutionary-」
[楽しみのためだけに―革命家の偶発的誕生の物語]
なんですね。

そんなリーナスはまだ32歳。
自伝を書くにはまだ若いけれど、
かなり内容の濃い人生を送っています。
フィンランドで生まれ育った彼は、
筋金入りのパソコンオタクで、
幼少の頃からもうすでに
お祖父さんのPCをいじっていたそうです。
また成長しても、
プログラミングをする→食べる→寝るの繰り返しの毎日で、
思春期でも異性に興味を抱かなかったほど。
絵にかいたオタクの部屋の中から開発されたLinuxが、
全世界へと羽ばたくなんて
自分自身も思ってなかったでしょうね。

ところで、このLinuxを話す上で欠かせないテーマが
“オープンソース”
つまり、開発したプログラム設計図を
無料でネット上に公開してしまうという、
ある意味“暴挙”をやってのけたのです。
オープンソースなら誰もが無料で仕入れて、
使用し改良もできてしまう。
一見、なんて馬鹿なことをするんだろう、
ソフトを高く売ればいいのにと思ってしまう。
でもそこがLinuxを大きくさせた要因の一つだったんです。
まだまだ不完全だったLinuxを
世界中のオタクたちが少しずつ改良に改良を加え、
世界に受け入れられるOSにさせてしまったんです。
いわば世界規模の開発研究が行われたわけなんですね。
これって、近い将来、多方面で
もっとおもしろく発展していきそうな予感がします。
僕も読んでいくうちに、
未来はここから始まるんじゃないかと
本当に思ってしまうほどでした。

◆げっ、日米同時発売!?

実はそうなんです。同時発売なんです。
しかもつい最近までリーナスさんが執筆していたので、
いやもう焦る焦る。
でも、一番苦労されているのは
やはり翻訳家の風見さんだと思います。
とりあえず時間もないので
ぶっつけでお願いしてしまいましたが…
現在ももちろん翻訳中。
しかも、初めにアメリカから届いた原稿は
スペルミスはあるし
(FAMEなのにFRAMEになっていたりとか、
 数えればきりがない)、
カットされるであろう部分
(リーナスがデイビット宛に
 ここは削って欲しいなどの相談をしている
 生メールの箇所とか)
もある、また執筆中の文も追加される、
さらに専門用語もバシバシある。

しかし、そんな過酷な状況下でも
非常にわかりやすい文体で訳してもらっています。
風見さんは、ティーンズ向けの小説、ミステリ小説などを
執筆されている傍らSF、
ミステリものの翻訳も手がけております。
過去にはダグラス・アダムスの翻訳も手がけていました。
実はリーナス自身もSFの大ファン。
少年の頃、ダグラス・アダムスを愛読していたそうです。
これは何かの運命なのでは?
さらに監修にはインパクのプロデューサーでもある
慶應義塾大学教授の中嶋さんにもご協力いただいています。
さあ、もう公言してしまった同時発売!
はたして間に合うのか…どうか見守ってください。

◆えっ、リーナス来日!?

いやいや、コアな(そうでなくとも)ファンには
垂涎もののお話だと思うのですが、
はっきり言って可能性はなきにしもあらずというのが現状。
ただいま招へいに向けて奮闘しています。
なにぶん彼はパブリック・スピーキングは絶対嫌。
さらにオフィシャルなものも大嫌い、
サイン会も好きじゃない、家族と一緒じゃないとイヤだ、
もちろんお金じゃ動かない…
とまぁ一筋縄ではいかないお方でして。

どうすれば日本に来てくれるのかと
共著のデイビットに尋ねると彼にとって
「楽しい」ことがあればOKだそうで。
それじゃ、アットホームな感じで
「家族でホームステイしに来なよ」と申し出たのですが、
その件に関してはやんわり断られました。(当たり前か)
実際、6年前にリーナスを日本に招待したメンバーの方々に
お知恵を拝借したりして、いまだに策をねっています。
さてさて結末やいかに。

最後にひとこと、現在、さまざまな関係者に
ご迷惑をおかけしながら進行しています。
それでもみなさんは「面白いから」と言って
協力してくれています。
まさに“JUSTFOR FUN”精神で。
いま、その言葉がせめてもの救いです。
5月上旬、ぜひご期待ください。

2001-03-09-FRI

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