担当編集者は知っている。

最新のオススメ本



『人はなぜ学歴にこだわるのか。』
著者:小田嶋隆
出版社:発行/メディアワークス 発売/角川書店
本体価格:1500円
ISBN:4-8402-1647-90082
2000年9月02日出版


メディアワークス刊
担当編集者:穂原俊二



●学歴の不可思議とその魔術的威力について

おもてだっては話をしていないのに、
みんなその人の学歴だけは知っている。
なぜなんでしょう?
広末涼子はなぜこんなにも
人気が凋落してしまったのでしょうか?
サッチーがいつまでも
バッシングされている本当の理由とは?
一流大学の学生にオンナが群がったり、
最終学歴の違う者同士が打ち解けることができなかったり、
一代限りの身分であるはずの学歴が
世襲されつつあるというのは、
いったい本当なのでしょうか?
郷ひろみと二谷友里恵の離婚会見は、
なぜ娘の慶應幼稚舎入学式の翌日だったのでしょう?
森喜朗首相の早稲田大学裏口入学疑惑が
問題にされないわけは?

こうした今まで誰もが口をつぐんで言わない、語れない
「不平等社会日本」(佐藤俊樹・中公新書)における
最大のタブーともいわれる「学歴」にまつわる諸々を、
自称・岩窟系コラムニスト・小田嶋隆氏が、
闇雲に滅多矢鱈に切り結んでクリアーに論じつつ、
大笑いさせてくれるのが本書です。
著者、ライター人生17年にして、
初の書き下ろしとなります。

この本のきっかけのひとつは、
著者がHPに書き続けている日記でした。
1999年7月5日、ヒロスエの
早稲田入学騒ぎについて書いた原稿
ここで読めます)が、
あちこちのBBSで話題になり、
異常なカウント数の増加に気をよくした著者が、
その原稿を元にしてコラムに仕上げ、
いくつかの著名総合誌に掲載を打診しましたが、
結果はすべてボツ。
その理由については省略しますが、
反してネット上での「学歴」に関する議論は
盛り上がる一方だったので、
著者はいままでずっと疑問に思い体験し考えていたことを、
ひとつ一冊にまとめようと決意したわけなのでした。

例えば、サッチー、野村沙知代さんについて。
以前は、
「さすがにコロンビア大卒、アタマが切れる。
 確かに高飛車でイヤなオンナだけど、
 まあ、あの時代にコロンビア大を出た才媛なんだから
 多少思い上がった口のききかたをするのも
 仕方がないかもな」
と思っていたと、正直に告白します。
しかし、周知の通り、
彼女はコロンビア大学を卒業していなかった。
卒業どころか入学も。
どうやら尋常小学校卒らしい。
それで、自分自身の彼女に対する評価が
一変してしまったということを元にした分析が下の表です。

学歴の高低による対人認識の変化とその傾向
特徴 高学歴の場合 低学歴の場合
料理がヘタ お嬢様 創造性の欠如
無口 寡黙、考え深い 暗い、低脳
饒舌 弁が立つ おしゃべり
気が強い プライドが高い じゃじゃ馬
口が悪い サバけている 下品
性的にリベラル 奔放 淫乱
異性に人気がある 魅力的、コケティッシュ 男好き、媚び
衣服に金をかける おしゃれ 見栄っ張り
金持ち ハイソサエティ 成金
声がデカい 豪快 バカ
声が小さい 上品 バカ
奇矯な行動 天才と紙一重 変人
神経質 繊細 小心者


著者自身も、
ヒロスエと同じ早稲田大学教育学部を出ているせいで、
下記のような体験をしています。
ちょっと長いかもしれませんが、引用します。

 学歴の魔法は、なにげない場所で、発揮される。
 たとえば、小学校の父母会みたいな場所で、
 私は、自分の学歴の威力をまざまざと知る。
 よろこんで良いのか、悲しんで良いのか、
 私は、学歴を紹介するまでは、
 まず信用されないのである。
 つまり、私のようなあまり利口そうにも見えなければ
 押し出しのきくタイプでもない男は、
 どうしても軽く見られがちなわけで、
 学歴を除けたらただの冴えないオヤジなのである。
 事実、PTAのお母さんたちの間では、T君のパパは
 「ああ、あの、小柄でおとなしい半ズボンの人ね」
 ということになっている。
 が、ある偶然で私の学歴が知れ
 (著書を見つけて、その奥付を見たある母親が、
 私の学歴を宣伝した)てみると、私は、その日から、
 明らかに一目置かれているのである。
 小柄である点も、おどおどしている点も、
 短パンにサンダルである点も、
 何一つ昨日と変わっていないにもかかわらず、だ。
 「ぜひPTAのお力に」である。
 まったく。
 (本書209ページより)

 

つまり、かように、
学歴というのは人間にゲタをはかせる効果を持っている。
人間という表面に奥行きさえ与える。
その魔術的とさえいえるパワーを持つ学歴を
詐称することは、様々なウソの中でも
最高の禁じ手なのである。
それをやってしまったことに対する憤りが、
「ぼくたちがサッチーを許せなかった本当の理由」なのだ、
と小田嶋さんは言っているのでした。


●ブックデザインについて

著者もお気に入りの本書のデザインは、
このコーナーでもたびたび紹介されている
鈴木成一さんによるものです。
タイトル及び章タイトルのタイポグラフィーは、
1999年に行われた
第6回国際タイプフェイス・デザイン・コンテストで
モリサワ賞を受賞した七種泰史さんによる
「学園」という書体です。

とはいっても、この書体が実際に商品として
使用できるようになるのは、まだ数年先の話。
一つの書体が、一般に使用される商品となるには
膨大な文字数を作り出さねばならず、
通常2、3年はかかってしまうそうです。
しかし、それでも鈴木さんはどうしても
この文字を使いたいと思った。
で、どうしたのかというと、
七種さんのサンプル文字を元に、
本書で使われる文字のみを
新たにMACで描き起こしてしまいました!
もちろん最終的には七草さんのチェックを受けて。
というわけで、今流行ともいえるドーンと
太々とタイトルのみ主張するタイプではなく、
著者の持つファニーなセンスを出せた
素晴らしい表紙カバーができあがりました!!


●イラストについて

帯や本文中の絶妙なイラストは
著者の手によるものです。
彼が描いた絵にコメントを入れる
「小田嶋隆のフキダシ道場」
小社WEBで開催中していまして、
毎日多くの投稿があります。
著者が選考した優秀作には、
著者自身より賞品(内容は秘密、だそうです)が
謹呈されるので、ぜひのぞいてみて下さい。



■書店で入手しにくい時は、オンライン書店でどうぞ。
bk1なら、24時間以内に発送してくれます
(2000年9月現在)

2000-09-22-FRI

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