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| 担当編集者は知っている。 |
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最新のオススメ本 担当編集者: 晶文社編集部 小尾章子さん 「あのー、ご相談が……」 鈴を鳴らすような杉田さんの声を電話のむこうに聞いて、 郊外のファミリーレストランに飛んでいった。 イラストレーターの杉田さんに、 小社が本の装幀画をお願いするようになって10年余。 「杉田さんで一冊つくってみたい」。 編集部では、何人もの先輩編集者たちが、 折あるごと、声をかけてきた。 ようやく、やりたいものが見つかった、 と著者が思ったとき、たまたま私がそばにいた。 おいしい話であった。 しかし。 まず見せてもらったのが、 コンパクトカメラで撮った、空や雲の写真。 電線やらカーブミラーが浮かんでいる。 「迷い道ってわかってるのに、 自分から迷子になっちゃうような」 「空き地の寂しくて、でもぽかんと明るい開放感」 ……そんな「感じ」をどうやって一冊の本にしていくか。 語られる豊かなイメージに、判型、頁数、 タテ組かヨコ組みか、紙、色、と 具体的な形をぶつけていく。 やりとりに夢中になり、気がつくと、 いつも3、4時間がすぎていた。 その過程で、「道草風太郎」なるキャラクターもうまれた。 街の表情を切り取った絵。 ひとつひとつは魅力的だ。 が、ただ並べるだけでは、バラバラな印象はぬぐえない。 雑多な街の風景を貫く一本の柱が、見つからなかった。 「この本の世界へと誘う、導き手がいたら?」 苦しまぎれの一言に、 「あっ、こんなのどうですか?」と杉田さんが ノートに描き出したのが、道草さんだった。 ひとたび生まれると、道草さんは どんどん一人歩きを始めた。 花の香りに酔い、満月に浮かれてスキップする。 道草さんはおもしろがって、街のあちこちに登場する。 彼のふらり散歩がテーマとなり、 風景は、作者の心象風景を超え、 道草風太郎の眼を通した、 より軽やかで普遍的な景色へと大きく変わっていった。 杉田さんの絵の表情の豊かさは、 色さえ余計に思われるほどだ。 今回はカラーより、二色刷り(墨と特色)でこそ 生かされるのではないか。 杉田さんが選んだ黄色と青で構成をした。 4折64頁(1折は16頁)の 最初の1、2折を墨と黄色、 3折を墨と青にし、 ふたたび4折を墨と黄色にした。 3折には、青で描きたい、少し寂しげな絵を配して、 黄色の世界からの転調を意図した。 初め、絵と等分にあった文章も、削った。 絵はそれだけで、多くを語っていた。 言葉はいらなかった。 といいつつ、言葉を費やしすぎました。 どうぞイラストをごらんください。 1)「遠くに音の聞こえる場所」 2)「雨にぬれる」 3)「空と電線」 4)「踏みはずす道」 |
2000-08-16-WED
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