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『サイケ』
著者:姫野カオルコ
出版社:集英社
本体価格:1500円
ISBN:408774471X
2000年6月出版


担当編集者:
フリー編集者 宮森琴子さん


◆傑作短編集!『サイケ』

宇多田ヒカルの母・藤圭子の歌が流れ、
力石徹の葬儀が行なわれ、
東大の入試が中止された、あの1970年前後。
街ゆく人は、スケスケルックにサイケルック。
オレンジの花模様が爆発していた。
それは、当節流行のスタイルによく似ていて……。

……わしがインポになったのはジャンプが原因である。
あの頃、『ハレンチ学園』に興奮した過去を語る、
わし(♀)の衝撃の告白を綴る
「少年ジャンプがぼくをだめにした」をはじめ、
その名も「オー、モーレツ!」
「モーレツからナイーブへ」など
あの時代をめぐる6つの物語を収録したのが、
今回の短編集『サイケ』です。

自我は確立されていながら、言葉はまだ未熟な
小学生を主人公にした作品が多く、
理不尽と感じても説明できないもどかしさ、
ひそかに感じる快感、
そして同時にやってくる疾しさなどが
ていねいに描かれます。
一番せつないはずのシーンで、思わず笑ってしまうのは、
本当のことはいつもどこか滑稽だから。
姫野さんの作品に一貫している
嘘やポーズ、偽善を排除し「本当のこと」を抉って
書き出す姿勢にシビれること必至!

これまで姫野作品を読んだことのない方にも
「わりと好き」とおっしゃる方にもぜひぜひおすすめ、
今のっている勢いにあふれた
文字通りの傑作短編集です!

◆編集裏話:「サイケ」な装丁を求めて
装丁には、この「サイケ」な感じ、
今の流行によく似ているが
やはり30年前であるという感じを出したいと
思っていました。
スマートなカッコよさを「あえて外す」ことのできる方、
皮肉な片頬笑いを理解してくれる方、
……そして思いついたのが、原口健一郎さんでした。
透明感のある美しいイラストを描く一方、
ひさうちみちお氏や根本敬氏の
漫画単行本の装丁を手がける原口さん。
その木訥とした喋りと、鋭い突っ込みを思い出し、
さっそく連絡を取ってみると、
作中、重要なモチーフとして登場する、
8の字の体を持つB級映画女優、
ラクウェル・ウェルチのファンであり、
「サイケ」な時代も大好きという大ビンゴ!

打ち合わせから戻ると、
ラクウェル・ウェルチのポスターのコピーが
FAXされているという盛り上がりぶり。
姫野さんとの顔合わせも、最後はカラオケで
当時の歌を歌い合うほど意気投合、
しかし、ここからが長かった……。

原口さんが最終的に出力したカラーダミーは、
都合30枚にもなったでしょうか。
姫野さんも交えての打ち合わせは数度にわたりました。
「手にとってもらえないほど、ダサくてはいけない」
「しかし、ある程度ダサい方がかえって
 受け入れられやすいのでは」
「狙ったねと言われるような
 “今風サイケ調”は避けたい」などなど、
「あえて外す」という方向性の
具体的な落ち着き先を見極めるまで、
サイケなイラストとサイケなパターン、
色の組み合わせが次々と
テーブルに並んでは消えていきました。

最後の打ち合わせでは、喫茶店のウエートレスさんにまで
「このなかでどれが好き?」と聞く始末
(聞くために、わざわざ
 ジュースを追加注文する姫野さん。
 自由が丘フランフランのアイエヌカフェの
 お姉さん二人は、とても可愛く心優しかったです)。
しかし、納得いくまで話し合った結果、
ここへ落とし込みたかった!
と思える仕上がりになりました、
と思うのですが、いかがでしょうか。

ぜひぜひお手にとって、読んでみてください!
姫野さんに興味を持たれた方はこちらもどうぞ。

読者主催ファンサイト
http://www04.u-page.so-net.ne.jp/gb3/hayami/
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/2068/index.html

2000-07-13-THU

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