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最新のオススメ本
『短歌はプロに訊け!』
著者:穂村弘×東直子÷沢田康彦
出版社:本の雑誌社
本体価格:1900円
ISBN:4-938463-89-X
2000年4月出版
本の雑誌社刊
担当編集者:沢田康彦
『ほぼ日』のみなさん!
「芽きゃべつ」というお題で短歌を作りなさい。
と言われたら、どんな歌を詠みますか?
……と、そんなことを、
毎回お題を変えて3年、16回、
やってきていたわけです。
会う人ごとに、無差別攻撃で
「詠め詠め詠め嫁嫁嫁……」と
やもめのように唱え続け、
ファックスやメールで回収したシロート短歌を
A4版コピーで編集、配布。
それが短歌の会『猫又』です。
ちなみに送られてきた同人の「芽きゃべつ」の歌:
●芽きゃべつも靄でしっとり緑色
おやすみなさいいつも寂しい 吉野朔実
●めきゃべつは口がかたいふりをして
超音波で交信するのだ 鶯まなみ
●芽キャベツがここにいるよと
キュッとなく春の香ただよう誰もいぬ朝 大内恵美
●そこはだめあけてはならぬ
芽キャベツの親戚一同待ち伏せているから 肉球
●泣いた後台所にて思うこと
芽キャベツにだけはしてやられたくない 長濱智子
●今朝の気温を抱いてかたくかたく黙り込む
芽きゃべつ ねむねむ
●もう口をきくのもイヤだと怒りつつ
芽キャベツひとつ慎重に切る 春野獺
とかとか、いろんな人から30首ばかり集まった。
ちなみに吉野さんは漫画家。
鶯さんは女優の本上まなみさん。
大内さんは中学校の先生。肉球さんは翻訳家。
長濱さんは映画プロデューサー。ねむねむさんはOL。
春野さんはサラリーマンです。
つまり、全員、しろうと。
でも、始めてみて、いちばんに思ったことは、
「けっこうみんな“やるやん”」ということでした。
同時にけっこう“いけてないやん”てのも多々あって、
それはそれで面白いので、本にまとめてみたのです。
それもただ載せるのではなく、
プロの歌人に1首1首斬ってもらう、という企画。
で、知り合いをたどって、平身低頭、
気鋭のお二人の歌詠み、穂村弘さん、東直子さんに
◎(にじゅうまる)○(まる)△(さんかく)という
ありがたいお点をもいただきつつ、
作歌法まで聞き出した、そんな贅沢な一冊、
それが本書『短歌はプロに訊け!』であります。
つまり穂村弘×東直子÷沢田康彦なわけです。
割って入っているのです。
さてでは、いくつか歌の例を挙げましょうか?
●ヤクルトの古田のメガネすごくヘン
もっといいのを買えばいいのに すず
詠み人はかの天才スイマー千葉すずさんです。
彼女はアトランタで、マスコミの連中に
「そんなにメダルが欲しかったら
自分で泳いでとればいいじゃないですか」
といったような、ミもフタもない名言で
物議をかもした“それ言っちゃダメ”なことを言う
達人です。
シドニーでもぜひそういうことを
言って欲しかったのに
度量の狭い関係者が多かったらしく、とても残念。
《この人はダメ押し的に愛のある歌が多いですね。
全くよけいなお世話なんだけど、
そのよけいなお世話に愛がある。
人間性ですね。出てますね》(穂村)
すずちゃんは、歌でも天衣無縫。
●ああいたいほんまにいたいめちゃいたい
冬にぶつけた私の小指(←足の) すず
《サービス心がありますよね。
しかもネは真面目で、律儀に五七五七七を守って、
でも最後にちょっと気になって(←足の)とつけた。
これも律儀ですね》(沢田)
破壊力といえばこんな歌もあります。
●「ごめんね」とべたべた詫びるこの女
口が臭くて髭が生えてる 本下いづみ
本下さんは絵本作家であり、主婦であります。
《いったい誰に会ったんだろう?
と脅えさせてくれる逸品》(吉野朔実)。
同じ作者でこういうのも。
●ワインならまかせなさいと言い乍ら
グラス倒すかこのタコおやじ 本下いづみ
お題は「ワイン」。
《「おやじ」の様子もよく見えるんですけども、
作者の性格が見える歌ですね》(穂村弘)
《下の句でカラダの動きが入って動的な展開に
なっているところがいいですね》(東直子)
短歌と俳句の区別のつかなかった人もいて、
●きいろとはいじけた色なりとてんりゅうげんいちろう
ターザン山本
●ふと思う 日の丸の赤をきいろに そんなバカな
ターザン山本
かならず深夜にファックスで、よれよれ文字でやってくる、
この高名なプロレス評論家の歌は
あたかも反則レスラーのようですね。
《あまりにも人間力だけで書かれている》(穂村)
《ベトナム戦争の帰還兵的なところがありますよね》(東)
ニンゲン、ですね。
遊んでみてわかったけど、短歌って、
ものすごく「ニンゲン」が出る。
枡野浩一さんがご活躍の『ほぼ日』ですから、
みなさんはまさか短歌を「風流」なもの、
お年寄りのものとは思っていないでしょうから、
安心して、言える。
「ワイドンチュージョイナス?」と。
ぜひ、お手にとって、お楽しみねがいたいです。
下は9歳から、上は82歳の私の伯母までが、
「ニンゲン」をぶちまけ、
それぞれの歌を、“歌人”というコトバの達人が
気持ちいいくらいに分析批判指導してくれています。
その気にさせる一冊、を目指して編みました。
そうそう、文字だけではさびしいという人のために
各章、美女直筆イラストもある。
眞行寺君枝さんの「嫉妬」。
益子直美さんの「ワイン」。
陣内貴美子さんの「べたべた」。
本上まなみさんの「カラス」。
千葉すずさんの「眼鏡」。
納見佳容&脇澤美穂(全女プロレス)さんの「空・海」。
等々。
本の雑誌社という、椎名誠さんのとこの
小さな出版社から出してもらいました。
小さな出版社の本は、大手書店で探しましょう。
本屋さんの片隅の、たいていは暗めの短歌コーナーで
存在を主張する、
橙とピンクの派手なヤツ(装丁=呉幸子さん)。
どうかあなたを「その気」にさせますように。
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