担当編集者は知っている。

今一生著『完全家出マニュアル』
(フリーエディター&ライター/ロイ渡辺)


拝啓イトイ様

例によって暑苦しい夏がきっちりやって来ました。
いかがお過ごしでしょうか?
しかし、夏を暑苦しいなんて形容してしまい始めたのは、
いつからだったでしょう。ちょっと悲しい気もします。

さて、夏を満喫している子どもたちにも、
やっぱりいろいろ悩みがあるはずです。
今回お手紙差し上げたのは、そんな悩み多き子どもたちの
力になれそうな本を紹介したいからです。
タイトルは『完全家出マニュアル』。
どっかで聞いたことのあるようなタイトルです、確かに。
そこは、実用本の公約数的相似としてご容赦下さい。

これは、親や親権者から不当な虐待を受けている
子どもたちや、配偶者や同居人から肉体的精神的な暴力に
あっている女性を対象にした本です。
このままでは壊されてしまうという
危険にさらされた人たちに「家出」という選択肢を
提出することが最大の目的になっています。

著者の今くんはサブカルチャーに明るい、家出経験者。
以前、一緒に仕事をしたことから付き合っている
私の友人です。その彼から「家出本を作りたい」
と話を持ちかけられたのが昨年の秋頃でした。
「家出」という言葉には、独特の暗いイメージがあります。
でもそれは、親や学校関係者側からの都合のいい道徳教育の
結果でしかありません。
「家にいて心を殺されてしまうくらいなら
腹をくくって家出をしよう」というのが彼の言い分でした。
その考え方はとても面白く、魅力的に思えました。
しかも、彼は自著「日本一醜い親への手紙」や
「子どもを愛せない親からの手紙」で、
いわゆる普通と言われている家庭の裏側に、
逃げ場のない暴力が当たり前のように存在していることを
知っていたのです。
 
まず、日本全国の家出人から体験談を募集しました。
マニュアルに反映できるノウハウを集めるためです。
そこから、家出人が求める「家出」の
ハッピーエンドのスタイルを確定しました。
それは、普通に暮らす、というものでした。
家出をして大金持ちになろうと思っている人は
いませんでした。
いつの日か親を殺そうと、格闘技の研鑽に励む人も
いませんでした。
そこには、ごく普通の暮らしをしたいという、
ありきたりで切実な願いがあるばかりでした。
 
こうして『完全家出マニュアル』の骨子ができました。
この本は、実はもの凄く暑苦しくうっとおしい本です。
著者のメッセージがみっちりと詰まっているからです。
法律を味方にして不安なく暮らす方法が書かれています。
どうしたら家出人が自立できるか、
その方法が書かれています。
気軽な家出には不必要な、厳しい一言も書かれています。

自分に必要な部分を拾い読みできるのが、
マニュアル本のいいところですが、
この『完全家出マニュアル』に関して言えば、
ぜひ通読してもらいたいと思います。
そうすれば、ただ逃げるだけの「家出」ではなく、
もっとポジティブな、人生を切り開くための方法としての
「家出」のあり方が分かってもらえると思います。

そして「家出」を不用意に勧める本ではないと言うことも
分かるはずです。
ただでさえ暑い夏、体調も壊れがちなこの季節に、
まことに似つかわしくない本を紹介しました。
心からお詫びすると共に、ぜひ一読をお勧めします。


なんと、今回はさらに著者自ら語ります!


イトイ様

編集者が盛り上げてくださったうえに、
著者が自著解説するなど「こっぱずかしぃ〜!」のですが、
せっかくお許しをいただいたのですから、
ず太い神経を丸出しにして、紹介させていただきます。

『完全家出マニュアル』は、『公募ガイド』や
インターネットなどで全国から募った
約200点の家出体験者の体験談をベースに、
「一人で生きられる自信」を獲得するための家出法を、
実践的かつ具体的に完全マニュアル化した本です。

保証人問題の解決法、自分を虐待する親を
裁判で訴える方法、家出準備金の作り方を始め、
改姓や国籍離脱などの手続き、
警察・探偵に追われない方法、会社勤務が困難な時の
働き方、離れ島情報や出家の現実まで、
「ここではない他の場所」で誰でも合法的に自立でき、
心安らかに暮らせる方法が満載。
実際の家出体験者の体験記も多数収録。

「被虐待児童」と「殴られ主婦」を読者の中心に
設定してますが、年齢・性別・国籍・収入を問わず、
家出できる情報を書きました。
もう「家出=悪」なんて言わせません。
そんな常識を妄信してる人は、経済的にも精神的にも
親から自立してない人なのだぁ〜と決めつけちゃいます。
フツーの家出人たちは風俗なんか無縁だし、
政府も認めている通り、実は誰でも家出できる時代に
なってるんだもん。

家出には確かに困難がつきまとうけど、
困難であることと、出来ないこととは
イコールじゃありません。
そこでネガティブに「私には出来ない」
と考えちゃう人こそ、家からの悪影響に毒されてるのよ、
と言っちゃいます。家出を選択肢の一つに入れて
生きてみてもいいじゃん!……って
(これは、自殺しちゃうオジサンたちにも言いたい)。

『ロッキンオン・ジャパン』や『東京新聞』などの書評では
大絶賛! なんて喜んでいたら、この半年間、
ろくに雑誌の仕事をしてなかったので、
そろそろ懐ぐあいがヤバイっす(笑)。
家族、セックス依存、自殺、恋愛、旅などのテーマで
お仕事、お待ちしてまぁ〜す!

●今一生/『完全家出マニュアル』著者。ライター。
著書に『家を捨てよ、街へ出よう』、
Create Media名義の編著に『日本一醜い親への手紙』、
『もう家には帰らない』、『子どもを愛せない
親からの手紙』(以上、メディアワークス刊)、
『少女たちから「ウザい」オヤジへの手紙』(ぶんか社)。
対談・共著のお相手募集中!
 



『完全家出マニュアル』
ISBN4-840-21294-5
出版社:メディアワークス
著者:今一生
価格:1400円 +税

1999-08-09-MON

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