担当編集者は知っている。

湯村輝彦著『痔慢!!』刊行にあたり、
「粋とウンコ」の関係を考えてみました

(祥伝社 ノン・ブック編集部 三宮博信)


私が初めて湯村さんとお会いしたのは、
昨年の11月に遡る。
ある知り合いから、湯村さんが「痔」の面白い話を
たくさん持ってるよ、と聞いて会いに行ったのだ。

湯村さんは色黒にモヒカン・ヘア、
B-boyの様な格好をして迫力満点だった。
話術も巧みで、気がついたらあっという間に
1時間半ほどが経過していた。
実は私もその頃、排便のたびにトイレットペーパーに
血が付いていて、気がつくと湯村さんに
自分の「痔」の相談をする形になっていた。

でもそれが幸いした、と思う。
痔主同士で意気投合して、その後半年強にわたる、
楽しくも汚い『痔慢!!』作成作業に突入していったのだ。

糸井さんに推薦文をお願いして、
そのお礼にお伺いしたとき、
「この本はスーパーインテリ向きに作りすぎたね」
と言われてしまった。
つまり「ちょっとやりすぎ」ということだ。
糸井さんの言葉をお借りすれば、
「粋すぎる」ということだろう。

確かに本の制作過程では、湯村さんと私の間で、
度々ギリギリの折衝が続いた。
湯村さんは「エロ・グロ」を粋に描く達人であるが、
私としては、それは一般読者には「グロ」すぎる、
と思うことがしばしばあり、議論を重ねたものだ。

一般読者向けに、ギリギリの「粋」なものができた、
と思ったが、若干「粋」すぎたのかもしれない、
と今は思っている。

湯村さんも私も、「ウンコ、しっこ」の話が大好きで、
糞尿の話をしていると時間を忘れてしまう。
その勢いのままに若干やりすぎたのだろう。

世の中の人も、幾つになっても「ウンコ、しっこ」の話が
大好きに違いないのだが、あからさまに
「お前、ウンコ話好きだろ」と言われると、
ムッとする人が多いのかもしれない。
相手の自尊心を傷つけないように、
うまーくそういう話をするのが話術の達人であり、
同じ様に、読者のプライド、見栄を傷つけないように、
うまーく買わせるのが編集の技術というものなのだろう。
いやはや、ホント勉強になった本である。

しかーし、糸井さんに「粋すぎる」と言われても、
私はまだまだ諦めてはいない!
もしかしたら、糸井さんが想像する以上に、世の中の人も
「粋」になっているかもしれないのだ。
だから、「ほぼ日刊イトイ新聞」の読者の皆様、
自分の「粋度合い」を試すためにも、
是非『痔慢!!』を一読してください。

特に口絵イラストの最後のページにご注目ください。
ここに、湯村さんと私が最後まで相談した結果できあがった
「粋」が一番表れています。
種明かしをしておくと、写真は湯村さんが
ご自分のアイディアで、ご自分で撮ったものです。
お尻に見えるものは、実はデザイナーさんの肘であります。
なんのこっちゃ、とお思いでしょうが、
後は実物を見てのお楽しみです。

まあ、そんなこんなで、面白い下ネタ本を、
また作れることを祈りつつ、そろそろ自分も
「肛門科」の門を叩こうと思っている、
今日この頃であります。



イラストの「G-MAN」というキャラクターは、
口絵8pのために湯村さんが考え出した、
幻の「痔のヒーロー」です。
このキャラクターを使った四コマ漫画、
という案もあったのですが、泣く泣く没にしたものです。
実は帯に「G-MAN」が唐突に入っています。
「何だこりゃ」と思う人も多いと思いますが、
捨てるにはあまりに惜しく、復活したものなのです。
これも是非見てやってください。



『痔慢!!』
著 者:湯村輝彦
発行所:祥伝社
定 価:1200円+税
ISBN4-396-10405-7

1999-06-09-WED

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