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糸井様
今年は『老人力』(赤瀬川原平)が新年早々大ブレイク。
NHKの番組が効いたのか全国から注文が殺到し、30万部。
その他にも
『よのなか』(宮台真司・藤原和博)
『あなたはもう幻想の女しか抱けない』(速水由紀子)
『町工場・スーパーなものづくり』(小関智弘)
が売れており、今年は春から縁起がいいやという状況です。
昨年はどうだったか?
文句なく
『世界文学大系』全89巻(全91冊)です。
昨年5月に第68巻の『セリーヌ』と
第80巻『ジョイス/オブライエン』
が刊行され、27年かかってようやく
完結したこのシリーズ。
菊判という百科事典サイズの大きさで91冊。
(90cm×180cmの本棚1本にきっちり入る量)
新刊以外はセット売りのみ!
セット価格は53万200円!
売れるのか? それが売れたのです。600セット以上も。
狭い日本でこのセットを誰が、そんなに?
そして完結までなぜ27年もかかったのか?
……と私も疑問に思ったので社内を駆けて聞いてみました。
どうやって売ったのですか? と聞きにまず営業へ。
「ズバリ電話。地道な努力が実を結んだのよ。まずね、
全国の6500の図書館(高校以上)にDMを送って、
その後で営業部全員で電話かけまくったの。
毎日出版文化賞の特別賞を受賞したら、今度は個人の
注文も入り始めちゃって。
図書館注文がやっぱり多かったけど、
50セットは個人だったよ。
まだこういうのを家に置く人がいるんだねぇ」と。
広告や宣伝で売れたというわけではなく、
せっせと営業部員が声をからして頑張った
成果だったんです。
大型企画でこういう営業企画の場合には
こういう本の売り方(書店には置かない)
もあるということです。
書店の店頭でセットを買う人はいないでしょうからねぇ。
あ、このコーナーは「編集者は知っている」でした。
27年間の偉業を締めくくることになった
磯部知子さんのお話。
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○なぜ27年もかかったのか? 完結の感想は?
「うっ。いえー、私が企画して
27年間やり通したわけではないんで。
でも最後の巻を担当することになって、
きちんと仕事しないと責任重大だなとは思ったけど。
『セリーヌ』の巻は、時間がかかった上に
途中で訳者が病気になっちゃって。
亡くなってしまったのでその後を違う人に頼んだりと、
とにかく、いろんな経緯がありすぎる
シリーズではありました。
それに古代オリエント集から論語、シェイクスピア、
ドストエフスキー、プルースト、ボルヘス、サルトルまで。
小説に戯曲、詩、評論、哲学と幅広いシリーズですから。
よーいドン! と翻訳を始める訳じゃないんで、
どうしても進行はまちまちになるんですよ。
創作じゃなくて翻訳だからどんどん
出来るというわけではないし、
却ってきちんとした日本語にするのが大変で。
とにかく無事完結して、
こうやって売れて胸をなで下ろしているところです」
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世界古典文学全集という
1962年から始まった全集も
今年ようやく完結するらしいです。
どんなに遅れてもきちんと最後まで
責任持って出すというのは偉い!
教養とはこういうところにあるんだな、
とラインナップを見て思う私です。
老後の楽しみとして全集を
ゆっくり読む生活もあるかもしれない。
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