第1回 平熱36.4度以下は「低体温」。 2009-06-29
 第2回 体温を上げる最もよい方法は、筋肉を鍛えること。 2009-06-30
 第3回 ストレスと副腎。 2009-07-01
 第4回 あたためることのたいせつさ。 2009-07-02





ほぼ日 『体温を上げると健康になる』、
読ませていただきました。
齋藤先生 ありがとうございます。
ほぼ日 もう、知らなかったことばかりで
びっくりしたのですが、まずは、
「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」
というフレーズには、怖ささえ感じました。
齋藤先生 体温は免疫力に大きな影響を与える、
というお話ですね。
ほぼ日 はい。
実はわたしたちも「あたためる」ということを
わたしたちなりに大切に考えながら、
こうしたハラマキを提供してまいりました。
齋藤先生 なるほど、こんなにいろいろなデザインで。
ハラマキは、そうですね、
昔からの「生活の知恵」ですよね。
冷やさないようあたためるというのは、
やはりとてもいいことだと思います。
デザインも、すてきですね。
ほぼ日 ありがとうございます。
齋藤先生 ただ、そうですね、
私の立場から申し上げたいのは、
なぜ体温を上げたほうがいいのか。
その全体像を、
みなさんにつかんでもらいたいのです。
その上で、ハラマキならハラマキが、
なぜいいのかを理解していただきたいと。
ほぼ日 はい、ぜひお願いします。
齋藤先生 それでは、まず、
いちばん重要なこと、
中心に考えていただきたい事項、
「体温」のことからまいりましょう。
正常な体温は何度かご存知ですか?
ほぼ日 え? ‥‥平熱のことでしょうか。
齋藤先生 はい、平熱は何度なのか。
ほぼ日 36度台‥‥でしょうか?
齋藤先生 36.8度、プラスマイナス0.3、4度。
女性の場合は、排卵後の2週間は
さらに0.3度以上上がります。
まずこれが正常な体温になります。
そして、
先ほど最初にお話しいただいたことですが、
ここから1度下がることによって、
免疫力は30%低下することになります。
ほぼ日 ほんとに驚きました。
で、逆に、体温を一度上げることができれば、
免疫力は500〜600%アップすると。
それにもびっくりしました。
齋藤先生 例えば、お風邪をひいたとき時に
体温が上がるのは、
免疫細胞(※主にTリンパ球)が、
ウイルスと一生懸命闘ってくれているのです。
またどのようなタイプのウイルスなのかを
学習し、記憶するシステムも、
免疫細胞(※主にTリンパ球)が
担っているのです。
今後それだけ健康な体づくりに
効果的ということです。
ほぼ日 さらに、
「だるさやつらさなど
 病的な自覚症状がなければ、
 37度は微熱ではなく、健康な体温」
と書かれていたのも目からウロコで。
齋藤先生 そう、健康な体温は意外と高いのです。
36.4度以下なら、免疫力が低い人と言えますね。
‥‥では、ここでひとつおたずねします。
ほぼ日 なんでしょう?
齋藤先生 免疫力とはなんでしょう?
免疫力が下がると、
具体的にどうなるとイメージしていますか?
ほぼ日 ええと‥‥免疫力が下がると‥‥
風邪をひきやすくなる?
齋藤先生 そうですね、多くの方々が、
そういうイメージをお持ちだと思います。
‥‥ちょっと視点を変えて、
ガンのお話をしましょう。
ほぼ日 ガン、ですか。
齋藤先生 最新の研究によると、
健康な人でもガン細胞は、
1日に約5000個もできている
ことがわかっています。
ほぼ日 ‥‥え?
それは、あの、たとえばわたしもですか?
齋藤先生 はい。そしてガン細胞ができるたびに、
免疫細胞、リンパ球が攻撃して
死滅させています。
しかし、免疫細胞がガン細胞を
見過ごしてしまうと、そのまま生き残り、
やがてガンへと姿を変えていくのです。
ほぼ日 こうしている、今も。
齋藤先生 はい。たった一つのガン細胞は、
1個が2個、2個が4個、4個が8個と、
いつまでも死なずに
倍々ゲームのように増えていきます。
自分自身の細胞の「ならず者」を
監視しているのが免疫です。
免疫細胞であるリンパ球が
監視をしているわけです。
ウイルス、細菌、真菌、原虫などの
外界の異物だけを
監視しているわけではないのです。
ほぼ日 そ、そうでしたか。
齋藤先生 通常、人間ドックなどで見つかる
ガンの大きさというのは、
最小のものでも直径1センチです。
ほぼ日 それより小さいと見つけにくい。
齋藤先生 はい。
では、その1センチの中には、
ガン細胞が何個くらいあると思いますか?
ほぼ日 見当もつかないですが‥‥1万とか?
齋藤先生 10億個です。
ほぼ日 はあああー、億のレベルでしたか‥‥。
齋藤先生 10億個のガン細胞は、
細胞分裂ですと30回ほど、
年数でいうと10年から15年、
つまり免疫という監視システムをかいくぐって、
長い経過の中で
成長してきたものがガンなのです。
ほぼ日 そんなに時間をかけて。
齋藤先生 ちょっと算数の計算になりますが、
フルに稼働している免疫が、
1日約5000個できるガン細胞を
すべて退治してくれるとします。
体温が一度下がることによって、
免疫力が30%低下するということは、
毎日できる5000個のガン細胞に対して、
1日に1500個近くのガン細胞が
監視の目をかいくぐって、
増殖する可能性がでてくる、
と言っても過言ではないかもしれません。
ちょっと漫画のような話ですけれども、
イメージはしやすいのではないでしょうか。
こうして退治されなかったガン細胞が、
10億個に達するのに10年から15年かかる
ということになるわけです。
ほぼ日 ガン細胞は、きのうきょうで
急に10億個になるのではないのですね。
齋藤先生 そうです。
現在35歳の人だとすれば、
今のうちから意識を持っていただきたいですね。
免疫力が下がれば、
ガン細胞が残存する危険が高まる、と。
ほぼ日 その免疫力は、
体温が1度下がると30%低下する。
齋藤先生 そういうことです。
体温でいうと、35度台ですね。
36.4度以下の体温を、
「低体温」と定義していますが、
35度台の低体温のときに
ガン細胞は最も活発に増殖します。
ほぼ日 うかがうほどに、怖いお話で‥‥。
齋藤先生 はい、深刻なお話だけに。
どうしても暗い内容になってしまうので、
書籍の中でも詳しく述べられなかった部分です。
免疫に対する意識をより高めて頂きたいと、
きょうはあえてお話させていただきました。
ほぼ日 ありがとうございます。
‥‥それにしても、その、
低体温の人が近年増えていると
著書には書かれていましたが‥‥。
齋藤先生 はい、非常に多く見受けられます。
ほぼ日 その理由はなんなのでしょう?
齋藤先生 様々な理由がありますが、
大きなものとしては、ストレスがあります。
ほぼ日 ストレス。
齋藤先生 これについては
関わる事柄がすこし複雑なので、
のちほどくわしく説明させてください。
ほぼ日 わかりました。
齋藤先生 それと、低体温の理由として非常に大きいのは、
明らかな運動不足です。
ほぼ日 あー、はい。
齋藤先生 50年前の日本人の平均体温は、
36.89度でした。
ほぼ日 今なら微熱と言われそうな‥‥。
齋藤先生 そうですね。
で、現在の平均体温が36.20度。
0.7度近く下がっています。
圧倒的に運動量が落ちているということです。
1950年代は戦後すぐの時代で、
当時のことを想像されるとわかると思いますが、
たとえ女性でも、子どもを背負って
畑仕事をするなどは普通のことでした。
1日の運動量がたいへん多かったのです。
ですから、女性の筋力不足が
問題視されることはありませんでした。
筋肉は人体最大の熱生産器官ですから、
筋肉がなくなると、体温も下がります。
圧倒的な運動不足によって、筋肉が少なくなり
体温が下がったということが言えます。
ほぼ日 なるほど。
齋藤先生 そして、エアコンですね。
最近はもう、1年中、24時間、
空調がゆきとどいているような、
そういう時代になっています。
働いているときも、遊んでいるときも、
さらに寝ているときも、
汗をかかない環境で生活する方が
たいへん多くなりました。
脳の視床下部にある
体温中枢を刺激する機会が失われると、
体温を調整するための
発汗中枢に誤作動を生じてしまう。
これも大きな低体温の原因になりますね。
(つづきます)


2009-06-29-MON



『体温を上げると健康になる』

齋藤真嗣(著)
サンマーク出版/1470円(税込)
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(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN