第33回 虫は写真撮るもの。
対談 海野和男×糸井重里〜その4

ほぼにちわ。
啓蟄も過ぎましたね。
そろそろお花見の声もかかる今日この頃、
本日は、対談の第4回目をお送りいたします。

虫をカメラで撮り続けている海野さんが、
虫を食べることってあるの?
という素朴な疑問から、
カメラのレンズを通さない2人の虫話しを、
のんびりとお楽しみくださいね。
虫の写真もありませんので、
安心してご覧ください〜。



対談:海野和男さん×糸井重里 その4


海野さんのプロフィールは、こちら
TV番組 「地球は虫の惑星だ
 〜知られざる虫たちと海野和男の映像世界〜」で
 第47回科学技術映像祭(ポピュラーサイエンス部門)
 文部科学大臣賞を受賞されました。おめでとうございます!


●カメラについて
糸井 そういえば、海野さんは
いつごろからカメラを使い始めたんですか?
海野 1番初めにカメラを持ったのは、
小学校1年生ぐらいですね。
母親がカメラ好きで、
1台だけ家にカメラがあったんですよ。
それは、母親が高校生のときに
買ってもらったカメラらしくて、
戦後生活に困って、いろいろ売った中、
そのカメラだけは、あまりにも古くて、
売れずに残ったみたいです。
そのカメラで、
家族の記念写真とか撮っていました。
自分のカメラを持ったのは、
小学校の5年生のときかなあ。
糸井 修学旅行とかがきっかけですか??
海野 いや、カメラが出たので
欲しくてしょうがなくて。
糸井 それってどんなカメラか覚えていますか?
海野 フジペットっていう機種ですね。
糸井 あ、それ、僕と同じだ!
僕はそのあとに、
「フジペット35」を買いましたよ。
海野 僕はね、次にペトリ35という、
もうちょっと大きいカメラを買いました。
その次は「オリンパスのペンD」。
糸井
その他
男性陣
(30代後半
 〜50代)
ぁあああ〜〜、あったね〜〜〜!!
ペンがはやったんですよねー。
(ざわざわざわざわ‥‥)



虫話からはそれて、
カメラ話で盛り上がる男性陣。
その後のカメラについてのお話しは、
同時取材をされていた
「デジタルフォト」誌で、
詳しく掲載されていますので、
良かったらご覧くださいね。

「デジタルフォト」

4月号
3月20日(月)発売
定価1000円(本体952円)
CD-ROM付き
【ご購入はこちらから】

●虫を食べる話。
糸井 海野さんは、ずっとカメラが好きで、虫が好きで、
写真を撮られてこられたんだと思うんですが。
‥‥虫って食べたりします?
僕は、ハチの子は食べますけどねー。
海野 ええ、旨いんですけどね、
僕は虫はあんまり食べないんですよ。
味は知っておかないといけないんで、
食べなさい、と言われると食べますけど。
でも、どうも虫は食べる気にならないんです。
あれは食べるものじゃないと思い込んでいるので、
子どもの頃は網で捕るものだと思っていたし、
この頃は、写真を撮るものだと思っているんで。
食べるものだと思ったことは一度もないですね。
糸井 お仕事柄、付き合いで「虫、好きでしょ?」
なんて言って勧められたりしませんか?
海野 ええ、そうすると、
「そう言われりゃ食べるよ」ってね(笑)、
味は知ってるし食べますよ。
ただ、虫は食べるものじゃないと、
思っているだけだということですね。

そういえば、
3Dビデオで昆虫を撮ろうという話があって、
その撮影に来たスタッフが韓国人だったんですが、
カイコのサナギを食べる話しになって、
韓国じゃ、普通に蚕のサナギ食べるんだって。
この頃は、若い子が少し食べなくなったとはいえ、
屋台で売っていて、女の人でも普通に食べるんだ、
という話をしていて、とてもびっくりしましたね。
ほぼ日 確かに日本では、虫を食べるって、
珍しいことに思われますよね。
海野 でも、長野県じゃ虫を食べるのは、普通なんです。
僕は今、長野県の小諸で1年のほとんどを
過ごしているんですが、
うちの近くのスーパーに行ったら、
カイコのサナギやイナゴの佃煮だけは、
ワカサギの佃煮なんかと並んで売ってるよ。
ジャスコに売ってる。
ほぼ日 ジャスコに!!
海野 日本も韓国も同じなのは、戦争の頃に、
虫を食べるようになったっていうことだね。
貧しい時に食べてた。
聞いてみたら、韓国も、大昔から
食べていたわけじゃないって言うんです。
それが、韓国では全国に広がったんですよ。
食べたら本当はおいしいので、
文化として残ったんですね。
糸井 ハチの子は好きだなあ。
フレッシュな幼虫をフライパンで煎ったやつに、
お醤油をジュっと付けて食べる‥‥。
海野 (間髪いれずに)どのハチの子??
いわゆる高級なやつ?
糸井 ‥‥うーんと、あのー、
その辺にあった蜂だからミツバチ‥‥ですかね?
海野 (間髪いれずに)アシナガバチですね、それは。
その辺にあったものならね。
ほぼ日 少ない情報だけで、
ハチの種類の検討がつくなんてすごい!
海野 昔、岐阜の山奥の小学校に行って、
子どもたちにカメラを配っておいて、
夏休みに好きな虫を撮っておくようにと、
虫の授業をしたことがあったんです。
そのうちのひとりが、
アシナガバチの巣を取って来て、
取るところから炒めて食べるところまでの
連続写真を撮ってきたんです!
あれは、面白かった。

今、日本ってどこに行っても、
そんなに生活には差がないじゃないですか?
岐阜に行った前の週に、
兵庫県西明石市で同じことをやったんですけど、
そこで、デジカメの消費率とか
使用頻度とか調べたら、
山の中でも街でも変わらないんです。

ところがね、山の子どもたちは、怖がらない。
マムシの写真が出てきたり、
ハチの子を食べる写真が出てきたり、
生活と密着してるんですよね。
西明石市の子どもも、怖がらないんですけど、
勉強として虫を怖がらずに捕る、
というのとは、やっぱり違うんですよ。
糸井 生活の中にあるから、
人間として怖がらないって感じですね。
海野 そうそう。
あと、岐阜の子どもは
半分以上の子がハチに刺されたことあるの。
糸井 うちの社員で
ハチに刺された子っているのかなあ?
ほぼ日A ないです。
ほぼ日B あります。
ほぼ日C ないです。
糸井 僕は、刺されたりもしたけど、
子どもの頃、ミツバチの針を抜いて、
その先に付いている蜜の袋を舐めてたの
(にこにこ)。
海野 ふ(笑)。
それは蜜じゃないです、毒袋です。
糸井 ‥‥‥。
ほぼ日 ふっ(全員笑)。
海野 でも、もちろん、お腹の中に入っているから、
蜜も少しは付いていますよね(笑)。
糸井 僕は喜んで、一生懸命、
毒袋を舐めていたんですね‥‥。

海野 でも、食べても大丈夫なものですから。
ミツバチは針の先が、鍵型になっていて、
いっぺん刺したミツバチは死んじゃうの。
刺した針は抜けずに皮膚に残って、
その針に付いている毒袋が、
ピクピク動いて、毒を注入しているんですね。
ミツバチはたいした毒じゃないんで、
昔は針治療に使っていたほどです。
ただ、アレルギーがあると危ないので、
針治療は、しないほうがいいですよ。
糸井 毒袋も舐めないほうがいいですから‥‥。

来週に続きます。
日曜日をお楽しみに〜。



今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。

(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


カイコ
アシナガバチ



※掲載している写真、動画は
 全て海野さんに許可を得て、
 以下のサイトよりリンクしております。
 ありがとうございました。

東京電力「海野和男先生の昆虫教室」

海野和男のデジタル昆虫記

BROBA コミュニティ「Nature & Image」
*「Nature & Image コミュニティ」は、
 2004年3月末日で終了致しました。


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2006-03-19-SUN



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