DOCTOR
Medic須田の
「できるかぎり答える医事相談室」

「連載再開のお知らせ」

お久しぶりです。
もうお忘れになった方もいらっしゃるかもしれませんが、
Medic須田です。

え、思い出して下さった? 
そいつはありがたいなぁ。住所が分かれば感謝状を
お送りしたいくらいです。

僕が連載を休んでからずいぶんと「ほぼ日」にも
変化がありましたねぇ。
今の僕のお気に入りは、「もしもしQさん」です。
実は僕、もともとQさんのファンで、
本棚にもQさんの本が何冊も並んでいます。
『銀行と付き合わない法』、『株の極意』、
『国富論の読み方』などなど。
そんなQさんファンの僕ですから、「金儲けの神様」に
「ほぼ日」で出会えるなんて、夢にも思いませんでしたよ。
嬉しいですねぇ。

え、ナニナニ?

「そんな話はイイから、オレ様に無断で休んでいたわけを
 ここで説明しろよ」

ごもっともでございます。何様だか知りませんが、
その“オレ様”に今回はその説明をしようと思って
この原稿を書き始めたのでございます。

端的に申しますと、国家試験のお勉強が忙しく
なったためです。
医師国家試験というのは、数ある国家試験の中でも
合格率は抜群に高い国家試験でして、
ここ数年の合格率は85%くらいで推移しています。

「じゃ、簡単なんじゃない? 須田君だったらそんなに
 勉強しなくても良さそうなものなのに」

なんて思って下さった心優しい女性がいらっしゃいましたら
涙が出るほど嬉しいですねぇ。でもね、それでもちゃんと
お勉強しなくちゃならないんですよ。
試験の合格率が高いのは、必ずしも「易しい問題がでる」と
いう意味ではなくて、「覚えるべきことを覚えればちゃんと
合格できる」という意味にちかいんですよね。
で、その“覚えるべきこと”の量が半端じゃないんですわ。

今、僕の部屋には、試験が終わったので不要になった
国家試験用の問題集や教科書が散乱しているのですが、
これを積み上げたら僕の背の高さは追い越して、
ひょっとしたら天井近くまで行っちゃうんじゃないかという
くらいなんです。
もちろん、すべてをきっちりとマスターしたわけでも
ないし、一部の本に至っては読み飛ばしただけのものも
あるんですが、それでもかなりの量ですよね。

となると、丸暗記しなければいけない事柄も
かなりの量にのぼるでして、直前に近づくにつれ、
なんとかして覚えなければいけないことは、無理矢理な
語呂合わせを使ってでも覚えようとするわけです。

例えば、予防接種法により定期予防接種が定められている
ものには
「日本脳炎」「風疹」「ジフテリア」「破傷風」「百日咳」
「麻疹」「ポリオ」の7つがあるんですが、これを

「日本の富士は百万歩」

なんて覚えてみたりするんですよね。
これ一つだけ取り出してみれば大したことはないんですが、
こんなのが100も200もあった日にゃ、
「いったい、何が悲しくてこんなものを覚えにゃ
 ならんのだろ」
と泣きたくなることもありますわな、普通。

で、アパートにこもってこんなことばっかりやっている
毎日が続くと、文章なんか書く気力が失せて来るんですよ。
たとえて言うなら、フォアグラを作るために口から無理矢理
食い物を詰め込まれているガチョウになったような
気分ですかね。

僕は、訳あって2回も大学受験をしたのですが、
この受験勉強の時は、数学なり英語なり思考力を働かせる
場がかなりありました。
ですから、長い時間やっていてもこんな気分になることは
ほとんどなかったのですが、医師国家試験では思考力を
働かせる場がほとんどないのでこんなストレスを
感じたんでしょうね。
 
というわけで、この3、4ヶ月、そんな生活を
していたために、原稿を書くような余裕がなく、
期待して待って下さった読者の方には
たいへん申し訳ないことを致しました。
でも、国家試験もようやく終わりまして、
あとは合格発表(死刑宣告?)を待つ身になりましたから、
また凝りもせず連載を再開させてもらいます......


ん? そこのアナタ、何かご不満な点でも?

「あのさぁ、Medicって ”医学生”って意味なんでしょ。
 もし試験に合格して病院に勤め始めたらMedic須田じゃ
 なくなっちゃうんじゃないの?」

鋭いですねぇ。それだけしっかりとこのページを読んで
下さっているアナタだったら僕の代わりに試験を受けても
合格できたかもしれません。
実はですねぇ、僕もこのことは常々気がかりでして、
どうしようか考えていました。

何とか方法はないものかと、僕の手元にある英和辞典を
引いてみると 案の定、「医学生」という意味しか
載っていませんでした。
ちょっとやばいかなとも思ったんですが、そ
こでくじけずに(笑)、もっとでかい英英辞典を
押し入れの奥から引っぱり出して引いてみると、
確かに、「medical student(医学生)」 という意味が
最初に書かれていたのですが、

「intern(インターン), resident(研修医)」

という意味もあるそうなので、ホッと一安心いたしました。
ですから、今後しばらくは「研修医」として
「Medic須田」を名乗りたいと思っています。

え?

「っていうかさぁ、試験に受からないと研修医にも
 なれないんでしょ。大丈夫なの?」

痛いところを突きますねぇ。芸能リポーターも真っ青の
ツッコミです、それ。
でも、確かにご指摘の通りで、4月20日の発表を前にした
今の僕は「まな板の上の鯉」の状態です。

ま、とりあえずは、そのことに目をつぶって
(イイノカ?)、久しぶりに
晴れやかな気分で原稿を書かせてもらいました。


次回は3ヶ月前の続きから書こうと思います。

今後ともよろしく。

2000-03-24-THU


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