DOCTOR
Medic須田の
「できるかぎり答える医事相談室」

Q、家系なのかなんなのかよくわからないのですが、
現在自分にはいろいろなアレルギーがあります。
たとえば、肌につける化粧品の大部分に対して、
私の身体は反応してよからぬことをひき起こします。
ついでに、春になればスギ花粉症だし、
ぶたくさが咲けば、鼻水はとまらない。
図書館にいけばホコリでまたもや鼻水がでまくる。
ネコに近づけば白目が腫れる。

このような困った症状を
根本的になおすことってできますか?
それから、これ以上、そういうものを増やさないためには、
どうしたらいいのでしょうか?
(22歳・女性 ビビアン)

以下、回答です ビビアンさんと聞くと、スーのビビアンさんか、
リーのビビアンさんか、
はたまた慰謝料2億円のビビアンさんか(笑)、
ちょっとわかりかねますが、
ビビアンさんは、どの「ビビアン」がお好みですか?

と、訳のわからない導入はこの辺にして、
質問はアレルギーですね。

これは辛い。
実は僕も15年来の杉花粉症で、
最近はそれに加えてさらにヒノキにも
反応するようになってしまったらしく、
その季節には大変なことになっています。

鼻は詰まる、眼はかゆい、鼻水はいくらでも出てくる、
ムラムラしてしてそこら中の
女の人のお尻を触りたくなる(ちょっとウソ)。

しかし、最近アレルギーを持っている人が増えましたよね。
何でこんなにアレルギーが増えたのか、
色々な説が語られていますが、無難な説明は、
人間の免疫系と環境との関係でしょう。

最近、『笑うカイチュウ』とか、
『空飛ぶ寄生虫』なんて本で有名になった
東京医科歯科大学の寄生虫博士の藤田浩一郎先生は、
「寄生虫を飼わなくなったのがアレルギーの増えた原因だ」
と仰っています。
また、大阪大学の免疫学の先生は(名前は失念しましたが)
「感染症にかからなくなったのが原因の一つだ」
ということを仰っています。

二人の先生の意見というのが一致しているのは、
「環境が変わってしまったのに、
人間の免疫系がなかなかそれに対応できないでいる」
ということでしょう。

例え話を申しましょう。
ここに高校野球のチームがあったとします。
すごく才能のある連中で、
毎日一生懸命練習をこなしていたとします。
体力もあって、野球一筋で過ごしてきた連中です。
おまけに野球以外のことはからっきし駄目で、
野球を取られたら生き甲斐がないような連中です。

そんなある時、国家が野球禁止令を出し、
周りに戦うチームがいなくなったとします。
そうするとどうなるでしょう。

僕がそいつらだったらきっとグレます(笑)。

体力もあって、
練習をまじめにこなしてきた連中であればあるほど、
グレる度合いも大きいでしょう。
野球部でない他校の連中にインネンを付けたり、
しまいには自分らの監督にまで刃向かい
しまいには仲間にまで
喧嘩をふっかけたりすることになることでしょう。

で、これを免疫系に当てはめると、
「今まで一生懸命野球をやってきた」
→今までは寄生虫やその他の感染症を相手に戦ってきた。
「野球部ではない連中にインネンを付ける」
→普段だったら戦う必要のない物質に過剰に反応する。
「自分らの監督にまで刃向かう」
→自分の正常な組織まで傷を付けてしまう。
という感じになるわけです。

ですから、アレルギーに対する基本的な治療としては
「なるべくやばい相手に会わないようにして、
部員たちを刺激しないようにする」
→アレルゲン(アレルギーの原因物質)の回避
「まあまあとなだめて連中に動かないようにしてもらう」
→炎症を抑える作用のある薬を服用する

ということになるわけです。

だから、お医者さんのいうことをよく聞いて
適切な薬を処方してもらって、
それをきちんと服用するということと、
アレルゲンがありそうなところには
行かないように気をつけるとか、
その間だけはマスクをしてアレルゲンに
触れないようにするということしかないんですね。

辛いことですが、実際に僕もそうしていますしね。
とりあえず気長に付き合うしかなさそうですよ。
何しろ、寄生虫とも感染症とも、
昔ほど縁がなくなった我々の清潔な生活とアレルギーは
裏表の関係にあるというわけなんですからね。

あと、色々な民間療法がありますよね。
僕もそれらしい理屈を述べているものから、
無茶苦茶怪しいものまで色々と試したのですが、
結局はきちんと薬で処置する方が
よっぽど良いように思いました。
アレルギーが治ることを売りにしている民間療法や
宗教団体もありますが、
そういうものを試される方には
「治ると良いですね」と祈るしかありません。

結論として、
「アレルギーの原因は自分の体の免疫系にも
原因があるので、これを根治するのはとても難しい。
だから、とりあえずは免疫系の細胞が
ガンガン悪さをしないようになだめつつ
一緒に暮らして行くしかない」
ということになるわけですね。

今回はとても歯切れが悪い回答でしたが、
ビビアンさんと同じ悩みを持つ僕からの
実感を込めた回答ということでお許し下さい。


(追記)
前回の「有害電磁波」に関する回答について
読者の方からこんなお便りが届きました。

「電磁波は“強さ”と“周波数”の
 二つの性質を同時に考慮しないと
 なんか変な結論が出てしまうときがあります」

「電磁波は強さとともに周波数という
 別の性質を合わせ持っていますので、
 先日読ませていただいた
 “Medic須田の『できるかぎり答える医事相談室』”は
 ちょっと納得できかねるなー、という感想でした」

そう、そのとおりです。
この要素があることをすっかり忘れておりました。
貴重なご指摘ありがとうございました。

ただ、今のところ、
「いわゆる電磁波によって腫瘍にかかる人が増加した」
という決定的な疫学的研究結果はないようなので、
とりあえずは
「有害ではない可能性が高い」と僕は考えております。
(この方も、周波数の要素を持ち出したのは、
 「電磁波無害説」を否定するつもりではなく、
 あくまでも物理的な間違いを指摘するという
 意図だということを強調されておりました)

これからもまじめな批判はいくらでも受け付けますので、
間違いがありましたら遠慮なく、ご指摘下さいませ。

                       

1998-12-11-FRI


戻る