ITOI
ダーリンコラム

<理由なし>

どうも、このところ、
月曜日の『ダーリンコラム』のために、
前夜に多少なりともまとまったことを書くことが、
できなくなっているようです。
集中力が足りない、というか、
拡散力がありすぎるというか、
それなりの長さの文章を書いては、
やめてしまいます。

「ほんとうは、もっと簡単に言えるのに」
という思いが生じてしまって、
それまでに書いた長々しいテキストを
引っ込めたくなってしまうのです。

先週も、そうでした。
「経験」というようなことについて
書こうと思っていて、それなりに書いたところで、
送信するのをやめてしまいました。
書いたことを煎じ詰めたら、
「経験とは当事者意識です」
ということだけだったのです。
で、先週は、お休みしました。

今週は、
『モノポリー』というボードゲームのことから、
「断る理由」について書いたのですが、
これも、もっと短く言いたくなりました。
昔から、よくぼくが言っていることです。

「断る」場合、必ずしも「理由」を伝える必要はない。
(合意で成立するすべての事柄について)

たった、これだけのことです。
そりゃもう、あらゆる場合だと思います。
結婚のプロポーズを断る場合も、
借金を頼まれて断りたいという場合も、
夜道を送っていくよという「親切」を断る場合も、
食事の誘いを断る場合も、
心中を断る場合も、
ぜんぶ、「うまく理由は言えないけど、イヤだ」と
断れるということが大事なのです。

「理由をうまく言えないから断れなかった」
というケースは、世の中にいくらでもありますが、
それは依頼なり提案なりした側の、思う壷なのです。
「どうしてですか!」と、
理由を言わせようとするのは、実は暴力なのです。

というようなことを、
もっとうまく言いたかったのですが、
集中力がなくて、ダメでした。
なので、いっそ、まるまるナマのままで、
ここに書いておくことにしました。

「理由なしに断ってもいいんです」
これは、憶えておいたほうがいいです。
え?
憶えたくないって?
どうしてですか?!
理由を言ってください。
納得できないなぁ、
ちゃんと理由を言ってくださいよ!
なんちゃったりして、たりらりらーん。

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「ダーリンコラムを読んで」と書いて、
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2006-10-23-MON
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