ITOI
ダーリンコラム

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<痛ててててて>

ちょっと軽すぎるたとえかもしれないのだけれど、
なんかのひょうしに向こうずねかなんか打った時、
「痛ててててててっ」と、涙なんかにじませて
うずくまるじゃないですか。

そういうときに、人は、
二種類に分れるもんだと思ったんだ。
「大丈夫?!」と、
抱きしめられたりなでられたりしたい人、
そして、いっさい触られないでいたい人。
ぼく自身は、圧倒的に後者のタイプなので、
誰かに近寄られると、「こ、来ないでくれ」と、
失礼にも怒ったりさえしかねない。
じっと、痛みがひいていくのを、
ひとり静かに待っているほうが、いいと思うのだ。

なんだろう、この、ひとりで「くううっ」な感じ。
いまさら、大人になってから感じるのは、
ぼくが肉親に対して、
こどもらしく甘えないまま育ってきたことと
関係ないではないようにも思うのだけれど。
同じようなタイプの人が
けっこういっぱいいるらしいことから考えると、
両親との関係が理由ともかぎらないようにも思える。

犬とかがケガをしたり、病気をしたりしたとき、
「抱っこしてくれ〜」とすり寄ってきたりせずに、
ひとりで静かな場所で、じっと静かにしてるでしょ。
ああいう、ケモノなんかに近い感覚なのかもしれない。

そういう話をしたこともないのだけれど、
どうやら、カミさんもそういうタイプのようだし、
考えてみたらムスメも、同じじゃないかなと思った。
としてみると、これはひとりっこの特徴なのかもしれない。
ぼくは、妹はいるのだけれど、
年齢が十歳離れていて、まるで
ひとりっこがふたりいるような感じだったので、
ほとんどひとりっこのような性格を持っているようなのだ。

こういうタイプの人間から見ると、
「痛ててててて」の時に、
背後から抱きしめて「だいじょうぶ?だいじょうぶ?」
なんて慰めている人についても、
慰められている人についても、
不思議に見えるものなのだ。
そっちの側の人からしたら、
ぼくなんかのほうが、
冷たいと映るにちがいないのだけれど。

おそらく、精神的な「痛ててててて」についても、
励ましだとか癒しなどというものを、
他人に強く求める人と、
できるだけほっといてもらって、
自然治癒力で回復するのを待ちたい人と、
両方がいるにちがいない。

傷口を自分の舌でぺろぺろ舐めながら、
じっと動かずにいる犬のようにしている人間は、
周囲の、慰めるのが好きな人から見たら、
きっとさみしい人に見えるんだろうなぁ。
甘え下手とも言えるわけだしね。

こういうようなテーマで何か書くと、
「なんかつらいことでもあったのか?」と、
訊かれちゃうかもしれないので、断っておきますが、
別に、なんにもないです。
前々から、向こうずねを打ったときとかに、
よく思ったことを、今日書いているだけであります。
自分みたいな人間と、慰めたり慰められたりの好きな
甘え上手な人とがいっしょにいたら、
さぞかしうまく行かないだろうなぁと、思っていたわけ。

あなたは、どっちのタイプでしょうか。

このページへの感想などは、メールの表題に、
「ダーリンコラムを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2002-12-16-MON

<どう放っておけばいいの?>

こんにちは! 「ほぼ日」のメリー木村ですっ。
今日は、ちょっとだけお邪魔しまーす‥‥。

おとといの「ダーリンコラム」には、
75通以上のおたよりを、いただきました。
いつも、ありがとうございます。

けっこうな数のメールの本文が、終始、
「かまう」「かまわない」についての議論になっている、
という図は、なんだか、たのしかったんですよ♪

驚くことに、いま現在、9割ちかくの人が、
「わたしも、痛い時にはかまってほしくないわ!!!」
というタイプのメールを、くださっている状態なんです。

そんな中から、個性的な5通のメールを、
今回は、特別におとどけいたしましょう。

「痛い!っていう時に、
 抱きしめてほしい方か、触れてほしくないか」
という問いに対して、なぜか必要以上に
「わたしの彼(彼女)はどうなのかしら?」
とドギマギしている人のメールが、
とても、ほほえましかったです。ぜひ読んでみてねー。



私(夫)は、なでられたい人。
 妻は、触れられたくない人、だと思う‥‥。
 お互い、そういう面ですれ違うことが多々ありますが、
 なんとかやってます。
 妻のその部分についてはいつまで経っても、
 心の底までは理解出来ません。
 そういうものだとあきらめています。
 そのあきらめが、今まで続いている秘訣かもしれません。
 ただ、いつか、重大なことにならないかビクビクです。
 あくまで精神面の話ですが、
 「ほっといてほしい」時には、
 一応ほっといているのですが、
 どう「ほっとい」たらいいのかわかりません。
 「痛い」については、
 まったくなかったことにして良いのですか?

 それとも、基本的にほっとくけど、
 「勝手に冷やせよ」と、そばに
 氷嚢などを投げつけてやるべきでしょうか。
 それさえもおせっかいでわずらわしいのでしょうか。
 そんなことで、日々悩んでおります。
 (よ)

今日のダーリンコラムに
 ものすごく反応したのでメールします。
 私はダーリンとは逆のタイプです。
 「慰めたり慰められたりの好きな甘え上手な人」です。
 痛いときには「いたいぃ!!」と叫びますし、
 ちょっと凹んだときにはすかさず友だちに、
 ズバリ「助けてー!」というタイトルでメールします。
 ダーリンタイプの人からみたら、ダイレクトすぎですよね。
 私は常に「お姉ちゃんなんだから」と育てられたため、
 昔から、助けを求めることは
 コケンに関わると思っていました。
 そんな私が、甘えっ子タイプに寝返ったのは、
 大人になって「助けてもらう喜び」を発見してから。
 「助けてー!」って言うのは勇気がいるけれど、
 助けてもらうのはこんなに気持ちのいいことなんだ、
 ということを実感してから、
 助けてもらうことにハマりました。
 しかし、今の私のほんとのダーリンは、
 ひとりっこタイプなので、
 彼が痛がっているときどうしたらいいのかなぁ。
 人に全く無視されたいのですか?
 それとも観察されるぐらいがいいのでしょうか?

 (あ)

ぼくも触られないでいたいタイプです。
 甘えるのは苦手ですが、甘えられるのは得意です。
 というより好きです。
 そう言えば、大学時代にカウンセリング関連の授業で
 「弱さを見せられるという強さもあるのですよ」
 と教授が言っていたなぁ‥‥。
 甘え上手、ぼくはあこがれちゃいます。
 (むにお)

今日のダーリンコラムは、わたしも思い当たってまして、
 「なるほどねえ」と思いました。
 会社で隣の男の子が上司に叱られて、
 なんとなく彼にも言い分があって悶々としていた時、
 「放っておいてあげようか」
 と言ったら、すごく嬉しそうにしました。
 気をかけておいて、しかし、放っておく。
 そんな愛情もありですが、
 放っておきすぎて、
 なかなか親密になれずにいます‥‥(笑)

 (ロ)

私も、ほっておいて欲しいタイプの人です。
 とはいえ、糸井さんのところのように
 ひとりっ子と言うわけでもありません。
 今回のコラムを読んで、
 これと同じような謎かけ心理ゲームを
 されたことを思い出しました。
 あんまり詳しく内容まで
 覚えているわけではないのですが、
 「あなたは大変つらい腹痛におそわれています。
  彼女にどうしてもらいたいですか?」
 といったものだった気がします。(3択だったかも)
 ぼくの答えは、
 放っておいてほしい、だったのですが、
 「このタイプの人は:
  今まで付き合っていた人は面倒くさい人が多い」

 というものでした。
 同じ答えをした友人を見て、
 なんだか納得してしまった記憶がありました‥‥。
 (MA)




「どう放っておいたらいいのかわかりません」
「氷嚢などを投げつけてやるべき?」
「観察されるぐらいのほうがいいのですか?」
「放っておきすぎて、親密になれずにいます‥‥」
に、ウケましたー!

たしかに、自分がなぐさめられたいかどうかは、
黙って胸に手を当ててみればわかるでしょうけれども、
まわりにいる人のことは、わからないですもんねー。
最後の意味深な心理テストも、たのしかったです。

それではまた、来週のダーリンコラムも、おたのしみに!

2002-12-18-WED

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