2010年3月14日の「今日のダーリン」
・昔から、ぼくが「圧倒的な少数派」に
 させられる場面がありました。
 それは「バナナのむき方」なんです。
 ぼくは、生まれてこの方ずっと、バナナといえば、
 軸というか茎というか、つながっている側を手に持って、
 反対側の先がちょっと黒いほうを軽くさくようにして、
 すいすいとむいてきました。
 先からむくというのが自然だと思ってましたし、
 持ちやすいし、なんの問題もなかったのです。
 
 しかし、あるとき、
 「イトイ、そっち側からむくのか!?」と、
 じぶんが変な人であるかのように不思議がられました。
 ぼくは、対抗心もないままに、
 「おれは、こうしている」と言うのですが、
 「そんなやつはいない」を、やや馬鹿にされるのです。
 そのときから、バナナの根元をパキッとやって
 むきはじめる人のほうが多いらしいと
 知ることになりました。
 でも、7対3くらいの割合で、つまり、
 10人のうちの3人くらいは、ぼくのように、
 根元を持って先からむいて食べているものだと、
 ぼくは信じていたのです。
 
 しかし、そのことを思いつくたびに、
 周囲の人々に質問していたのですが、
 これまで、ぼくみたいにむく人がいなかったのです。
 7対3どころか、9対1にもならないのです。
 ここまで少数派になると、ますます対抗意識もなくなり、
 どっちでもいいけど、孤立しすぎだなぁと思ってました。
 
 で、このことを「ほぼ日」に書いてみようと、
 誰か、これについて統計とかとってないかなぁと、
 「バナナ むき方」とGoogleで検索してみたのです。
 そしたら、なんと、多くの人がやっぱり、
 根元のほうをパキッと折ってむき出していたみたいで。
 「先っぽからむく方法」を考えてもいなかったらしい。
 そして、この先からむく方法を、おサルのむき方として、
 とても便利な大発見みたいに言ってました。
 おれは、ごく自然におサルだったらしいです。