東京カリ〜番長・水野仁輔さんが選ぶ カレーの思い出。
#その7

こんにちは。
ちょうど1年前のゴールデンウィークから、
始めたことがあります。
それは、フランスワインを飲みまくること。
これからの自分自身のカレー活動を楽しくするために、
ワインを勉強しなければならない!
と突然、思い立ったからです。
理由は、ふたつあります。
ひとつは、「カレーとアルコールの相性がよくない」と
一般的に言われていること。
本当でしょうか? カレーライスならまだしも、
スパイス料理なら相性のいいアルコールもあるはずです。
もうひとつは、「ワインで煮込むとカレーがうまくなる」と
信じられていること。
本当でしょうか? 本当かもしれません。
「ほぼ日カレー部」でタモリさんが作ったカレーにも
白ワインが使われてました。うまかった。
だとしたら、どんなワインを
どのタイミングでどのように使うと
どういうおいしさがカレーに生まれるのか。
僕は、知りたい。厳密に突き止めたい。
そのためにこの1年間、
フランスワイン以外のアルコールは、
一切口にしない、と決めて生活してきました。
勉強のために収集している
ラベル(エチケット)を数えたら、
250枚ほどありました。年間250本のフランスワイン。
なかなかいいペースかな。お金はかかるのだけれど‥‥。
いつか、“ワインとカレーの幸せな関係”について、
みなさんにお伝えできる日がくればいいなと思ってます。


031
宇治茶漬/女性/42歳

父はカレーが好きでした。
自分が子供時代にはりんごとはちみつ入りのカレーが
大流行りしていたのですが、目もくれず
市販の一番辛いカレーの大辛を食べており、
子供もそれを食べるのが当然でした。
(激辛ブームなんてずっと先の話です)
妹は涙目になりながら残していた記憶があります。
その英才教育のおかげで
中国で現地の人に勧められた四川料理を
顔色一つ変えずに食べ、喜ばれるような人に育ちました。
妹は子供が出来たため
父へのお供えが
りんごとはちみつカレーになってしまったのですが、
今度大辛カレーをお供えしてあげようと思います。

あ、うちと環境が似てますね。
僕の父もカレーが昔から好きだったようで、
さらには昭和のオヤジ、亭主関白。
(こんなこと書いたら怒られるかな‥‥)
「甘ったるいカレーなんか、食ってられるか!」
というタイプだったので、
最もスパイシーなカレールウの中辛を
小学校低学年のころから食べさせられてました。
でも辛くて大変だったという記憶はありません。
「りんごとはちみつ‥‥」で有名なルウは、
カレーは辛くて当たり前だった世の中に初めて出た
甘口のルウだったようです。
「家でのカレーの味を決めるのは、父親ではなく母親だ」
というマーケティングを元に
「父親が好きな辛口ではなく、母親が好きな甘口を」
というコンセプトで商品化されたと聞いてます。
が、おそらく、当時の水野家には、
通用しなかったんだろうなぁ。

032
本場のインドカレー食べたい

本格的にスパイスで作るカレーセットで
カレーを作ったら‥‥
間違って水の量を半分にして
すんごいスパイシーなカレー完成。
本場のは違う! と食べて
2回目を作ろうと水の分量を見たら、
あ! 1回目間違ってた!!
2度目は正確な水の量で作ったら美味しいカレー。
だけど1回目のスパイシーも捨てがたい味だったような‥‥

水の量は、超、重要です!!!
たぶん、これを読んでくださっている
どんな方が想像するよりも重要だと思ってください。
少なすぎてスパイシーになってしまうくらいなら、
それはそれで個性的な味を楽しめると思いますが、
逆に水を多く入れすぎてしまったら
残念な結果が待ってます。
レシピを参考にしながら作ったのに、
なんか味が足りない、と思うことありませんか?
たいていの場合、出来上がりのカレーは、
レシピ写真とは違う見た目になっていると思います。
おおざっぱに言えば、
カレーは水分を抜けば抜いただけ味が強まります。
水を入れすぎない。炒めて脱水、煮詰めて脱水。
使う鍋の素材や底面積、火加減によっても味が変わります。
加熱による水分コントロールが
おいしいカレーづくりの秘訣。
とっても重要なことですが、
この場では語りきれないのが、くやしいです‥‥。


033
まやねぇ/女性/34歳

私が妊娠してつわりで苦しんでいた頃の話です。
食事もまともに作ることができなかったため、
夫にカレーを作ってもらったんです。
(一時期、私が唯一口にできた食事がカレーでした)
ただ、夫は中学以来包丁も握ったことのない人。
市販のカレールーの裏に書いてある手順だけでは作れないと
野菜の切り方のメモを要求。
仕方なくジャガイモは6等分とか、
ニンジンは皮を剥いてひと口大にとか
細かく書いてあげました。
が、その日のジャガイモは
小ぶり&男爵を買ってきたようで、
出来上がったカレーはドロドロを通り越して
モソモソしてました。
それ以来、すっかり料理を作ることを諦め、
私の作る料理に一切文句を出さなくなりました‥‥。

いいですね、「じゃがいもは6等分」って。
手取り足取りな感じが微笑ましいです。
男爵いもは溶けるのが早いですからね。
「じゃがいもはメークイン」
もメモに書いておかなくちゃいけませんでしたね。
ついでに、
「にんじんは、縦半分に切ってから乱切り」
「玉ねぎは繊維に平行にくし型切り」
「肉には塩、こしょう」
「カレールウを溶かす前には必ず火を止める」
「かくし味にしょう油3滴」
しまいにはキレられますね。
「自分で作れ!」と。


034
ゆり

小学校の頃、日曜日の夜が大嫌いでした。
いま思えば、おそらく学校に行きたくなくて
(いじめられていたから)
でもそんなことが許されないとわかっていて言い出せなくて
ずっと体調を崩しがちだったのだと思います。
日曜日の夕飯はカレーが多かったです。
共働きで忙しかった両親が、おそらく
「子供と一緒にごはんを作って食べたい」
と思って作られた習慣のように思えます。
食べきれるまで、真っ暗な台所で
じっとカレーとみつめあって
ひとりで過ごす時間が苦痛でした。
おとなになるまで、カレーが食べられませんでした。
今でも自分が作ったカレーしか食べられません。
お店で食べたことはないけど、
そういえばいつの間にか自分でカレーを作って
食べていたことに気づきました。
いつか、平気になるのかな?

嫌な思い出と味というのは、
ずっと寄り添って歩み続ける宿命にあるんでしょうか。
日曜がカレー曜日だったことが恨めしいですね。
僕も中学時代、日曜の夜が憂鬱でした。
小学校低学年からずっと剣道をやっていたのですが、
中学に入ると部活や道場の練習のほかに毎週日曜の夜に
「日曜稽古」と呼ばれていた特別な練習があったんです。
それがきつくてきつくて、先生が怖くて怖くて‥‥。
よく練習が始まる直前に道場のトイレで吐いてました。
ただ、運よく(?)、
我が家は日曜にカレーを食べる習慣がなく、
だから、いまもこうしてカリ~番長をしてられるのかも。
嫌な思い出と同様、楽しかったり嬉しかったりする思い出も
そのときに食べたものの
味の記憶とずっと連れ添うものです。
だから、カレーのある幸せな時間を体験したら、
きっと平気になるんじゃないかと思いますよ。
グッドラック!

035
ペンネームなし

わたしは中学生の頃
「1週間に2回もカレーが夕食になるのは主婦怠慢や」と、
母に抗議した。
母は、いま老いて食事を作れなくなっている。
最近気がついたことだが、
父は母以外のカレーを食べない。
もっともっと作ってもらえばよかった、、、。

しみじみといい話ですねぇ。
でも、ぐずぐずしていてはいけません!
今すぐお母さんからカレーのレシピを教わってください!
そして、お父さんに作ってあげる。
僕は、最近、思います。
おふくろカレーって、
希少で貴重な存在なんじゃないかと。
だから、
「おふくろカレー永久保存委員会」でも立ち上げようかと。
「おふくろカレーレシピ本」でも作ろうかと。
「おふくろカレー食べ比べイベント」でもしようかと。
いつか、やります。
それにしても中学女子って恐るべしですね。
「主婦の怠慢や!」とは‥‥。

いろんな思い出をありがとうございました。
では、また次回。
みなさんの“カレーの思い出”をお待ちしています!

2013-05-03-FRI
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