1101
イナカモン外伝、逆襲のサガ。
都会の正体とはなんだろう?

<映画を見せる気がない映画館たち>


今日は、七年前と、四年前の佐賀市の映画館の話です。

七年前、私は高校一年生。
小学生の従兄弟達を
某夏休み系アニメ映画に連れて行きました。
お昼頃、電車で佐賀市内に出て、
当日の新聞で調べていた上映時間前に
その映画館へ到着。

しかし何故でしょう?
入り口のシャッターが閉まっているではありませんか。
完全には閉まっていないのですが、
地面から1メートルぐらいしか開いてなくて、
その隙間からは上へ昇る階段が薄暗く続いています。
電気がついている気配はありません。

「閉まっとぅとやろか?」

従兄弟達の手を引きながら
どうしようかと入り口に立ち尽くしていると、
おばちゃんが一人やってきて、
「あんた達、入らんと?」
と声をかけてくれました。
「あ、入りたかけど、閉まっとーごたる…」
「閉まっとらんよ。くぐったら良かたいね」
「は?」
そう言うと、
そのおばちゃんはシャッターの隙間によいしょっと
身を屈ませて入っちゃった!

「このシャッター、こい以上開からんごとなっとっとさー」

と笑うおばちゃん。
じゃ、修理しろよ!せめて張り紙ぐらいしろよ!

さて、わたくしたちも身を屈めて中に入ると、
お客さんは5、6人だけ。
座席は全部で五十も無い感じ。
従兄弟達をがらん、
と開いた前方の見やすそうな列に並べて座らせて、
私もよいしょと腰を下ろしました。
そうして見上げたスクリーンに、
私は更に度肝を抜かれたのです。

……つ…
つぎはぎがある……。

スクリーンの真ん中とか、はじとか、
いたるところへ明らかにでこぼこした
つぎはぎがあるではありませんか。
しかも、そのつぎはぎ部分の布地の色が
全然スクリーンの白と噛み合っていない茶色。
思いっきり変色してる茶色。
公民館の巡回映画よりひどくないか?
これは。

極めつけはスクリーンの両端にある
高さ五十センチ程度の、
縦長長方形のぼろっちいスピーカーが二台。
これが音響だってか!?
これで「映画館」だと営業するってか!
とても九十年代の市街地の映画館とは思われませんでした。

なにより哀しかったのは、
いざ上映が始まると、

『スクリーンの前面に剥き出しになっているスピーカーが
 思いっきり上映範囲に入り込んでしまってる』

という現実でした。
スピーカー邪魔すぎ!でっぱりすぎ!
つぎはぎとでっぱりの二重苦の中で見た映画は、
「映画なんてビデオ借りて家で見ればいいんだ…」
という認識を私に植え付けたのでありました。

その四年後、大学生になり、
里帰りした私は懲りずにまた佐賀市の映画館へ。
東京では混んでいてなかなか入れなかった
「エヴァンゲリオン・劇場版」を
見に出かけたのです。

今度は四年前とは別の映画館でしたから、
大丈夫だろうと思ったのが甘かった。

百人ぐらいは入れそうな、
結構広めの映画館だったのですが、
劇場内、座席の後ろ半分が
「粗大ゴミ置き場」になってました。
でっかいダンボールとか、ロッカーとか、パイプ椅子が
後方座席の上にごっそり山積みにされていたんですね。
まるで
「こんなところにはどうせ座らないから、
  別にいいでしょ」と言わんばかりに。
ある意味「夢でも見てるのかな」と思いました。

そして、入り口のおばちゃんに
「学生料金で」
と大学の学生証見せたら
「こげな学生証は見たことなか!偽物やろ?」と
早稲田の学生証を偽物呼ばわりされて、
5分ほどもめましたよ。
「大学生て、こりゃ佐賀大学の学生証じゃ無かたいね!」
とか言われちゃって、
「そらそうですよ!」
としか返せなかった。
大学生は全部佐賀大学で、見たことないものは偽物だ、
なんて、そんなバカな・・・。
(何とか東京の学生だ、と最後は納得させたけども)

結局その日、ロードショー開始から
十日目の社会現象アニメムービーを
私はたった五人のお客さん、
そして転がる粗大ゴミたちと共に堪能したのでした。

最近では巨大スーパーのシネコンが
市外の広い土地にできたりして、
佐賀の映画事情はだいぶ改善されているようです。
私が行ってしまったこの二軒の映画館も
たまたま最も古い方の映画館だっただけで、
もう少し立派な映画館も当時、あるにはあったんですよ。

おかげさまでだいぶ
「映画嫌いの大人」に育ってしまいました。
トラウマ…?

さて、次回で最終回です。
素敵な佐賀の思い出、
よかところ、を紹介できる・・・といいなぁ・・・。

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2001-03-26-MON
TANUKI
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