COOK
調理場という戦場。
コート・ドールの斉須さんの仕事論。

第22回 届きたてホヤホヤの感想メールです。


みなさん、こんにちは!
「ほぼ日」の木村ともうします。

『調理場という戦場』『海馬』が、
どうやらこちらが想像しているよりも数日遅めの、
日曜日や月曜日ごろから、
みなさんの手元に届けられているようです。

はじめに、買ってくださったかたのための、
2点の大切なお知らせがあります。

1)まだ届いていない、という方も、
 きっといらっしゃることだと思います。
 本日火曜日の夜に、まだ届いていないようでしたら、
 お手数だとは思いますが、どうぞ
 book@1101.com
 こちらまでメールをくださいませ。
 改めて調査し、「先行発売」の名のとおり
 なるべく早く届くよう、送りなおしますので!

2)そして、「郵便振込用紙が入っていないよ」と
 思われたかた、今回は単行本に挟まってますので、
 もういちど、本のページの間をお探しくださいませ。
 こちらも、「それでも、ない場合」には、
 メールをくだされば、郵便封筒で
 すぐにほぼ日からもう一度お送りいたしますね!


すでに届いた、という方から、
「届いたその日に読んだ!」というような
読みたてホヤホヤの感想文を、いただきはじめてます。
読んでいると、作った側としては、
ほんとうに、何よりも、ものすごくうれしいんです!

『調理場』の斉須さんへは、本日火曜日に
コートドールにおうかがいして
感想メールをプリントアウトしたものを
渡そうと思っています。渡すのも楽しみです。

また、メールを日常的に使用している
『海馬』の池谷さんへ
届いたメールをほとんど転送したところ、
「たくさんの感想メールありがとうございます。
 昼休みにすべての感想に目を通しましたっ!
 なんだか読んでいるぼくまでがワクワクしてきて、
 いまはとっても気分が浮かれています」
という、興奮ぎみの感想をいただきました。
読んだ人はどう思うかなとドキドキしている時期に
最初の読者のかたがたからいただく感想って、
そのぐらいうれしいものなんですよね。

そして、読んだ方のほうも、
まだ市場にでまわっていないものを読んで
心が弾んでる、という感じなんです。

その鮮度を保ったまま、
このコーナーで、ぜひ紹介したいと思いました。
届きたてホヤホヤのうちに、
特に熱い熱い、『調理場という戦場』宛ての
みなさんのメールを、今日はご紹介したいと思います!
では、どうぞ!!!




・読む前と読んだ後では
 昼飯前と昼飯後ぐらいの違いがありました。
 「よーしやるかぁ」って
 自然に思えるようになっていました。
 節目節目で読みたい本ですね。
 ありがとうございました。
 [ありま]
 
 (↑※ほぼ日 木村註:
   「勇気のあふれる本」を作りたかったので、
   こういうメッセージは、とってもうれしいんです)



・『調理場という戦場』読みました。
 率直なところを書かせてもらうと、
 斉須さんに「心の父を見つけた」って思いました。
 仰るところの100%を「そうだ」と
 思うことはできませんが、95%は「そうだ」と思う。
 このパーセンテージって、すごいと私は思っています。
 なんで「心の父」かと言うと。
 ここまで、仕事に真摯で自分をさらけ出している、
 その姿が凄いと思います。
 日本は、自分をさらけ出しにくい社会ですから。
 「よい子」の仮面をかぶっていることが重要。
 でも、私は、そんなの取り払って、私だって、
 一緒のチームで働かない人は殴り倒したかった。
 でも、そんなことしたら、「社会に適応しない人」と
 思われて、出世できないと感じていました。
 でも、我慢してたら自分が壊れてしまった。
 自分の気持ちより、周りとの協調を大事にすることが
 結果として自分を大事にすること、と育てられたので
 とても辛かった。でも、読んで、やっぱり、
 嫌なことは嫌、好きなことは好き、と
 躊躇無く言える自分でいたい、と思いました。

 そんなこんなで、お手本、見つけた!と思った次第です。
 ちなみに私は、読んでいて、一番心に残った人は、
 ペイローさんです。そんな経営者に日本で出会いたい。
 そして、私は、「クリエイター」の自然な姿勢を
 ベルナールさんに感じました。
 気負わなくて、淡々とやっていればいいんですよね。
 ありがとうございました。
 [イチゴ]

 (↑※ほぼ日 木村註:
   「一緒のチームで働かない人は殴り倒したかった」
   同様のメッセージが、とてもたくさん。
   躊躇なく嫌味なく、チームのだらけた雰囲気を
   革新することって、ものすごく難しいけど、
   やらなければ自分も潰れてしまうほど
   大切なことなんだな、と、
   斉須さんと話していると強く思わされるんです)

   

・調理場という戦場が届きました!
 職場にまで携帯して読んでます。
 今はPCが使えないため、携帯からのお礼のメールです。
 この本を読んでいる私は誰でも知ってる
 全国展開している雑貨屋で働いていますが労働環境が劣悪。
 上の人が仕事をしないのです。
 手本とする人もいないので
 斉須さんの言葉で緊張感を持続させている日々。

 魅力的な内容なだけに
 「それにひきかえ私はなにをやってるんだ?」的な
 自己懐疑が強いのも辛いのです。
 でも今すぐに自分が変わるのはムリでも
 変わる努力をしなくては駄目だな、と。
 このメールはその契機としたい気持ちです。
 [ノリコ]

 (↑※ほぼ日 木村註:
   職場にも本を持ち込んで、読んでくださる途中に
   携帯メールからお昼にいただいたメールです。
   そのリアルタイム感がうれしかったです)



・斉須さん、ほぼ日のみなさん、おはようございます。
 まほと申します。
 おととい本が届きまして、
 昨日一日で一気に読みました。
 言葉の全部がバシバシ心に届いて、
 胸の鼓動が今もおさまりません。
 連載をずっと読んでいて、
 恥ずかしながら仕事について初めてじっくり考えて、
 この度、今の会社を辞めることに決めました。

 今、事務の仕事をしていますが、
 そのなかでも「接客」をしている時が
 私にとって一番楽しい時だと気がついて、
 今後は「接客」のプロになれるように、
 自分に見合った場所を探すつもりです。
 今の会社はとてもいい会社です。
 会社の社長に「辞めたい」と言いに行った時、
 ここにこのままいれば、安定した収入もあるし、
 仕事にも慣れて、なんで私、ここを
 飛び出そうとしてるんだろうって思いながらも、
 体が止まらなくて、その感じがとても不思議でした。
 社長は突然の私の申し出に驚いたようで、
 最初は受け入れてもらえませんでしたが、
 「仕事ぶりがいつもさわやかで、
  見ていていつも気持ちがよかった。
  君ならどこにいっても最高の仕事をするよ」
 と言われた時、
 ここにいてほんとによかったなって思いました。

 (もちろん私自身はそんなふうに
  働いているとは思えないですが。)
 いまやりたいことができなかったら、
 いまここにいる意味がないって、
 これほど強く思って、それを行動にうつせた
のは、
 斉須さんの言葉があったからです。
 ありがとうございました。
 今後は収入は半減するでしょうし、
 先のことはまだ決まってないので不安もありますが、
 それ以上に上昇する気持ちが勝っています。
 もっと早くこの本に出会いたかった・・・と
 すこし思ったりもしましたが、
 今まさにこのタイミングだったからこそ
 動けたのかもしれないし、とにかく今は
 前だけをみて、がんばろうと思います。
 ほぼ日読んでてよかったです。この出会いに感謝です。
 ありがとうございます。
 [まほ]

 (↑※ほぼ日 木村註:
   このコーナーと単行本が、
   転職の舵を取るきっかけになったのですね。
   それを「感謝です」と言ってくださることが、
   ありがたかったです。
   会社の方との辞める際の会話の端々が、
   かっこいいなぁと思いました)



・「海馬」と「調理場という戦場」受け取りました。
 「海馬」から読み始めて、続いて止まることなく
 「調理場という戦場」に入って、
 一気にガァァッと読んでしまいました。
 こんなに熱心に、ノンフィクションものの本を
 一気呵成に読み上げてしまったのは初めてです。
 「調理場という戦場」は、斉須さんの炎みたい生き方が、
 人とぶつかることを恐れてながら、
 なあなあでお茶を濁している自分とは、
 対照的だなぁと思い、
 だからこそ余計に気になったので、
 「ほぼ日」での連載以上に、
 斉須さんが語ってくれることを
 もっと聞きたい(読みたい)と思ったのです。
 「海馬」で得た科学的な根拠を本当に体現しているのが、
 「調理場という戦場」の
 斉須さんの生き方なのだなと、改めて思いました。
 斉須さんは、「とにかくやってみる」で、
 どんどん飛び込んでいって自ら
 「経験メモリー」を上げていっている人なのだなぁと、
 「海馬」を読んでから、
 「調理場という戦場」を読んで感じました。

 
 「調理場という戦場」で、
 「タンコブを作るのが嫌な子が
  『コート・ドール』にいたら、
  僕が親切でタンコブを作ってやります」
 というフレーズには、
 ある時期のことを思い出しました。
 大学卒業して、新卒で入社した会社にいた頃のことです。
 私は、土木関係の営業として、
 役所や道路会社を回っていた時期がありました。
 当時の私は、成果を得ることばかりを高望みして、
 上手くいかない現実にもがくことに疲れて、
 その壁を打破したり、
 よじのぼることを諦めてしまったのです。
 仕事を心底嫌い、
 そこから逃げ出すことばかり考えていて、
 何度も上司に辞職を申し出ていたのですが、
 「お前みたいなハンパな奴は、
  ここを出て行ったところで、どんな職についたって、
  どうせまた逃げ続けるだけだ。
  だから、今、お前を辞めさせない」
と言われました。
 そんな中で、上司は私に
 ステップアップの為の仕事を振ってくる。
 しかし、私はステップアップして、
 責任が重くなるのが怖くて、
 いつも腰の引けた仕事をしていた。
 結局、私はその会社に5年いたものの、
 「仕事をすることの喜び」というものを知らないまま、
 会社そのものが左前になったのを機に、
 自主退社しました。
 退社した直後はせいせいしていたのですが、
 その後派遣社員になってから、あの時、
 上司が言っていたことが身に染みてきたのです。
 履歴上は「正社員歴5年」ではあるのですが、
 せいぜい、私の実力は2年目程度で止まっていた。
 「嫌いだ嫌いだ嫌だ嫌だ」と思って、
 何も身に付けようとしてなかった、
 あの時期が惜しいと思いました。

 発想を転換して、少しでも自分からぶつかって
 仕事を楽しめるような工夫をしていけば、
 もっと次のステップで
 役に立てることができたはずなのに…と。
 あの時、上司は、私にタンコブを作ってくれていたのに、
 それに気づけず、
 そのまま来てしまったことは悔やまれます。
 今は、販売業のバイト先で、年齢が年齢なのもあって、
 リーダー的な仕事を任されるようになっています。
 自分よりも若い人は、長所がそれぞれあるのに、
 経験がないから右往左往することがある。
 ましてや、その職場が生まれて
 初めてのバイト先だったりすればなおさらです。
 そういう新人へ手を貸す時、時には、敢えて
 「タンコブ」を作ってやらないといけないかも知れない
 シーンに出くわすことがあるのですが、
 自分自身が未熟ゆえに、
 「タンコブ作ってやることで手を貸す」
 ということはできないでいました。
 でも、相手も自分も同じ戦場に立っている以上、
 経験メモリーが高い方が、
 当然見えてくるものが多いのですから、
 経験メモリーの高い者が、
 軋轢を恐れて手を貸さないのは
 よくないのだなと思いました。
 一緒に働いていて、気持ちのいい職場にする為にも、
 よりよい店になるようにする為にも、
 軋轢が起こることを恐れずに意見することも
 大事なことなのだと思いました。

 明日から、またバイトです。
 私は、社員でもなく、アルバイトに過ぎないけれど、
 この2冊の本を読んで得たことを活かせるような
 仕事をしたいなぁと思います。
 [みわぼー]

(↑※ほぼ日 木村註:
  長く熱いメールを、ありがとうございました。
  数年前の上司を思い出しているところに感動しました)

  


では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう!
明日は『海馬』のページで感想を紹介いたしますよ。

2002-06-25-TUE

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