HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

カッパとウサギの コーヒーさがし

第11回 コーヒーに賭ける男の闘い(栓抜き編)
山下
えー、カッパとウサギのコーヒーさがし、
今回はちょっと変わったパターンでお送りします。
福田
場所はいつもの「ほぼ日」だけど。
山下
いつもとちがう、コーヒータイム。
福田
はい。
山下
なにがちがうかといいますと、
今回はゲストがいらっしゃいます。
福田
新鮮な感じです。
山下
さっそくご紹介しましょう、
「ほぼ日刊イトイ新聞」のカサイさんです!
福田
ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ(←拍手の音)
カサイ
いやいや、おれはさ、
ちょっとお邪魔しただけだからさ。
すぐ退散しますから。
山下
まあ、そうおっしゃらずに。
福田
よろしくお願いします。
カサイ
あのね、だからこの‥‥山下さんとさ。
山下
はい。
カサイ
えー、この‥‥福田さんの。
福田
はい。
カサイ ふたりの仲に割ってはいるのが、
なんだか申し訳なくてね!
山下
いやいや、そんなことは。
──なんですか、
きょうはすばらしいコーヒー豆を
ぼくらのために持ってきてくださったそうで。
カサイ
うん。
福田
高級な豆と聞きましたけど。
カサイ あのね(グイと身を乗り出す)、
ブツは、これなんだけどさ。

山下
あー、それがそうなんですか。
ワインボトルに豆が入っているという。
福田
え、ワインの瓶に。
カサイ
そう。
山下
やっぱり、高級な箱に入ってるんですね。
福田さん、持たせてもらうといいですよ。
福田
は、はい。‥‥いいですか。
カサイ
どうぞ(渡す)。
福田
はあ〜、ほお〜、これは高級感が‥‥。

カサイ いや、あのね、
なんでぼくがそれを持ってきたかというとね。
山下
はい。
カサイ
『ガイアの夜明け』。
ふたり ‥‥ん?
カサイ ほら、テレビ東京のさ、
『ガイアの夜明け』
ふたり あー、はいはいはい。
山下
テレビ番組ですね。
カサイ そう。去年の話なんだけど、
『ガイアの夜明け』で
コーヒーをテーマに、やってたんですよ。
山下
へえー、そうでしたか。
カサイ 「コーヒーに賭ける男たちの闘い!」
みたいな、なんかそんな感じで。
福田
闘い‥‥すごそうですね。
カサイ
コーヒーハンターと呼ばれる男が登場してさ。
ふたり コーヒーハンター!
カサイ ‥‥メモしてきたんだ(メモを読む)。
えーー、
コーヒーハンターと呼ばれ、
世界一のコーヒーを追い求める男、
川島良彰氏、53歳。
新入社員として
「UCC上島珈琲」に入社以来28年間、
川島氏はひたすらコーヒー農園開発に携わってきた。
UCCで役員にまでのぼりつめた彼は、
「世界一のコーヒーをお届けしたい」
の思いで、独立。
そんなコーヒーハンター・川島良彰が、
時間と経験をかけて開発したのが‥‥!
ふたり (固唾をのんでいる)
カサイ
この‥‥‥‥。

ふたり ‥‥‥‥‥‥(固唾をのんでいる)。
カサイ この‥‥。
‥‥ええと‥‥ちょっとまって。
この‥‥‥‥よいしょ‥‥。
よし、出てきた。
レギュラーコーヒーの高級ブランド、
『グラン クリュ カフェ』。

(どん、とボトルを置く)
ふたり おおーーーーー。
カサイ
『グラン クリュ カフェ』。
山下
すごい風格というか‥‥。
福田
高そう、ですよね‥‥。
山下
‥‥あの、カサイさん、
これはおいくらだったんですか?
カサイ
100グラム入ってて、5000円ちょい。
ふたり はああ〜。
山下
100グラムだと、6〜7杯分かな。
福田
1杯、800円とか?
カサイ あのね、高いから持ってきたわけじゃないよ。
コーヒーハンター・川島良彰氏の
こころざしに感銘したんです。
山下
はい。
カサイ そのコーヒーを、
カッパとウサギのおふたりに
飲んでもらおうと思ったわけです。
ふたり ありがとうございます!
山下
‥‥では、せっかくですから、
こころしていただきましょう。
ワインの栓抜きも、購入しておきました。

カサイ
いただきましょう。
山下
じゃあ、福田さん、
ボトルの上のほうの、
その、包んであるやつをはがしてください。
福田
わかりました。

カサイ コーヒーハンター・川島良彰氏はですね、
JALのファーストクラスのお客様に
飲んでいただくテストを重ねることから始めたそうです。
山下
最高級のおもてなしの場所で。
カサイ 空の上で最高の状態でコーヒーを淹れることは、
それはそれは様々な困難があったそうです。
でも結果的にはこれが、
大評判を得ることになるんですよ。
山下
はあ〜〜。
福田
‥‥あ、あの、山下さん。
山下
なんですか?
福田
これは、もしかしたら‥‥。
山下
え? ‥‥‥‥あ。
福田
‥‥‥‥。
山下
‥‥カサイさん、これはあれですね、
ワインボトルのコルクの栓ではなくて、
いわゆる、シャンパンボトルですね。
カサイ どれ。
‥‥‥‥ああ。

山下
これはどうしましょうか。

カサイ それはね、なくて大丈夫。
ぼくがいまから開けますから。
カサイ
この、固定してある針金をゆっくりはずして‥‥。
山下
ポーン!ってなるんじゃないですか?(←苦手)
カサイ
大丈夫、上をおさえとくから。

福田
‥‥‥‥緊迫してます。
カサイ
ゆっくり、ゆっくりね‥‥。

山下
‥‥‥‥‥‥。
福田
‥‥‥‥‥‥。
カサイ ‥‥‥‥よし‥‥。
固定してあるやつを、とりました。

山下
‥‥‥‥ポーンって、なりませんね。
カサイ うん‥‥‥ならない。
というか、これ、けっこうきついな。

福田
栓がかたいんですね。
カサイ ‥‥ん(コルクをひねる)‥‥だめか。
こういうときは、あれだ、
布をかぶせて、ひねる。

山下
‥‥どうでしょう?
カサイ ‥‥いや、これは(力をこめる)、なかなかっ。
んっ(力をこめる)。
福田
開かない‥‥。
山下
‥‥ちなみにカサイさん、
決して急かしているわけではないのですが、
ぼちぼちお湯が沸いてきました。

カサイ んっ! んんっ! んんんっ!!(力をこめる)
‥‥布は、だめだ。

カサイ
親指でぐいぐい上に押せば‥‥。

カサイ んっ、んんっ、んんんっ!(ぐいぐい押す)
‥‥こいつ、これでもだめか!
じゃあ、引っこ抜く。
んっ!
んんっ!
ふんんんーーーーっ!!
‥‥‥‥なんだこれ、かってぇなあ!

カサイ
うーーーーーん‥‥。

山下
ちょっと、いいですか、
やってみます。
‥‥ああ、こおれは、かたい(笑)。

山下
‥‥(呼吸を整えて)‥‥。
ふんんんんんんんーーーーーっ!!

山下
だっ、だめだっ!!
福田
じゃあ、ぼくが。
‥‥よっ! 


福田
ふぉふぉふぉふぉふぉ。

イトイ (とうとつに登場)
なーーーーにをやってんだ!
え? なーーーーにを!
山下
栓が、栓が抜けなくて‥‥。
イトイ
‥‥ん?
かしてみろっ!
‥‥ん‥‥んん‥‥んんんー。

イトイ
‥‥こういうときは布を使うんだよ布を。

カサイ
ああ‥‥(微笑)。
イトイ
んんーーー。

イトイ
んんんんーーーーーーっ!

イトイ
くうぅおおぉのおおおおおーーーーーーっ。

イトイ
‥‥‥‥かったいわ、これ。
山下
なんだか、
「栓を抜く男たちの闘い」になってきました。
福田
昔話の「おおきなかぶ」のようです。
イトイ
‥‥なんだ、道具があるんじゃないかっ。

山下
や、イトイさんそれはワイン用で‥‥。
イトイ
(ぐいぐい使う)

イトイ
‥‥なんだこれ?
山下
あーー、コルクがボロボロに‥‥。

イトイ うーん‥‥。
‥‥(呼吸を整える)‥‥。
ふんんんんんんんんーーーーーー!
んっ、んっ、んっ、んっ、んっ!
んーーーーーーーーーーーーーーっ!!

「ぼすっ」

福田
‥‥‥‥ぬ、抜けた。
山下
抜けた!
ふたり ぃやったあーー!!
イトイ なぁ? どおだ。
言っておくけど、これはおれの手柄だから‥‥
あ。
ああ〜、わあ〜〜。

山下
どうしました?
イトイ ふわあっと、香りが。
開いた瞬間に、
コーヒーのすっごくいい香りが。
ふわあああっと。
すごいわ、この香り、アロマが。

福田
‥‥あ、ほんとだ、香ってきました。
山下
‥‥うん、すばらしいアロマが。
イトイ
アロマがね。
福田
アロマが。
山下
最高のアロマが。
カサイ
‥‥アロマチック天国。
ふたり ‥‥‥‥‥‥。
カサイ
アロマチック天国。

ふたり ‥‥‥‥‥‥。
イトイ ‥‥‥‥いい! いいっ!!
いやぁ、さすがだね、カサイさんは。
(次回、「試飲編」へつづく!)

2010-05-13-THU


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