1周年と東京凱旋を記念して 『ZED』&『コルテオ』 広報対談。

まずは、お互いのショーを観た感想から。
浅野 こんにちは、はじめまして。
中村 はじめまして!
── ほんとうに、初対面なんですね。
浅野 はい(笑)。
中村 そうですね(笑)。
── 今日は、
『コルテオ』の広報を
務めてらっしゃる浅野さんと、
『ZED』の広報を
担当している中村さんに
お集まりいただきました。
『ZED』も『コルテオ』も
同じシルク・ドゥ・ソレイユなんですが、
日本ではそれぞれ別の公演として
運営されていることもあって、
それぞれの関係者の方が
顔を合わせることは
あまりないことなんですね。
浅野 そうですね。
中村 ですから、
こういう機会を設けていただいて、
ありがたいです(笑)。
浅野 はい(笑)。
── 『ZED』は、スタートしてから1年、
『コルテオ』は、全国を巡業して、
東京に帰ってきたということで、
ふたつの公演の節目が
なんとなく重なったので、
こうしてお集まりいただきました。
どうぞ、よろしくお願いします。
中村 よろしくお願いしますー。
浅野 よろしくお願いします。
── おふたりは、お互いの公演というのは
ご覧になっているんですよね。
中村 はい。
浅野 はい。
── おふたりとも、それぞれの公演を
ご覧になっているということですので、
まず、その感想からお願いしたいと思います。
ええと、それでは、
『ZED』の中村さんから行きましょうか。
『コルテオ』を観た感想をお願いします。
中村 わかりました。
あの、『ZED』と『コルテオ』って
演出者は違うんですけど、
ディレクター・オブ・クリエーションが、
同じリン・トランブレーさんなんですよね。
浅野 そうなんです。
中村 なので、もしかして、
ちょっと似た雰囲気があるのかなと
思ったんですけど、
実際に拝見したら、
いやぁ、もう、ぜんぜん違う。
── たしかに(笑)。
中村 ひと言でいうと、『コルテオ』は、
艶っぽい、色気のあるショーだなと思いました。
それこそ仕草とか、お化粧、衣装、
ひとつひとつに艶っぽさがあるなぁ
というのを観ていてすごく強く感じました。
浅野 『コルテオ』の演出を担当したのは
ダニエル・フィンジ・パスカという人なんですが、
彼のコンセプトのひとつが
「生の人間らしさを出したい」
ということだったんです。
ですから、ほかの
シルク・ドゥ・ソレイユのショーと比べると、
メイクも薄く、衣装も現実的なんですよね。
中村 そうですね。
『ZED』だと、本当にもう、
フルメイクというか、
地肌が見えないくらいの
メイクだったりするので。
浅野 ああ、そうですね。
なるほど、言われてみると、
シルク・ドゥ・ソレイユの中でも
『コルテオ』は特別かもしれません。
中村 はい。色気があるなーと思いました。
あと、お客さんと絡むシーンが多いですよね。
とくに私が好きだったのが、
あの、ヘリウム風船の‥‥。
浅野 ヘリウム・ダンス。
中村 そうそう、あれがすごく好きで(笑)。
あと、ショーがはじまる前に
アーティストがたくさん出て、
ぐるっと客席を回ったりとか。
すごくサーカス的なよさが
あるなぁと思います。
浅野 あのオープニングの場面は、
じつはすこし日本独自の演出に
アレンジしてあるんです。
海外では、あんなに全員が
ぞろぞろ歩くのではなく、
ブルーの棺(ひつぎ)が
ガガガガーッと客席に運ばれてきて、
その棺を中心に、
お客さんと絡んでいくんです。
たとえば、お客さんを
棺の中に入れちゃったりとか。
中村 あ、そうなんですか。
浅野 はい。そういった演出が、
日本では、もしかしたら不謹慎に
感じられるのではないかということで、
ああいった演出に変えたんです。
中村 なるほどー。
あとは、日本語のナレーションがあったり、
わかりやすく楽しめる要素があって、
『ZED』とはまた違った
楽しさがあるなぁと感じました。
浅野 そうですね。
あのナレーションは海外でもあるんですけど、
シルク・ドゥ・ソレイユのショーでは、
日本語に限らず英語でもフランス語でも、
ほとんど「ことば」って出てこないので
その意味では、特別かもしれませんね。
── それでは、今度は、浅野さんに
『ZED』の感想をお聞きします。
浅野 はい。私が『ZED』を観たのは、
グランドオープン前のトライアウト公演のときなので
ひょっとしたら大きく
変わってるのかもしれないんですけど、
まず、第一印象は、
「いいところを全部、詰め込んだな」
ということでした。
つまり、いままで日本に来た、
シルク・ドゥ・ソレイユのショーのなかで、
日本人の好むタイプの演目が
ほんとうにぜんぶ入っている。
中村 あー、そうなんですか。
── それは、これまで長く
シルク・ドゥ・ソレイユのショーを
招致し続けているからこそ
感じることでしょうか。
浅野 そうですね。
あれも入ってる、これも入ってる、
っていうふうに感じました。
あとは、やっぱり、
専用シアターを使う常設ショーなので、
ラグジュリアスですよね。
やっぱり客席がすごく気持ちいいし、
音もすごく安定した音だし、
本当に劇場空間に来たっていう感じで、
テントツアーとの最大の違いは
ここだなあ、と強く感じました。
イスに座った瞬間に
豪華な気分になれるというか。
私が広報を担当していたら、
そこをいちばん大きく
アナウンスするんじゃないかなって(笑)。
中村 はい、そうですね(笑)。
浅野 やっぱり、常設シアターの
よさというのを痛感しましたね。
とにかく天井が高いですから、
迫り来る空中演目の迫力がすごいし、
あの、鮮やかな赤と青の
女性アーティストがふたり、
飛んでくる演目があるじゃないですか。
中村 『ゼッド・イン・ラブ』ですね。
主人公のゼッドが恋に落ちる瞬間を
表現した演目なんです。
浅野 ファンタジックですよね。
私、あれが一番好き。
中村 うれしいです。
ありがとうございます(笑)。

(つづきます)

広報は撮った!  『ZED』と『コルテオ』の舞台裏
『ZED』広報・中村さんが撮った1枚
タイトル「21メートル」
これは、『ZED』の常設シアターの、
いちばん天井に近い部分から撮った写真です。
さまざまななものや、アーティストを吊す、
「グリッド」と呼ばれている場所で、
ビルとか建物でいうと7階に相当する高さ。
高さにすると、21メートルあります。
取材に来られたメディアの方が
高所恐怖症だと、たいへんなんです(笑)。
『ZED』には「天と地」というテーマがあるので、
この場所が「天の起点」として、
いろんなものを吊したり、
飛び降りるアーティストの足場になったりするんです。
『コルテオ』広報・浅野さんが撮った1枚
タイトル「『コルテオ』の原点」
これは、雑誌「クレア」が
『コルテオ』の特集をしてくださったときの
海外取材に同行したときに撮りました。
スイスのルガーノという街の写真で、
ここは、『コルテオ』の演出家
ダニエルの出身地なんです。
『コルテオ』の世界観はこの街に
インスパイアされている部分が大きいんです。
たとえば、『コルテオ』の演目のなかに、
女性アーティストがシャンデリアにつかまりながら
さまざまな動きをするアクトがあるんですが、
そこに出てくるシャンデリアが、
この街にある古い教会の中に、まさにあるんです。

2009-11-16-MON