「こんにちは。滝川クリステルです。」滝川クリステルさんがいま、一番気になる仕事。

ようこそ、滝川クリステルさん!
雑誌「GOETHE」の企画で、
滝川さんと糸井重里の対談が実現しました。
これまでにたくさんの著名人と会って
第一線の仕事を見てきた滝川さんが、
「いま、一番気になる仕事」として、
糸井重里をインタビューしてくださいました。
フリーアナウンサーとしての活動のほか、
動物愛護活動にも力を入れている滝川さんと、
仕事や動物の話を中心に盛り上がりました。
対談の最後に「イメージが変わりました」と
糸井が語ったふたりの初対面、どうぞおつき合いください。
※「GOETHE」2017年6月号に掲載された対談を、
ほぼ日編集バージョンでお届けします。

滝川クリステルさんプロフィール

1977年フランス生まれ。
東京オリンピック・パラリンピック
競技大会組織委員会 顧問。
WWFジャパン 顧問。
フランスの芸術文化勲章シュバリエを受章。
ローランギャロス日本親善大使
一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表。

続けるという努力

滝川
糸井さんは今、68歳に全然見えなくて、
皆さんから、若々しいと言われていると思うんです。
なにかされているんでしょうか?
糸井
なにもしてないです。
滝川
えっ、なにもされていないんですか?
糸井
この間、取材で何をしていますかって訊かれて、
ちょっと腕立て伏せをしますかねって言ったら、
それがもう大々的に出ちゃったことがあって。
滝川
本当ですか。
糸井
パネルに貼ったラベルをべりっとはがして、
「健康の秘訣は腕立てふせとヨーグルト」って。
滝川
糸井さんはスタイルもいいので、
そういうイメージで来てしまいました。
糸井
ぼくは、ぶくぶくしていた時の写真を、
PCのデスクトップに置いてあるんですよ。
滝川
自分への戒めですね。
糸井
これはダメだよねって思いながら、
体重を毎日計っています。
滝川
えーっ、すごい。
糸井
朝晩の2回。これはお薦めです。
それだけで、全然意識が変わりますよ。
きょう何したかがわかりますから。
NHKの人が考えた、
計るだけダイエットというものがありますが、
あれはもう、見事にできていますよ。
滝川
ダイエットになるんですか。
糸井
ダイエットになりますよ。
あしたは注意しようとか意識できますし。
ぼくは、グラフもつけていますから。
滝川
そうなんですね。
糸井
自分でグラフを書く時には、
何を食べたかとか
理由をちょっと書いておくといいですね。
滝川
朝に体重計に乗るのは、
ご飯を食べる前ですか。
糸井
朝は食べる前の一番お腹が減っている状態で、
トイレも済ませてから、パンイチで計る。
滝川
パンイチ‥‥、
あっ、パンのことかと思っちゃいました。
パンイチを食べてからだと。
糸井
それは違います。
滝川
パンツのことですね。
糸井
夜は、お風呂に入ったあとでもいいけど、
とにかくパンイチで計ってください。
一日に二度、パンイチが必要なんです。
滝川
真冬でも?
糸井
真冬でも。
その肉体的習慣づけと、
計るっていうことがセットになっていると、
なおさら、やり残したような気がするんですよ。
本当は、シャツが何グラムで、パジャマは何グラムって
知っていれば、引き算でもいいはずなんですよ。
でも、パンイチっていう儀式を入れることで。
滝川
「あっ、パンイチするの忘れた!」
となるわけですね。
糸井
そう、肉体化するんですよ。
風邪をひいて、きょうはお風呂に入らないという日でも、
とにかくパンイチだけはやる。
滝川
どのぐらい続けているんですか。
糸井
もう、数年になりますね。
だから、体重計のあるホテルが大好き。
滝川
置いていないところもありますもんね。
糸井
実は、ほぼ日の商品で、
折り畳みの体重計をつくりたいぐらい。
でも、技術的にものすごく難しいんです。
滝川
たしかに、ポータブルになったら、
みんな習慣になりそうですね。
糸井
コンパクトな体重計を、バッグに入れて
持ち運べたらいいと思うんですけど。
でも、体重計の仕組みって、
センサーが金属の歪みを感知して計るんですよ。
つまり、上に乗っかった時に、どのぐらい歪むか、
その答えから体重を導きだすものなので、
そのセンサーが4つ必要なんですよね。
お金もかかるし、技術もなかなか難しいんで、
まだ、つくれないんですけどね。
滝川
計るだけダイエット。
やってみようかな。
糸井
滝川さんは、いっぱい食べるんですか?
滝川
私は結構、夜ごはんに
すごく食べちゃうんですよね。
糸井
夜食はよしたほうがいいけれど、
夜ごはんだったら、
いっぱい食べていいんじゃないでしょうか。
滝川
体重は計ったほうがいいんですね。
糸井
女性に多いんだけど、
怖いから計らないという人がいて。
滝川
ああ、それはありますね。
糸井
ただ体重のことだけを考えるんだったら、
肉食でチーズを食べてっていう
生活をしていればいいんでしょうけど。
滝川
炭水化物じゃなくて、ということですね。
糸井
でも、それは直感的にダメですよね。
滝川
バランスとして。
糸井さんは、料理はされるんですか。
糸井
料理はしません。
かき混ぜるものが、ぼくの仕事なんです。
とろろをすりおろすとか、納豆をかき混ぜるとか、
ジャムをつくるとか。
つまり、技術がいらなくて、
我慢すればできることが、ぼくは平気なんです。
滝川
糸井さんは、続けるということを
大切にされている印象があるんです。
それと、何年か前のインタビューでは、
働くことが好きな人なんていないという前提で、
いろいろ考えているとおっしゃっていました。
何か、そこには共通点があるのかなと思ったんです。
続けることって、結構大変だと思うんですけど。
糸井
まず、ぼくは働くことが好きじゃないから、
働くことについて考えるようになりました。
自分が飽きっぽいことをよく知っているので、
自分が飽きてしまわないように何をするか、
この工夫をすることが、仕事をする時の原点です。
飽きっぽい自分から見て、
チームも飽きてるだろうなと思っています。
もう休みを入れないとダメだなとか、
みんなでご飯食べに行こうとか、
たぶん、人も飽きっぽいと思っているから。

じつは、続けるということは、
一番簡単な努力なんですよ。
ほぼ日刊イトイ新聞を始めるときに、
土日を休まないホームページをやろうと思ったんです。
たとえば、外食に出かけた時、日曜日が一番困るんです。
だから、日曜日にやっているお店は、
ちょっと好ましいと思っているんですよ。
「いいね、ここは日曜日やってて」って。
滝川
「やってていいね」というのは、
みんな、言いますよね。
糸井
あれは簡単に人気を獲得できて、
えらいねって言われるんですよ。
滝川
そうですね。
糸井
土日も休まないホームページにしようっていうのは、
そこから始まっているんです。
自分としてはめんどくさいけれど、
その努力だけで、みんなが喜んでくれるんだったら、
ぼくはもう、何が何でもやればいいだろうと思って。
滝川
飽きっぽいのに毎日書き続けるって、
すごいことですよね。
糸井
いつでもやめられるって思っているからできるんです。
電線につかまっている鳥がいますよね。
あの鳥は、なぜ落ちないんですかっていう問題があって。
その答えは、落ちたら飛べるからなんですって。
つかむ力もある程度強いんでしょうけど、
鳥たちには落ちるっていう概念がないんですよ、きっと。
滝川
なるほど。
糸井
ぼくも、毎日続けていることに対して、
みんなが大変だねって言ってくれるのが、
かえって、くすぐったくて。
言われて、得しているなと思っているんです。
「糸井さんって努力家ですね」って、
ちょっと思ってくれているわけだから。

(つづきます)
2017-06-25-SUN