チェブラーシカを連れて。
日本で「ロシアの耳のでかい生き物」が
知られるまで。

『チェブラーシカ』上映決定!




公開初日は・・・!

通天閣 会社を辞めるとき、
お金はけっこう貯まってたんですか。
よしくみ ひとり暮らしやめて実家に戻って
貯金したりして
あとは退職金をつぎこもうと思ってたなあ。

それでも配給するためには、
自分のお金だけではもちろん足りなくて
プチグラ(パブリッシング)さんに相談したら、
同額くらいは出せる、って言ってもらえて。
あとは宣伝費をどうしようか、という時に、
『ブレアウィッチ・プロジェクト』を
ヒットさせた後で、会社も大きくなりかけてた
クロックワークスさんに話を持っていったら、
話がまとまったの。

通天閣 おお!目のつけどころがよかったんですね。
『チェブラーシカ』を魅力あるものとして
認めてくれたんですね。
その頃はもう東京に出てきてたんですか?
よしくみ うん。
プチグラに間借りさせてもらう形で
東京に出ることにした。
プロモーションも手伝ってもらって。
妹が東京にいたから居候して。

東京の雑誌社にも、
プロモーションシートがわりに
ビデオからとった画像を
コラージュしたやつを持っていったら
見せた瞬間に「わー!」って
言ってくれて、これはいけるなあと思った。

劇場も、『夜の蝶』の時と一緒で
渋谷のユーロスペースが決まって、
大阪も名古屋もどんどん決まっていって。
京都、福岡、岡山、札幌とね。
嬉しかった〜〜。
通天閣 わー、嬉しいなあそれー。
上映決定ですやん!
東京は『夜の蝶』と同じ映画館だったんですか。
よしくみ そう。
ビデオ送って、
「やりませんか」って持ちかけて。
『夜の蝶』の時も
けっこう評判がよかったから、
それをやった人間が会社辞めてまで
持ってきた映画やからっていうことで
オッケーしてくれたんだと思う。
通天閣 気合いが入った映画だろうと
思われたわけですね。

でも、話にのってきてもらうのは嬉しいけど
当たらなかった時のことを考えたら
こわくなかったですか?
よしくみ こわかったよーっ!!!
これでもし当たらなかったらどうしよっかなって。
人のお金、こんなに使って、と思って。
通天閣 そうやろうなあ。
よしくみ その映画館も、それまでお客さんが
あんまり入ってないって聞いてたし、
夏休みの全日ロードショーで、
コケるわけにはいかへんなと。
だけど、考えないようにした。
考えたら気が狂いそうやったから
通天閣 うわー。
よしくみ 何回もやめようかなあって思ったわ。
通天閣 なんで踏みとどまったんですか。
よしくみ 周りの人に恵まれてたってことと
自分がすっごくノーテンキだからだと思う。
(笑)
まいっかーみたいな。
なんとかなるさ人生やね。
通天閣 実際なんとかなりましたもんね。
「なんとか」どころか、
えらいことになってますよね。
よしくみ ふた開けてみたら
試写会が満席になってさー。
すっっっごい感動したー。
通天閣 泣けるやろうなあ。
公開の当日はどんな気持ちでしたか?
よしくみ 何にも覚えてない!
初日は「お客さん入って感動!」
どころじゃなくって、もうチェブのグッズを
ずーっと炎天下で売ったり、
走り回ってたからなあ。
でも、初日が終わった後は
やっぱり感慨深かったなあ。

最初にロシアから日本に
フィルムが送られてきて通関するときに
これでオッケーですねって確認される、
通関の試写っていうのがあるの。
「わあ、とうとう日本に来た」って
その時もすごい感動したんだけど、
おんなじくらいの嬉しさやったなあ。


ロシアの壁?!

通天閣 公開された後も、
ものすごい手ごたえがあるわけですよね。
よしくみ そう。すごかった。

ロングラン上映になって、全国で
結局7万人の人が見てくれたことになる。

『王様のブランチ』とか『Cut』とか
『TVブロス』とか『H』とか
『ハイファッション』とか
『ぴあ』で3ページも出たりとか。
アフタヌーンティーで
チェブラーシカマフィン
販売されたりもして。
通天閣 チェブラーシカまんじゅうでなく、
マフィンというところが
しゃれていますねえ!
よしくみ 色んな話の中で一番良かったのが、
某放送局の語学講座で
1年間教材として契約したい
っていう話があって。
通天閣 へえ!
よしくみ でも、結局だめになって。
そのときの権利元っていうのが、
アメリカやってんけど、
日本でヒットしてるっていうのが
ロシアの新聞とかマスコミでけっこう騒がれて
ロシアの国自体が、
「なんでアメリカが権利持ってんねん」
ってことになって裁判沙汰になってさ。
通天閣 えええええ!
チェブを巡って、そんなことが。
よしくみ ロシアの文部省から各国の文部省に
アメリカからフィルムを
買わないようにっていう通達が出たりして。
通天閣 めちゃめちゃ国際問題ですやん!
よしくみ そうなったらその放送局は、
モスクワに支局があるから
国を敵にまわすと、
情報を流してもらえなくなるからって
語学講座の話がなくなっちゃった。
通天閣 テレビ局もびっくりですね。
よしくみ 残念やったなあ。
CMの出演の話もあったけど
企業のイメージを担うことになるから、
ロシアの裁判のことで、
後からすごい損害賠償になったらこわいから
断ったりしたしねえ。
通天閣 そっかあ。
よしくみ そのときも、さすがにまいって、
もう全部やめようかなあって思ったけど
問題がおこったときに、
「戻る」のも「進む」のも一緒やと思って
「進む」方を選んだ
戻ったって、
問題は回避できるわけじゃなくて、
もうそこに「ある」だけだから、
進んだほうが
どうにかなるかもしれないと思って。
また、それで今もどうにかなってるし。
通天閣 うん。なってる。
よしくみ 映画が終わって、
これからどういう風にチェブを売っていくか
考えたときに、
『チェブラーシカ』のカフェがあるとか
そのカフェが面白いやりかたをしてるとか
そういう方向で付加価値をつけていって
それが浸透すれば、チェブ自身の価値も
またあがるかなと思って
カフェをやることにした。

1ヶ月2ヶ月でどうなるもんでもないし
今年1年でいい売り方ができればいいなと
思ってるねんけどね。

通天閣 でも、このカフェ、
「チェブカフェ」なのに
店内にはチェブがぜんぜん見当たりませんね。
隣の部屋に入るとグッズがいっぱい
ありますけれども。
よしくみ そう。隣ではグッズを売ってるけど
カフェには何も置いてない。
いずれは、チェブがいなくても
やっていけるように、と思ってるから。
通天閣 はあ!
よしくみ こける前に新しいことをやっていかないと!
足下がくずれる前に、
次の地面にジャンプする、みたいな
通天閣 え?
こけるって、こんなに人気があるのに
やっぱり先のこと考えるんですね。
なんとかなるさ人生のおかたが。(笑)
よしくみ 今に満足せずに、
常に次のこと考えていかないとね!

(つづく)



ロシアのチェブ人形

ロシアには、こんな顔かたちの
チェブラーシカがいます。
いろいろな「ぱったりたおれ屋さん」がいます。

2002-10-17-THU

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