海馬。
頭は、もっといい感じで使える。

第35回 テトリスのブロック記憶について。


こんにちは!

今日はちょっと、毛色のちがった質問です。
「科学なぜなに質問箱」とかに出てきそうな、
そんなかんじの、素朴な質問を取りあげましょう。







・『海馬』、三回目を読み直してるところです。
 池谷さんと糸井さんが話していた、
 脳の「つながり」ということなんですが、
 父に中学の頃だったか、
 「すべての勉強はつながっている」
 と言われたことがあったんですね。
 それを今になって実感していて、
 海馬をよんでさらに意を強くなりました。

 父は単身赴任で大阪にいるのですが、
 主のいない書斎を久しぶりに覗いてみたら、
 僕が文庫本で買った「父から息子へ」という本が、
 新書版で本棚に置いてありまして。
 父から言われたわけでもなく、同じ本を
 二人とも選んで買ってるのがちょっと感動しました。
 これもツナガリなのかなぁ。
 『海馬』は、今度父に会ったときにでも
 勧めようと思っています。

 さて、質問なんですが、
 夜、寝る前に目をつぶると
 時々色々な幾何学模様が浮かび上がるときがあります。
 水玉だったり、虹色だったり。雷のような線だったり。
 これは疲れているときに多いかも。
 あとは、その時はまっている
 ゲームの残像が繰り返される。
 例えばテトリスだったら、頭の中で
 ブロックの積み重ねを始めるのです。
 これは、夢のように脳が記憶を整理している最中の
 情報が目に出てきたのでしょうか。


 芸術家が形にするときのイメージなのでしょうか?
 なぜ、まぶたを閉じると
 色々な模様が浮かび上がってくる時があるのか。
 よくわかりません。
 他の方々もイメージとして
 浮かび上がるということはあるのでしょうか?

 前々から脳という分野は興味があって、
 脳をわかれば生活は
 楽しくなるだろうと思っていました。
 色々調べてると、右脳や左脳という本は割とあって、
 これらは専門的でちょっとわかりづらかったんですが、
 海馬はやわらかく、かみ砕いた本なので
 感謝しています。
 対談という形式も良かったのかもしれません。
 最近は生活が楽しくて仕方ありません。
 是非、続編が読みたいですね。

 (よ)





・「幾何学模様があらわれる」ことは、
 ぼくにはとくにないのですが、
 「テトリスが頭の中でブロックを積みはじめる」
 という現象は、おもしろいんですよ。
 これに注目している人がいます。
 
 アメリカのスティックゴールドさんの研究、
 すこし前に睡眠の質問の時にも触れた人ですが、
 この方、海馬のない人についても、
 睡眠による実験をおこなっているんですよ。

 そうすると、海馬がない、つまり
 長期記憶がないのにもかかわらず、
 テトリスの残像が、眠っている時に
 あたまに浮かんでいるらしいです……。
 つまり、あのテトリスを組み立てる記憶は、
 海馬とは関係のない記憶なのだそうでして。
 そこが、おもしろいなぁと思います。
 
 その実験結果は、去年の夏の
 「Science」誌に載っていたんですけど。
 スティックゴールドさんは、実用的な
 実験をやられていて、おもしろいですね。

 ぼくはこの12月からアメリカで、
 本格的に海馬の研究に入ることになるのですが、
 ぼくの扱うのは、もっとかなり基礎的な研究なんですよ。
 
 これからぼくが研究しようと思っている
 研究内容については、あとでちょっとお話をしますね。
 
 (池谷裕二)






テトリスのブロック積み重ねに
注目をして実験する研究者の存在のほうに、
「え?そんな人がいるんだ?」
と、かなりびっくりしましたよ。

池谷さんがこの冬から
進めてゆく研究については、
来週、かなりくわしめに、お伝えしますよ。
もちろん、脳について「なるほど」と言えるような
中身になっていくと思いますので、お楽しみに!!

では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう。


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2002-09-06-FRI

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