海馬。
頭は、もっといい感じで使える。

第25回 脳はカラダであり感情である


みなさんこんにちは! ほぼ日スタッフの木村です。
『海馬』『調理場』を、本屋さんでもよく見かける、
という声がチラホラ聞かれるようになり、うれしいです。

それよりなにより、昨日月曜日にいただいたメールで、
ぜひ、ここで紹介したいものがありましたので、
さっそく、お届けしたいと思います!!
妊娠出産を経て、育児のまっさいちゅうの人で、
この方だからわかることを、伝えてくださってます。







・ほぼ日のみなさん、ほぼにちは。
 いなと申します。
 遅ればせながら海馬を購入しました。
 仕事と2歳児小僧育児の合間を縫って、
 少しずつ読み進んでいます。

 じぶんの脳みそにいたく興味を持ったのは、
 妊娠出産が期でした。
 うるまでるびさんの連載でも書かれていますが、
 妊婦産婦の脳みそはそれはそれは特別で、
 「じぶんこんなことになるなんて、面白い」
 と面白がっていました。


 計算ができなくなること。
 記憶がものすごい勢いでなくなっていくこと。
 睡眠の質が変わること。
 産後、産院の授乳室では
 授乳前後の新生児の体重を量り、
 「なんグラム飲んだか」を記録します。
 デジタルスケールの横に電卓が置いてあって、
 「たかだか2桁の計算になぜ電卓が」
 といぶかしんでいたのですが、
 産んでみたら計算できない頭になっていました。

 24-16が...わからない。
 しかも、たった今電卓で出した数字を書こうと
 ボールペンを手にした瞬間忘れている。
 どうしたんだ自分の頭!と驚愕していると、
 助産婦さんが
 「数学の先生でも同じでしたよ」
 と教えてくれました。

 恐らくは、
 乳→しっこ→うんち→ゲロ→睡眠→乳……
 のくりかえしの日々を
 24時間区切りなく延々と続ける
 新生児を生かし続けるため、
 母親の体に繰り返しの苦痛を自覚させない、
 産みの苦しみを抹消する、
 脳細胞のほとんどを
 「泣きでしか表現できない生き物」
 の要求感知のために使う、そんなふうに
 脳が自分の回路を変えているのだろう

 とぼんやり(それこそ記憶の定かでない時間の中で)
 考えていました。

 10秒で眠れて、赤んぼの声以外では目覚ましが
 耳元で鳴っても気づかない、
 このことも、不眠に悩むことも多かった自分には
 信じられない変化でした。

 脳と体と感情、
 漠然と別物だと考えていましたが、
 妊娠出産体験で
 「なんかいっしょかもしれない」と感じ、
 そして海馬を読み進むにつれ、
 「脳みそは体であり感情なのだ」
 としっくり思い始めています。


 池谷さんと糸井さんの対談、非常に面白いです。
 自分が仕事をする中で、パートナーによって
 「自分力の倍以上の良い仕事ができる相手」
 「自分力以下の仕事にしかならない相手」
 がいるなあ、と感じるときがあります。
 (仕事に限らず結婚も、親子も、人間関係は
  すべてそうなんでしょうね。と今思いました)
 
 池谷さんと糸井さんの、お互いの目から
 ウロコを落としあうような対談を読むことは、
 この出会いはきっと1×1が10になり
 100になっている現場なのだ、と
 ドキドキしながら観察している楽しみでもあります。
 落ちたウロコを丁寧に拾い上げ、
 きれいに洗って見せてくれるような
 編集のあり方にも感謝しています。

 まだ読み終わってないのに、
 読中感を伝えずにはいられませんでした。
 (いな)






「脳は体であり感情なのだ」ということについて、
たし算もできにくくなるという実体験から
わかった、っていうところがすごいなぁと思いました。

「赤ちゃんがいるからこそ変化する脳」
「パートナーがいるからこそ変化する対談」
そのあたりも、何かのヒントになっているかも、
と思いながら拝読しました。

いろいろな感想メールを読んでいると、
「ひとりで語らず、ふたりで差し向かいの対談だから
 『海馬』の中身はおもしろくなっているのだろうか?」
「ひとりで読んでるだけじゃなくて、
 ともだちに伝えたくなるから、おもしろいのかも?」
などと、感じる時があります。

この本、まわし読みをしてくださったり、
プレゼント買いをしてくださる例も、
けっこうあるんです!

「一緒にたのしむ」という観点で
届いているメールもうれしいので、
ここでは、5通、紹介いたしますね。







「海馬」をオスロにいる娘に送ったら
 結構喜んでもらえて、知り合いにも貸したら
 おんなじように喜んでもらえたらしいですよ。

 読んだ人がみな元気になる本を発行してもらって
 ありがとうございます。
 (あ)



『海馬』『調理場という戦場』翻訳本出ませんか?
 ブラジル・ポルトガル語で(英語でも可)。
 同じ職場の仲良しさんに是非読んでもらいたいんです!
 (晴)



・ぼくはいっつも、
 学術論文とか呼ばれるものとかについて、
 この人達は何のためにこれ研究して、
 これ書いてるんだろう?と思っていました。
 なんか、
 「これくらいの文章を読めるようになんなきゃ。
  考える資格なし!」
 くらいのイキオイで書いてるかんじして。
 わざわざ難しいから、読むのとかイヤになっちゃうし、
 読むためには結構苦労もいるし。

 でも、そればっかり毎日考えている人達だけあって、
 スゴイこと言ってる、すごいこと書いてある。
 でもでもそれをみんなが知るためには、
 なんか高いような低いような
 高いハードルがあったりして。
 そのせいで、役に立つ・面白い、情報も
 みんなが知れないってゆーのは
 すごくもったいないよなぁとかって思ったりしました。

 とかなんとか考えてたりするわけですが、
 そんな時、「海馬」、発見。
 なんかぼくが考えてたことが
 スッキリやられている!とか思って、
 内容よりもむしろそっちに
 (内容ももちろん面白かったですけど)
 すげぇとか思ってしまいました。

 専門家が、小難しい論文にまとめて、
 自分たちだけで雲の上の存在っぷりで議論したり、
 いい知恵を独占しちゃってるかんじを
 吹っ飛ばすようなイキオイの本だと思いました。


 せっかくいいこと書いてあるんだから、
 それもっと解りやすくなるんだから、
 もっと解りやすくしちゃって、
 みんなでいいこと、わけあっちゃおう、的な発想。
 なんかそんなことで一人フムフムしちゃってました。

 ってゆーかもちろん、「海馬」、面白かったです。
 今まで思ってたこととか、
 よくわかんなくって曖昧だったこととかが
 結構イッキに
 「あーなるほどーそーだったのか!」
 に変わっていくかんじが爽快でした。
 (そ)



・今日(12日月曜)銀座の本屋にいったら、
 「海馬」「調理場という戦場」「経験を盗め」
 並んでました!
 海馬はもうWebで注文して読んだのですが、
 嬉しくて手にとっちゃいました。
 そこで立ち読みすると他の人がとりづらいから
 少し横に立ち位置とって。


 今大学4年生で、就職の結果待ちな状態なのですが、
 海馬を読んで少し将来のことすっきりしました。
 大学ってなんだかんだいってまだ講義を聞くだけで
 試験さえ通ればいいや、という感じで
 これから先自分に何ができるんだろうと
 考えてたのですが。
 うまく言葉にはめて説明はできないですが、
 あぁ、自分はまだいろいろ出来るんだって思えました。
 帰省したときに母親にも薦めてみるつもりです。
 (ま)



・毎日iモードでほぼ日を読んでいる入院患者です。
 今年三度目の入院で、
 連日の空模様とは裏腹な心模様の日々ですが、
 病床で『海馬』を読みつつ、
 9月に届く育Tを着て
 元気に海馬を増やす自分を想像しています。

 買ったままだった『ほぼ日刊イトイ新聞の本』も、
 退院までに読み終わりそうです。
 「おちこんだりもしたけれど、わたしはげんきです」
 と言えるような私になりたいと
 心の底から思ったら、
 あと数頁の所で泣けてきちゃいました。
 ふたつの本も育Tも
 「育つ=元気な私」がイメージできる
から、
 ありがたい心の点滴になっています。
 (ぱんだ)






どの人からも、
「おもしろいことは、
 ひとりだけじゃなくてみんなで楽しみたい」
みたいな気持ちが伝わってくるのが、よかったです。

ではまた、このページで、お会いしましょう!!


※なお、ちなみに……。
 海馬のアマゾンでの販売は、こちらで行っております。
 調理場のアマゾンでの販売は、このページで、どうぞ。
 どちらも、アマゾンさんで買うと、送料無料ですよ!

2002-08-13-TUE

BACK
戻る