BOXING
私をリングサイドに連れてって。

トリニダード衝撃のTKO陥落!!
ミドル級最強はホプキンス!!


衝撃的なシーンでした。
トリニダード最大武器、必殺の左フックが
皮肉にも死刑執行のベルとなりました。
見事なカウンターで崩れるトリニダード。

WBA・WBC・IBF世界ミドル級王座統一戦
「フェリックス・トリニダード対バーナード・ホプキンス」
は近年まれにみる衝撃でした。
テロ事件後MSGで初のビックマッチで
中量級最強の座を欲しいままにしてきたトリニダードが
初黒星をTKO負けで食らったのです。

統一チャンピオンとなったホプキンスは36歳。
94年12月に獲得した、IBF世界ミドル級王座を
足掛け7年、13度防衛しているクラス最強選手です。
これまで2敗していますが、デビュー戦と
あのロイ.ジョーンズに判定負けしているだけで、
地味ながらボクシングファンの間では
高い評価をされており、
最強の敵と考えられていた選手です。

しかし「死刑執行人」というニックネームから
想像つくように、非常に粗く、乱暴なイメージ、
言動が先行し、投獄されていた過去と併せて
完全に「悪役」として定着していたのです。

しかしこの試合はそのイメージとは異なり
ミドル級最高のパワーとオーソドックスを融合させた
センス溢れるボクシングをし、
スーパースター、トリニダードに完勝しました。

186cmの長身から非常にパワフルでコンパクトな
左ジャブ、右ストレートを的確に放ち
序盤からトリニダードにペースを握らせません。
また特筆すべきはガードの堅さです。
トリニダードに切れのあるパンチを非常に警戒し、
最後までガードが下がりませんでした。
あのトリニダードに打つべき隙を全く与えません。

中盤、突破口が見つからないトニリダードは
若干のあせりを見せます。
接近戦での打ち合いを挑んでいきますが、
逆にそれを制したのはホプキンスでした。
左右のガードを高い位置に保ち、相手パンチに対応、
そして自分のパンチの打ち終わりに頭を動かし、
クリーンヒットを許しませんでした。
頭の位置が同じトリニダードは攻めるものの
ミドル級最強の強烈なパンチにさらされます。
またクリンチもホプキンスが一枚上手でした。
体の大きさも使い、全ての要素で
トリニダードを圧倒してしまいました。

ミドル級最強のパワーにさらされた
トリニダードは想像を絶するダメージだったと思います。
普通ならば立っていられないはずです。
トリニダードは逆転の一発を狙い耐え続けます。
特に9R以降は痛々しいほどでした。

そしてフィニッシュは非常に印象的、
そしてボクシングの恐ろしさ、魅力を
改めて教えられた気がします。

トリニダード最大の武器である必殺の左フック。
昨年12月、バルガスを、5月にはジョッピーを仕留め
中量級を制してきたパンチ。
その左フックが自らのとどめを導いてしまったのです。

一発を狙った渾身の左フックをガードされ、
がら空きとなった顔面左あごを
ホプキンスの右フックがハードヒットし、
トリニダードが
崩れ落ちます。

いつもはすぐに立ち上がるトリニダードが
立ち上がりません。
しかし気迫で立ちあがり、
レフリーのスティーブ・スモッガーが
ストップをためらうようにも見えた、
執念のカムバックを試みます。

しかし中盤の打ち合いで負ったダメージの蓄積は
誰が見ても明らかでした。
それはセコンドの父、トリニダード.Srが
一番分かっていたのでしょう。
リングに入り、力尽きた息子の元に駆けより
試合終了となりました。

敗れたとはいえ、トリニダードが
これまで積み重ねた実績は素晴らしいものです。
ここまで40戦全勝33KO。
IBF世界ウェルター級タイトルを15回防衛。
WBA世界S.ウェルター級、WBA世界ミドル級を制し、
3階級制覇。
特筆すべきは、アメリカの誇るゴールドメダリスト
ウィテカー、デラ・ホーヤ、リード、
そしてアトランタ出場のバルガスと強い相手を
続々と破ってきたことです。
この敗戦は本人にもファンにもショックでしょうが、
まだ28歳です。
当分休んで、万全で再起して欲しいと思います。

これまでの選手はトリニダードを過小評価し、
その強打に沈んで来た感がありました。
(唯一、デラ・ホーヤだけは
 過剰なほど警戒したと思います)
試合前ホプキンスの言動もそういった面がありましたが、
ふたを開けると逆でした。
完璧に研究し、トリニダードの実力を本当に理解し、
相当練習を重ねて完封した、そんな試合だったと思います。

ボクシングを楽しみにしている人々とって
最近リングの磁場は狂ってきています。
バルガス、コラレス、ハメド、トリニダードと
無敗の攻撃的なスター選手たちが
続々と苦杯をなめています。
VTRでの研究はもちろんでしょうが、ボクシングにとって
攻撃とは諸刃の剣ということを改めて、
痛いほど思い知らされます。
今後は、モズリーやメイウェザー、
ロイ・ジョーンズに代表されるような
スピードと防御感をもつボクサー達が
頂点を席巻していくでしょう。
そしてそれらの天才型ボクサーに
今日のホプキンスやバレラなどの
攻撃+ガード、つまり原点を身につけた選手が
どのように対抗してゆくか?
という流れをぜひ期待したいと思います。

前座出場のリカルド・ロペスも元チャンピオンの
ゾラニ・ペテロに大苦戦したものの8RTKOで仕留めました。
序盤は完璧な試合運びで、
2R強烈な左フックでダウンを奪いました。
楽勝ペースでしたが、
6Rのチャンスでラッシュしたもののフィニッシュできず、
ガス欠で体力が落ち、
7Rは今までにない位パンチを受けました。
しかし序盤のダメージ蓄積が功を奏し、
最後はギブアップのような感じでものにしました。
軽量級最強のロペスもすでに35歳。
エキサイトマッチ放送開始時の90年から
世界の頂点に立ち続けている偉大な選手ですが
時の流れも感じます。

そして10月14日(日)、波乱の新世紀に
注目の男がまた一人リングに上がります。
マイク・タイソンがデンマークに乗り込み、
長身ブライアン・ニールセンと試合を行います。

タイソンにとって昨年10月のゴロタ戦以来
1年ぶりのリングです。
欧州は3度目。
英国でジュリアス・フランシス、
ルー・サバリースと対戦した2回。
合計3Rしか戦っていません。
ゴロタ戦は2R、その前のノリスも1Rだったので
2年間の合計がわずか6Rです。
タイソンもすでに35歳。
ヘビー級タイトルへ向けて
最後のチャレンジとなっていくでしょう。
果たしてどのような試合も見せてくれるのか?

WOWOWでは10月14日(日)AM7:05から
衛星中継いたします。
11月の世界ヘビー級統一戦「ラクマン対ルイス」
も中継予定です。
秋のヘビー級戦線も楽しみです。

WOWOW 小田真幹


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2001-10-04-THU

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