BOXING
私をリングサイドに連れてって。

バルガス世界王座復帰!

やっと米大リーグも再開し、
カレッジフットボールがTVで放送されるなど、
スポーツが本格的に復興した中、中量級注目のスター
暴れん坊フェルナンド.バルガスが
再び世界王座に就きました。

テロ以降ラスベガス初めての興行、
そしてアメリカ国内で行われる初の世界戦
WBA世界S.ウェルター級王座決定戦
「フェルナンド.バルガス対シバタ・フローレス」が
マンダレイベイで行われました。


左:バルガス、右フローレス

トリニダードがミドル級に上がったため
空位になった王座の決定戦です。
試合前には10カウントゴングで
被害者および不明者への黙祷、
出場選手はトランクスに、レフリーはシャツに
アメリカ国旗をつけて追悼興行に臨みました。
バルガス陣営には来月コペンハーゲンで試合予定の
タイソンも駆けつけました。

試合の中身は日系4世のメキシカン、
サウスポーのフローレスが
リーチとサウスポーをどれだけ効果的に使い、
超攻撃的な強打のバルガスに
どこまで食い下がれるかが焦点と考えていました。

しかし、以前お互いスパーリングパートナーであり、
またバルガスがメインイベンターになった頃から
落ち目で引退も考えていたフローレスを
前座に起用していたというエピソードから分かるように、
実際は兄貴分に引退の花道として
世界戦を用意したかのような試合でした。

それもあってか、フローレスは積極的に打ってでます。
サウスポーが苦手のバルガスに
右フックと左ストレートをクリーンヒットさせます。

バルガスもトリニダードにTKO負けしてから
さらに慎重になり、以前のパワーに
クレバーさを加えたボクシングで
冷静に反撃期をうかがいます。
特に上下打ち分けを意識して狙い、
破壊力アップした右ボディーブローは
フローレスの体を何度も「く」の字にします。


右ボディが進化したバルガス

2R接近戦で左フック一撃でダウンを奪ったバルガスが
ボディーブロー中心にそのまま試合を支配し、
7Rそのボディーからの集中打で2:59TKO勝ちしました。

TKO負けを宣されると、フローレスが満面の笑みを浮かべ、
バルガスが即座にかけよったシーンが印象的でした。
対決はしましたが、精神的なつながりを感じました。
カス・ダマト門下生同士の「タイソン対マシス」戦で、
TKO直後タイソンがふらつくマシスに駆け寄ったシーンを
思い出しました。

再びWBAタイトルを獲得したバルガスは
今後デラ・ホーヤやトリニダード戦の
ビックマッチを見据えるなど今後の注目株です。

ニューヨークでは野球やNHLも再開され、
メッツの快進撃を全米が見守っています。
1日1日通常の生活に戻ってきてはいます。
しかしサンフランシスコ同様、ラスベガスには
最盛期の活気がありませんでした。
ニュースでは「ダウ平均や日経平均落下」
「何千億の損害」などデータが派手な見出しを
目にしますが、実際、今回私は客の少なさに
それらの記事より深刻さを実感しました。
ラスベガスはご存知ギャンブルの街で、
客は全米、全世界から
イベント、ギャンブル目当てに集まります。
そのピークが週末金曜夜から土曜夜なのですが、
これまで見た中で一番少ないものでした。
それでもテロ後からは若干回復しているとのことですが、
こんなにカジノが空いているラスベガスは初めてでした。

エキサイトマッチで10年間お世話になっている
ラスベガス在住コーディネイター諸氏に聞くと
ホテルの従業員も相当数リストラされるという
話だそうです。
ベガスのホテルの稼働率は97%前後。
つまりほぼ満室なのです。
行ったことのある方は分かると思いますが、
ホテル内は異常に広い。
そして部屋が多いんですね。
ちなみに最大級のMGMホテル5000室。
日本の平均的な高級ホテルは大体300部屋というので
その規模がおわかりいただけるでしょう。
大規模の経済で、常に集客できてきた訳です。
ボクシングやショー等様々なイベントが常に
行われているのはそのためです。

現在の稼動率はおよそ50%〜60%くらいという事です。
ラスベガスというエンターテイメント産業都市も
多大な被害を受けているのです。
しかし今後も「ルイス対ラクマン」等の
ビックマッチも行われる予定ですし、
早く完全復活して欲しいと思います。

ところでWOWOWボクシンファンの方々から
多数お問い合わせいただいたのが
テロで延期となっていた注目の
WBA・WBC・IBF世界ミドル級王座統一戦
「フェリックス.トリニダード対バーナード・ホプキンス」
です。
会場のMSGでNHLプレシーズンや
メッツの試合が再開されたことを受けて
日本時間9月30日(日)に開催が決定いたしました。

WOWOWではこの事態に緊急対応し
日本時間9月30日(日)AM10:30から
独占衛星生中継が決定いたしました。
災い転じて生中継になりました。
前座では日本でお馴染み
軽量級史上最強メキシカン、リカルド・ロペス選手と
今後のスター候補、ディエッパ選手も出場する
ヘビー級以外では久しぶりの大興行です。
急遽の予定変更のため、できれば皆さん友人の方々にも
声をかけていただき絶対見逃さないで欲しいと思います。
内容濃いこと間違いなしです。

最後にメインである注目のビックマッチ
ラスベガス・マンダレイベイのオッズ(9月22日時点)を
ご紹介しましょう。

勝敗
トリニダード -300(約1.33倍)
ホプキンス +250(3.5倍)
勝ち方
ホプキンス判定勝 9/2(4.5倍)
ホプキンスKO勝 4/1(4倍)
トリニダード判定勝 11/10(1.1倍)
トリニダードKO勝 11/10(1.1倍)
引き分け 15倍
試合終了ラウンド予想
11ラウンド以上 -110(約1.91倍)
10ラウンド終了未満 -120(約1.83倍)

ちなみに今回のバルガス戦でオッズメーカーがつけた
試合終了ラウンド予想は7ラウンド終了未満と、
8ラウンド以降でした。
結果は7回2:59、つまり1秒差で前者という
非常に際どいものでした。
皆さんもこの正確なオッズメーカー予想を参考にして
予想して生中継を見てください。

9月30日(日)AM10:30〜です。

WOWOW 小田真幹


ご意見はこちらまで Boxnight@aol.com

2001-09-27-THU

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