坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第192回 満月の日に

ほぼにちは。

ミッセイです。

このごろ、
「精神世界」とか「スピリチュアル」とか「占い」が、
テレビとか本ですごく人気のようで、

僕も檀家さんやお寺にお参りに来る人から、
そういう雰囲気を感じることが少なくありません。

また、直接そういう分野の質問をされることも多いです。

僕の中での仏教は、
例えば、

「瞬間というものは、
 積み重ねても時間にならない存在です。」

というような、
なかなか素敵な気分を喚起するアイデアであったり、

「すこしオリジナルの価値観を持つこと。」

だったりすることが多いのですが。

でも、
僕も嫌いな方じゃないので、
時々、本屋さんの、

「精神世界、スピリチュアルコーナー」

で、立ち読みしたりします。
(どこの書店でも大きなコーナーが出来てきてるね。)

すると意外と、

「お墓参りは頻繁にしなさい。
 お墓は奇をてらわず、スタンダードな形で。」

みたいなことが書いてあったりして、
ふ〜ん、おもしろいなぁと思ったりしました。

それから、

「水晶はすごくいい。」

ということが書いてあったりしたので、
僕も部屋にしまってあった、
水晶の数珠を出してきて、
付けたりしました。ははは。


数日後の声明(しょうみょう、節つきのお経)
の勉強会で、

「あっ、白川君(僕のこと)
 水晶の念珠?
 もしかして、
 幸運を呼ぼうとしてるんじゃないの?」

と講師の先生に冗談で言われたのですが、
実にその通りなので、
答えに困って、

「実はその通りなんです。
 ばれましたか。」

という話をしました。

「でもね、
 昔からお坊さんも、
 水晶をすごく大事にしていて、
 ホラ、伝授の時の
 大阿闍梨
(だいあじゃり、
 阿闍梨は灌頂を受けた僧侶、
 大阿闍梨は灌頂を授けることの出来る僧侶。
 灌頂は秘密の法を受ける儀式。)
 は、半装束の念珠
(はんしょうぞく、念珠の半分が水晶の念珠)
 をしてるじゃない。
 すごい昔から、そうなんだよ。
 きちんと書物に残っている。」

ということでした。

さらに、
こういうことを言うと、

「ミッセイさん、ついにそっち方面に!」

とか言われそうなので、
言わないでおこうと思っていたのですが、
言ってしまいますが、
私、前世を観てもらいました。

なんか本とかで、
外野から見物するのではなくて、
“実際に”
そういうセンスを持って、
色々な人から信頼されて、
変なこともしそうにない人に会ってみたい。

と、漠然と感じていたので、
会いに行ってみました。
その人もお坊さん(尼さん)でした。

でも、
僕は僕として生きたいので、
前世とか寿命は聞くまい、
と思っていたのですが、

「前世も、お坊さんだよ。
 この前の前世じゃないけど。
 中国のお坊さん。
 また、いつか中国で生まれる。

 85、6歳まで生きるね。」

といきなり言われてしまいました。

こういう話を、
僕は信じることも、
信じないこともしませんが、
(できませんが。)

自分が、

「よその国から来て、
 よその国に生まれる。」

と確信に満ちた顔で言われるのって、
悪くない気分ですね。

なんとなく平和な気分になります。

「トンガでロックンローラーしてたみたいね。」

とか言われたら、
どんな気分になるのだろうな。


この人を僕が訪れた日は、
たまたま満月の日だったのですが、

「満月の日は神様がいっぱい降りてくるから、
 お供え物をいっぱいするんだ。」

とすごくうれしそうに、
笑っていました。
そして二人でお供えのご飯を頂きながら、
生ビールを飲みました。

僕は、
そういう価値観を持って、
生活する人がいることは、
すごく自然なことなんだなぁ、と感じました。

でもね、そういうセンスがなくても、
お坊さんとしての生き方とか、
宗教をもって生きるという方法って
たくさんあると思う。

むしろ、
そういう人に、
語れることも多いと思うな。

数はそちらのほうが多いですから。


ミッセイ

お知らせ。
四国88カ所のお寺が88枚の切手になります。
原画の撮影は「坊さん」の文章の中でも、
何度か登場した三好和義さんです。

栄福寺は11月5日発売の第一集、
20ヶ寺の中に収録されます。
(紅葉が綺麗な秋の風景)

全国の郵便局でも、
通信販売の申し込みが出来るようですよ。

詳しくは、こちらまで。
シンメディアという出版社刊行の
『季刊 巡礼マガジン』
というシブイ名前の雑誌で、
「おもいだす空海」という連載を、
最新号の31号から始めました。
(ほぼ日を読んだ編集者の方から、
 お話を頂きました。)

空海の著作の言葉に、
僕が短いコメントと、
写真を添えるという、
見開き2ページでの連載です。

手に取られる機会があれば、
ちらっと覗いてみてください。


このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ミッセイさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-03-09-WED
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