坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第137回 金色と生きているもの

ほぼにちは。

ミッセイです。

以前に「ふたつの仏足跡」
でも書いように、
栄福寺には、
日本でも有数の“いい石”と言われている、
庵治石(あじいし)製の、
仏足跡があります。

そこでも書きましたが、
この仏足跡は、
釈尊が悟りを開いたという、
インドはブッダガヤの菩提樹のあるお寺で、
拓本をとったものを、
元にしている、とのことです。

「とのことです。」

というのは、
実際に僕が拓本を、
見たわけではないので、
そういう言い方になっていました。

しかし、四国遍路には、
本当にいろんな方が、
お参りされているなーと、
思ったんですが、
高野山で仏足跡の研究を
されているお坊さんと、
たまたま栄福寺の本堂前で
立ち話になりました。
(四国遍路も大好きで、
 よく歩き遍路をしているとのことでした。)

「先代住職には、お世話になりました。
 ふるい納経帳を、みせてもらったりね。」

「そうだったんですか。
 生前はお世話になりました。」

「ところで、住職。
 この仏足跡は、どういう?」

「はい。
 ブッダガヤの菩提樹のあるお寺の・・・。」

「あー!そうか。
 そうだ、そうだ。
 よくみたら、そうだね。

 わたし持ってますから、
 送ってあげますよ。」

「拓本をですか?」

「えーそうです。」

「わーありがとうございます。」

とのことで、数日後、
仏足跡の拓本が届きました。



栄福寺の仏足跡と、



比べてみると、


確かに、この仏足跡は、
ブッダガヤ大塔、金剛玉座の
片足の仏足跡を、
模刻したもののようです。

ちなみに、
もう片方の仏足跡は失われたと推測されています。
仏足跡は本来、
両足でなければいけないそうです。
そういう意味でも、
ふたつ作ったのは、よかったよね。
反転させて、
左右の両足にすれば、なおよかったかなぁ。

足の門って、今から考えたら、
仏様の胎内に入っていくみたいだね。

その数日後、
ある坊さんの講習会で、
その先生が執筆された、
“お坊さんの食事作法についての本”
が、販売されていました。
なかなかマニアックなテーマですね。
しぶい。

ところで、
この拓本、なんらかの形で、
みんなに観てもらうような方法がないか、
考えてみようと思います。

「てぬぐい」とかにして、
販売しても、いいかもね。
言葉とか入れたりして。
「ロゴてぬ」って、どうだろう?
言いにくいか。


先日、
じいちゃんの3回忌法要が、終わりました。

その法要の前に、
仏様にお供えする
樒(しきみ、僕は“しきび”と言います。
  方言かな?)
という木の葉っぱを用意していました。



栄福寺には樒の木があります。

僕は、子供の頃から
このしきびの落ち葉が乾燥したものを、
ぐちゃぐちゃに砕いて、
匂いをかぐのが、好きでした。

「ぬる風邪薬」

のにおいがして、
鼻がスースーする気がするんです。

変な趣味だなぁ。
と自分でも思っていたんですが、

これも仏縁でぇ、あります。(坊さん風に)

樒の葉は六器(ろっき)という、
金色の仏器に大きさを揃えて、
お供えします。



お供えする時に、いつも思うんですが、
仏器の金色と、
樒の緑色の感じが、
妙に心に触れるんです。

壇の上の薄暗い感じの時も、
また違ったかんじで、
感じるものがあります。



今回の法事の前は、
心理的な想いもあったんでしょうが、
特にグッときました。

そして、
本尊をいれる厨子(ずし)
のことを考えました。

本尊の厨子を新調する計画があるんです。

そして僕の頭の中には、
新しい厨子のイメージがあります。

それは、
その大部分を
何も色をつけない、
白木で造ってもらって、
細かい細工の部分だけ、金色を使う。

というイメージです。
なぜだか確固としたものがあります。

その厨子のどこかに、

「なんらかの方法で、
 みどり色をあしらいたいなぁ。」

と、思いました。
伝統的な方法の中に、
この方法を満たす方法がないか、
ちょっと当たってみようと思います。

でも、考えてみたら、
金色っていうのは、
色ではなくて、

「生命」

と相性がいいのかもしれないね。

木の葉っぱもそうだし、
白木に感じた感覚もそれかもしれない。

昔から、
ゴールドはアクセサリーの大定番だろうし。

そんなわけで、
金色のことを、
何日かたまに考えていたら、
たまたま京都の、どでかい博物館で、

「金色」

というテーマで企画展をしていたので、
「広告塾」の授業前に飛び込みました。

その中には、

「六器の上の樒」

や、
想像の中での、

「白木に金の厨子」

以上の迫力で、
迫ってくる存在は、
今の僕にとっては、ありませんでした。

「すごいもの」

っていうのは、
時々、
とても個人的なストーリーだなぁ。
と考えたんですが、

それを、“大人数の物語”として
成立させた、

「いわゆるホンモノ」

達への尊敬のまなざし
(と、疑いの目)
は、とても大事なもののような気がします。

僕がみたいのは、

「みんなの個人的なもの」

みたいな存在かもしれないな。

あっ、両方だよね!
これも。

ミッセイ


しみじみと告知させてください。

前の職場である本屋さんの
友達を中心にした4人で、
DJ イベント
「ハニカミ ナイト」
をすることになりました。

「普段聴いている好きな音楽を、
 みんなで大音響で聴く。」

だけでやってみよう、と。
僕もDJとDMのイラストで参加します。

CDJに触れた回数は1回!

葬儀があったら、ミッセイ欠席!!

日時 11月7日(金)PM6:00〜PM11:00
場所 星空ジェット(松山市2番町)
お値段 ¥1500(ONE DRINK)


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2003-10-30-THU

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