坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第87回 僕は“チャンス”を持っている。

ほぼにちは。

ミッセイです。

以前に、少しお話しした、
鳶色(とびいろ)の
衣(ころも)
到着しました。



なかなか、きれいな色でしょ?
結構、気に入っています。

僕が「権大僧都」(ごんだいそうず)
という僧階(そうかい)を受けたときに、
ちゃんと、

「この色、付けて、いいですよー。」

という
御免状みたいなものも、
もらいました。



うーん、なかなか、すごいね。

「古代色」というのは、
個人的になんか、興味があるなぁ。


関東から友達がやって来たので、
道後温泉に行ってきました。

一番安いお湯だと、
300円で入れるんだね。

「千と千尋の神隠し」の
「油屋」のイメージは、
道後温泉らしい。

という話を友達から、
聞きましたが、本当かな?

それは、ともかく
なかなか、気持ちよかったです。
古い「階段」とかに、
“それっぽい”雰囲気もあったしね。

ところで、
友達がお風呂から、
なかなか出てこないので、
自動販売機で、
「ビンのコーヒー牛乳」を飲もうじゃないか!

と、決心した僕だったんですが、
なぜか、無意識に、
ポケットから車のカギを出して、
ずーっと、
自動販売機の鍵穴をガチャガチャしていました。

「なんで、開かないんだろう?」

と思ってたら、
温泉のおばちゃんに、
睨まれているのに気付いて、

「ハッ!」

と、しました。

僕は、こういうことが、よく、あります。
いつか、逮捕されるかもしれませんね。

不思議なのですが、
女の人は、お風呂の中で、
一体、何をしているんですか?

あの時間の長さは、

「男性がしない何か」

を、しているはずです。

まさか、

「ダンシング・タイム」

とか、

「ハッスル・タイム」

とかが、
あるんじゃないだろうな。

興味は尽きません。
気が向いたら教えて下さい。

ちなみに、
僕達「坊さん」は大切な伝授がある時に、
必ず「ちょうじ湯」に入ります。
日本人にとって「いい湯」ってのは、
遠い昔から、
かなり、特別な存在なんだろうね。


その友達を、
空港に迎えに行った時に、
時間がかなりあったので、
空港の売店で志村けんさんの、
『変なおじさん』を買って、読んでいました。

この本は彼の“半生記”みたいな
話を含んだ内容なのですが、
僕は、それを読みながら、

「あー、やっぱり、
 自分の状況を意図的に追い込んでるなぁ。」

と考えました。
そして、運命的な“人”と、
(彼の場合は「ドリフターズ」ですね。)
生活を共にして、
“なにか”をつかんでいる。

僕は、いろんな、“気になる人”の
「若者時代」の話を、
読むのが好きなのですが、
(自分が若いからかな?)
この、

「“意図的”に自分を追い込んで、
 きっかけの“人”と出会っている。」

というのは、
彼らの多くが持つ、共通項です。

そして、僕も、
自分が、
“状況”に動かされやすいタイプだと、
なんとなく、わかっていたので、
仕事を辞めたら、
自分の家じゃない
“何かを感じた”お寺で、
何年かを、過ごして、
“自分を追い込んで”
重要な“人”と、
生活を共にしようと、
考えていました。

お寺の社会では、
何年か違うお寺で、働くのは、
とても、よくある話です。

「僕も、そうしよう。」と。

でも、今となっては、
それは、実現する事のない話です。

僕は栄福寺で、
たった一人の僧侶であり、
住職であり、
宗教法人の代表役員です。

自分の、状況を変えることは、
許されない。

そして、僕は、今のところ、

「一生、坊さんをやるんだろうな。」

と、感じている。
それは、ある意味で、とても、幸せな話です。

でも、どうやって、自分を追い込むのか?
というのは、よく、考えます。

そして、僕は、思うのだけど、

「自分で、見つけた方法で
 自分を、追い込み、
 自分の足でもって、
 人と出会う。」

しかない。
という僕の状況は、

「もっと強い、何かを獲得できる
 可能性のある状況。」

でもあるのだ、と思います。
他人との生活や“違った”状況、
というのは、たしかに、
大きなシフト・アップのための
でっかいチャンスなんだけど、

違った言い方をするならば、

「その状況や人を失った時に、
 自分の足で自分らしく、
 踊れるだろうか?」

という危険性も持っていると思います。

とても、大変な作業だけど、
僕の状況は、大きなアドバンテージも、
持っているんだ、と、やっぱ、思います。

おこがましいですが、
「ダウンタウン」は、直接的な「師匠」を、
意図的に持たなかった人達ですよね。

そして、最高のオリジナルを生み出した。

僕は、ダウンタウンを思う時、
よくビートルズだなぁ、と思います。

後に続く、
同業者が一番やりたいことをして、
同業者で一番、売れた。

これは、とてつもなく、
かっこよくて、
勇気をもらう話です。

同じようには、できないけれど、
ヒントと勇気はたくさんある。


仕事というのは、
どうしても「前任者」の動きが、
重要なモデルケースになります。

でも、僕のじいちゃんは、
退職まで、高校教師をしていたので、
僕には、職業としての僧侶の
“時間の使い方”さえも、
モデルを持っていないんです。

それは、
自分の声で歌うことのできる、
大きなチャンスなんだけど、

下手な歌を、今は、小さな声で、歌っているし、
声さえ出ない日だって、相当、多い。

でも、自分の歌を歌おうと、
思う気持ちを、ずっと、持とう。
いろんなモンに出会いながら。

そのチャレンジ自体に、ハッピーはあると思う。

ミッセイ


追伸

どうしても、
“不安な要素”が勝ちそうな時、
僕には、何度も、何度も、
繰り返し、読むメールがあります。

“師は、それこそ、犬から景色から野菜から老人から、
 いくらでもいます。
 こちらが弟子でありつづけるかぎり、師は無限です。
 あ、これ、いま思いついて書いたんだけど、いいな。
 「一生弟子でいる」って、
 これからは色紙とかに書いてやれ。
 ありがとう、あなたのおかげでとくしちゃった。“

            ONLY IS NOT LONELY
             Shigesato ITOI

2003-01-22-WED

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