坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第85回 ひかる竹の大晦日

ほぼにちは。

ミッセイです。

僕の住んでいる地方では、
年末や年始頃に、
檀家さんが、「御樽」(おたる)といって、
お米やお布施(お金)をお寺に、
持ってきてくださる風習が残っています。

お金は、ともかく、
お米というのは、おもしろいね。

みんなが、住んでいる
地方にも、こういう風習って残ってますか?
なんか知ってたら、教えてねー。
(お盆の時期については、
 たくさんの情報をありがとう。)

さーて、
新年1回目ということで、
今年の除夜の鐘の話なんかを。

12月31日も11時頃になり、
なんかソワソワしてきた、
弟子ミッセイは、
境内に出て、

「もう、誰か来てたりして!」

とウロウロしていました。

すると、
巫女さんの格好をした女の子が、
境内にいました。

「あの、巫女さんですか?」

「ええ。」

「ははは。」
 (ええ。というのがなんか、おかしかった。
  まぁ、そうなんだけど。)

「・・・あのぉ、
 ここに来いって、
 言われたんですけど・・・。」

年も押し迫って、
お寺に、巫女さんが迷い込んでくるとは、
縁起がいいですね。(そうなのか?)

近所の神社と間違えていたので、
道を教えてあげました。

今年の除夜の鐘には、
ひとつ、隠し球がありました。

半年ぐらい前の、
なんかの記事で、
竹の中に、ロウソクを入れると、
きれいなロウソク立てになる。

それを小学生達が、作りました。

みたいな記事が載っていて、

「これ、除夜の鐘の時、
 いっぱい作れば、キレイなんじゃないかなぁ。」

って考えてたんです。

参道とか、お堂の回りに、
ランダムにちりばめる感じで。

幸い栄福寺には竹林があるし、
ロウソクの古いのもたくさんある。

「コストもタダだし、
 なんかいい予感がする。」

ありがたいことに、お正月休暇の、
父親がたくさん作ってくれました。

この計画を、
知り合いのお坊さんに、
話した時に、

「そういえば、この前、
 大覚寺の法要で、
 同じような感じで、
 竹の中に水を張って、
 浮かぶロウソクを浮かべてたんだけど、
 きれいだったよー。」

ということだったんですが、
この「浮かぶロウソク」(ちゃんと売ってました。)
結構、高いんだよね。
あきらめました。

でも、この竹のロウソク立て、
予想以上にキレイだったよ。
いやぁ、ホント、よかった。





お寺関係の皆さんは、
ぜひ、来年、試してみてください。

個人でも、いいんじゃないかな。
テーブルランプとかに。

たくさん作った、
「ひかる竹」(今、名付けました。)
を帰省してきた兄と、
お寺の照明を全部消して、
並べて行くと、
満天の星空が
地面に映し出されたみたいで、
キレイだった。

来年は、量を5倍ぐらい作って、
車の進入を禁止して、
めいっぱい、散りばめようかな。

「一番、奥の、あと3ミリ、左!
 よしっ、きたああぁぁ。」

とか、言いながら。
あははは。

一発目を僕が、突き終わると、

後は、近所の人とか、
僕の友達とか、
帰省してきた長老の息子さんの家族とかが、
次々に108回を撞きました。
(誰でも、突けますよーー。)

最近、知り合いになった、若い人が、
(地元のいろんな所でライブをしている、
 楽曲を書き、ギターを弾き、歌う人。)

「子供の頃、近くに、お寺があって、
 ごほうび目当てで、掃除してたのを、
 思い出した。
 
 いい年越しだったな。」

と言っていたのが、印象的でした。
普段、よく喋る人が、
ぼそぼそ喋るのって、
なんか、いい時がありますね。

僕も、ぼそぼそ喋ろうかな。
たまには。

規模も小さいし、
なにか特別な事を、
したってわけではないけれど、

たまたま、気が向いて
立ち寄った人達には、

「なんか、よかったね。」

という雰囲気とか、気分、空間が、
あったんじゃないかなって思います。
“栄福寺”という場所に。

意図的な“にぎわい”みたいなのを、
栄福寺で起こしたいという気持ちも、
僕の中に、大いに、あるんですが、
こういう、

「なんか知らんが」

みたいな感覚も、
僕は、大好きです。

ミッセイ

2003-01-08-WED

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