坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第59回 アーユルヴェーダの勉強会

ほぼにちは。

書道お稽古帰りの
ミッセイです。

書道を習ってると

「あっ、なかなか染みる言葉だなぁ。」

と思わず、

「ぽんっ!」

と膝を打つ言葉に、出会うことがあります。

「お手本を気にし過ぎる字はね、
 迷いがあって、スピード感がなくて、
 美しくない。

 ちょっとぐらい、わかんなくても、
 迷わない字のほうが、きれい。」

「字の美しさの、ほとんどは
 “バランス”と“抑揚”ね。」

“字”ってトコを
「人生」「生活」「仕事」
なんかに置き換えて考えると、
染みるなぁ、と。

僕は、すごい優柔不断なんで特に。

ところで、僕が習っている先生は
違う時間に子供も教えてるんですが、
彼らが書く字の「お手本」の言葉って
誰が決めてんだろう?
(僕は一応、大人なので
 “閑身自在身”かんしんじざいのしん
 とか、漢文から引用して書きます。)

部屋に入った途端、

「マンモス」

とか

「軽快な曲」

とかいうのが、書かれた半紙が
ズラーッと無数に並んでいるのを、眺めていると
なんか不思議な世界に迷い込んだ気分になります。
『千と千尋の神隠し』みたいな気分。

「おかーさぁーん、おとぉーさーん!」

とは叫びませんが、さすがに。

最近、松山での
「坊さんの勉強会」に出席してきました。

「坊さんの勉強会」には
大きく分けて2タイプあります。

1つは
坊さんが、坊さんの前で
布教講演とかを実演して
みんなで講評をする、というスタイルです。

もう1つは、違った分野から
講師の先生を招待して、お話をして頂く、
というスタイル。

前者の場合、
どんなに“話の達人”と言われている人でも、
なかなか、うまくいかないことが
多いそうです。

なぜかと言うと、
「坊さん」の話っていうのが、
「坊さん」には、
あまり新鮮ではない時があるからです。

一般の人の前だと、

「みなさん!
 高野山では、修行の前日
 こんな事を言われます。」

という言葉で、ある程度
“つかめる”のですが、

「坊さん」の前だと

「したし修行、オレ。」

とかいう風になってしまいがちなんです。
難しいね。

今回は、後者のパターンでした。

インドに古来から伝わる伝統医学
「アーユルヴェーダ」の専門家の
インド人の方が講師です。

通訳を務めるのはその方の、夫人で
日本人で唯一のアーユルヴェーダ医師という
豪華な布陣でした。

内容は
先生がとにかく
エネルギッシュで

「たしかに、元気になるかも!」

と思わせるには十分な迫力でした。
仏教の考え方にも通じる所が、
いくつもあり、
講義の後の、質疑応答(質問コーナー)では
さかんに、手が挙がりました。

「あなたは、“体の汚れ”について
 中心に話しましたが、
 “心の汚れ”についてどんな考えを、
 持っていますか?」

「タントリズムの強い影響を感じる。
 あなた自身も、そう思いますか?」

などなど。

僕も質問してみましたよ。

「あなたは話の中で、
 “輪廻”(りんね、生あるものが生死を繰り返すこと。)
 という言葉を何度も使われました。

 私自身、僧侶として信者、檀家さんの前で
 この言葉を、使用することがあります。
 
 しかし、その様な事が“実際に”存在することを、
 “推測”というか“予感”のような
 感情はあるのですが、絶対的な確信を
 持ってるかと問われると、
 そうとは、言い切れません。

 しかし、あなたは確信していると
 私には、感じ取れました。

 それは、生まれた時からの感覚ですか?

 それとも
 アーユルヴェーダを学ぶにしたがっての、
 確信なのですか?」

この質問に先生は、

体験、推測、理論、“覚者の知恵への信頼”
という4つの側面から丁寧に答えて下さいました。

僕は、これからの社会で宗教を語る上で
最後の「覚者の知恵への信頼」というのは、
繊細で重要な言葉だと思います。

この考え方は、密教でも
本当に重要な要素とされます。
“師への絶対的な帰依”です。

僕達は、宗教にまつわる
たくさんの大きな事件を
観てきたよね。

そして、そのほとんどが、

「覚者(と感じてしまった人)
 への絶対的な信頼」

からの事件だと僕は思います。

だから、僕は、誤解を恐れずに言えば

「覚者、師への信頼と疑問の目」

「覚者、師へのフラットな感情」

のような感覚が“常識的な立場”として
求められるんじゃないかな。
と思います、強く。

これは、その場では、言えなかった。
言えばよかったかな?

この後の、食事の時に

「とてもうれしい質問だった、と言っておりました。」

と夫人を通して伝えられました。

この勉強会の入り口前には2つのブースがあって
1つは、アーユルヴェーダ関連の著作を
販売してました。

これは普通です。

もういっこのブースでは
地元のコンピュータ関係の会社が
「檀家管理ソフト」のデモンストレーションを
パソコンを使って行ってました。
88,000円(税別)!

「アクセスとかで簡単に作れそうですよね?」

と作れないくせに、エラソーに話しかけると、

「そうです。アクセスで作りました。」(無表情)

ということでした。


「四国初。」



「シンプルな操作性。」

が最大のウリということです。


ミッセイ

2002-06-09-SUN

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