坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第56回 じいちゃんの墓ができた。

ほぼにちは。

密成です。

みんなも、ヒマな時に限って

「今日の夜は、読む本ないなぁ。
 買ったばっかの雑誌もないし、
 今日の、“ほぼ日”はとっくに全部読んじまった。」

ってこと結構あると思います。

そうでしょ?

僕は最近なかなか、いい方法みつけましたよ。

それは、ズバリ「ほぼ日ストック漁り」です。

僕のお薦めは
アップルの原田社長とイトイさんの対談とか
鳥越さんとイトイさんの対談、
メリー木村さんの
『どうせだったら、
 広告の勉強もしてやれ!』

なんかです。
はっきり言って
これは相当、楽しいですよ。

一気に読める楽しさもありますしね。

ところでこの連載でも
一度お話しした「じいちゃんのお墓」完成しました!

でも、厳密には
「じいちゃんのお墓」ではなくて、
「白川家のお墓」になりました。

これは、最近の時代特有の流れです。
明治時代までは、
多くの、坊さんは結婚しなかったから、
個人のお墓をお寺に作ったんです。

今は個人のお墓を作る坊さんと、
家族のお墓(いわゆる累代墓)
を作る坊さんと両方います。
“夫婦二人だけ”というパターンもあります。

僕は最初、

「じいちゃんと、ばあちゃんが
 入るお墓を作ろう。」

と、提案しました。

でも栄福寺の歴代住職の
お墓は地域の墓地にあって、
(お寺の敷地ではなくて)
あと1つぐらいしか、お墓を配置する
スペースがないんです。
つまり、そこに個人墓を作ると

僕の場所がないんです。

24歳でそんな事
考えるとは、思わなかった。
僕の後の人も困るよね。

というわけで、

「それなら、いっそのこと
 歴代住職の墓を全部
 お寺の敷地内に移動させて、
 その並びに、じいちゃんの
 お墓を作ればいいじゃない。」

と再び提案しました。
お墓の移動って言うのは、
結構ある話で、
僕も何度か檀家さんの
お墓の移動に立ち会ったことがあります。
(移築作法というのがある。)
昔は土葬なので、骨をスコップで掘って
探していました。

でも、それも、よろしくないようです。

なんでかと言うと、
歴代住職はみんな、
血の繋がった人達ではありません。
そういう人達のお墓を
勝手に移動するのは、
やはり抵抗がある、ということでした。
僕にとっては、親戚以上に“近い人達”
という実感はありますが。

「お墓を、移動させるっていうのも、
 そもそも、あんまり、好きじゃない。」

というばあちゃんの話は、
確かによっぽどの事情がないとそうだよなぁ、
と納得しました。

そういうわけで
結局、今までの歴代住職と同じ場所に
「白川家のお墓」を作ることになりました。
てことは、極めて高い可能性で
僕も入るって事です。

ところで、お墓のことで相談にのって
下さっていた、お坊さんは
「・・・の“墓”」って書いてある
お墓が好きじゃないそうです。

「どうしてですか?」

「だって、“墓”って書かなくても
 見れば、わかるもん。」

ははは。そう言われれば、そうですね。

五輪塔の部分はインドの石でやることに
なったのは、以前書いた通りです。

「土台の石は “みがき”(ピカピカ)
 でしますね?」

と業者さんから言われました。
僕はとにかく、
ゴテゴテした感じにしたくなかったし
車のツートンカラーっていうのが、
昔から嫌いというイメージもあって
(Smartのツートンはいいと思う。)

「五輪塔と、同じ仕上げ方法でお願いします。」

とお願いしました。

最近やっと、業者さんに
自分の意見を言えるようになりました。

「わかりません。どういう意味ですか?それ。」

っていう一言も、なかなか、言えなかったんだよなぁ。
ただ、当たり前ですが業者さんのほうが
経験があるので、

「どうして、そういう方法を選択するんですか?
 
 1、それなら、そういう方向性(なり機能性・美しさ)
 は求めていないので、そうしないでください。

 2、あっ、そういうことか!なるほどなぁ。
 すいません。その線でお願いします。」

という手順は踏まないと、
とは注意してます。

というわけで
いよいよ、
引き渡しの日が来ました。

なかなかどっしりした、
優しい感じのお墓ができたと思います。



偶然ですが
五輪塔のインドの石を支える土台は
日本の地元の石「大島石」で
その回りの地面の石は
中国の石を使用しているということでした。

仏教の「三国伝来」が図らずも
完成しています。

お骨を入れるのは、
土台のサイドの部分から、
カギを使って、開けます。



「コレは当社の特許です。」

「あぁ、カギがですか?」

「いいえ、石のユニット式で
 組み立てるのが。」

らしいです。

みなさんも、生きている内に
自分のお墓を考えてはどうですか?

自分の死生観・美意識と
向き合わざるを得ないからね。

いいと思うよ。

ミッセイ

2002-05-19-SUN

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