坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第29回 パソコン、ドロレス、社長の息子。

ほぼにちは。

密成です。

「お坊さんの修行って、やっぱお寺の息子ばっかりなの?」
という質問をよくされます。
そんなことないですよ。
僕が加行(けぎょう)をした時は、
だいたい2、3割ぐらいは一般の家庭の人達でした。

「お寺組」「一般家庭組」みたいな派閥もなく
ケッコウ仲良くがんばってました。

でも、まぁ若い男の子が
100日間拘束されて1つ屋根の下、暮らすんだから
いろーんな、涙、友情、争いが発生します。

「青春強制発生装置」かもしれない。
「恋」を除いたね。

しかし、行者仲間の中では
一般家庭に育った、
いわゆる“在家”(ざいけ)の人達の方が
「キャラクター」の強い人が多かった気がします。

まず、よく憶えているのが
「パソコンマニア氏」

だいたい僕という人間は
なんに対しても興味が“広く浅く”という人なので
どんな話でも何となく合わせてしまうんです。
だからみんなが、あまり近づかない
タイプの人ともよく話しました。

「パソコンマニア氏」は
ゲーム業界を辞めた後
コンビニのシステム構築を手がけていたそうです。

「マニア氏!開発が噂されている、新しい
 Mac OSは期待していいんですか?」

「(スティーブ)ジョブスが戻ってきて
 ネクスト・ステップ ベースになるなら
 期待していいんじゃないですか?
 それより、白川さん
 Be OSってイモですよね。」

「???」

どうして、この人が修行を始めたか?

僕も聞いてみましたが、
「家の庭に何故だか不動明王の像があって
 それを代々、拝んでいるから」
みたいな理由だったと思います。

あと
「風呂に入らない人」という人もいました。

僕はその人と同部屋だったので先輩に
「白川君が言ってよ。入れって。臭いやん。」
と言われ
「ちなみに、何日ぐらい入ってないんですか?」
と、まず、聞いてみました。

すると
「それを、言うと白川さんは
 私を嫌いになるので聞かない方がいいですよ。」
ということでしたので、聞きませんでした。

この人は、アルフィーの大ファンで
テレビでアルフィーを初めて観た時
“体中に衝撃が走って動けなくなった”
そうです。

アルフィーの人達は、なんとなく
キレイ好きそうな気がしますが。

あと「ドロレスおじさん」という人もいました。
何人か“若くない人”もいるんです。
この人の趣味は
「外国人の女性がドロの中でプロレスをするのを
 観ながら一杯やる。」
というものらしく
「そんなシュチエーションは存在するのか?」
というのが一部で話題になりました。
この人は印刷工を休職して高野山に来たそうです。

業(ごう)が深そうですね。

他にも社長の息子で
親、会社幹部、社員がいっぱい
見送りに来てた人とかもいました。

この人は「はく」が欲しかった。
というすごい理由で入門したことを
こっそり教えてくれました。

こんな風に書くと
変人集団みたいですが
それ以外の人達は普通でしたよ。

そういえば
加行には長〜い生活規則があるんですが
その中の1つに
「流行歌を歌ってはならない。」
というのがありました。
じゃあ、なにを歌っていいのか?

お経ですよ。諸君!!

ミッセイ

2002-02-15-FRI

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