坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第17回 一金 こんにゃく

ほぼにちは。

密成です。

今日、納屋を父が掃除していたら

昭和20年代の
「栄福寺梵鐘奉納同志会」
という組織が、作った
「寄付帳」が出てきました。

つまり
栄福寺に梵鐘(“ぼんしょう”つりがねのこと)を
建立しようという運動がこの時期に
あったんですね。

戦争に梵鐘を提供したので
この時、栄福寺には梵鐘がなかったんです。
僕は、こういう“微妙に古い物”
をみるのが、大好きなんです。

定番だけど
この前、畳を変えたとき

出てきた古新聞は
僕が生まれた昭和52年の日付でした。

「巨人 新人 西本投手 リリーフエースだ!」
 〜王の教育が効いた!!〜

なんてのが、踊ってたら
そりゃあ、読みふけるよね。

後、当時の福田首相の国会での演説内容が
載ってたんだけど、その内容のほとんどが

「景気回復と構造改革」

なんだ。

ははは。

寄付帳の話。

寄付帳というのは
だいたい名簿みたいになってて
金額と名前、住所なんかを書いていくわけです。

「昔の人はどのぐらい寄付するのが
 スタンダードだったんかなぁ。」

という好奇心で一枚目を開いたんだけど

ぶったまげたよ、弟子 ミッセイ!!

順番に書くよ

「くず、こんにゃく、大根、さといも、
 砂糖、とっくり(!)、茶、夏柑、
 酢、肴、貝、レンコン、煙草・・・」

すごいねぇ、全部食べ物。

あっ!

ここまで書いて、思ったけど

これってもしかして、
世話人達が打ち上げに宴会をしたときの
「買い物」リストかもしれない。

これが使途不明金にならないように
しっかり「寄付帳」につけておいたのかもね。

とくに「肴」「とっくり」ってのは、怪しいね。

「こんな物まで寄進してくださって
 昔の人の信仰が偲ばれます」

って結ぶと、きれいなんだけど。

どっちにしても、おもしいろいね。

それと、一緒に昔の雑記帳も出てきたんだけど
これも、ずーっと読んでしまいました。

「下の、くど(かまどのことだね、たぶん)
 にかけてある御飯とジャガイモを炊いて置く事。
 フロを少し水を入れてたいて置ケ
 ヒヨコ、ニワトリ、ウシニ、
 エサヲ ヤッテ シマッテオケ」

昔の住職の小僧さんへの置き手紙がな。

小僧さんも大変そうですね。

僕は、新しいことにもチャレンジしたいけど

こういう“ちょっと古い物”が
プレゼントしてくれる
“ほっこり感”が好きです。

だから、今ある彫刻、お堂なんかも、新築よりも
みんなが見られる形で
(ネットを彫刻に張り巡らせて
 “防虫”することは僕はしない。)

修復、保存していくという方針です。

平安時代の国宝を観るよりも

場合によっては

何十年か前の
「宴会お買い物リスト」を眺める方が

僕は好きです。

なんかが、体に染み込んで来るんだよね。

実感として。

生きることが少し、楽に考えられるようになります。

昔は貧乏だった!

今のほうが、マシ、マシ!!

って話じゃないよ。

まぁ、なんとなく、

ね。

ミッセイ

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2002-01-18-FRI

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