坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第7回 高野山、停電の夜

ほぼにちは。

ミッセイでござんす。

今宵、あなたと高野山で実際におこった、不思議な話を。

高野山はとても停電の多い町です。

ほんで
普通の町の停電とはちょっと違うんですね。

なんていうか
町全体がシステム ダウンしてしまうんです。

僕は停電になった時「上野屋」という
おっきいオムライスが自慢(けどケチャップがすっぱい)
の食堂のカウンターでオムライスを食べてました。
店にお客さんは僕一人。

「あっ、停電や」(おばちゃん)
「そうですね、まいったなぁ」(僕)

「ほんなら、食べ終わるまで、おばちゃん
 懐中電気で、照らしといたるわ。」

「いやっ、いいですって、見えます、見えますぅ。」
「まぁー、遠慮せんで、ええがなぁ」

というわけで
僕は食べ終わるまでずっと、
おばちゃんにオムライスを照らしてもらってました。

まずかったか?
それとも、おいしいかって?

味なんか、わかるわけないよ!!

なんとか全部、食べきって
(残しにくい雰囲気だった)
正面にあるココストアというコンビニ
(あるんです、一軒だけ)
に明かりを求めて行こうとしたら
そこも、電気が消えている。

おいおい、コンビニもかよ!たのむぜ、
街のホット ステーション!
(ローソンじゃないけど)
と思いながら一応のぞいてみると
入り口に店員が待ちかまえていて
「どうぞー、これ使ってください」
と、ここでも懐中電気を渡されました。

中にはお客さんが結構いて
平然と商品を選んでいます。

真っ暗のコンビニって、ちょっとシュールでしたよ。
村上春樹さんの
「パン屋再襲撃」を思い出しました。
たしか、あれはマクドナルドでしたっけ。

その光で「マガジン」
を立ち読みしている猛者までいる!

で、買えるのか?と思ってレジを見てみると
店員が、がんばって電卓を叩いていました。

帰り道も、もちろん家でもその日は
ずっと、真っ暗でした。

そんな日はどうするかって?

星を眺めるに決まってるじゃないか。

ウソ、めんどくさいので、寝ました。

でも確かに星のきれいな町です。

これから、高野山にお住まいになる予定の
ご子息をお持ちの住職の皆々様
どうか、かわいい、おぼっちゃんの
ボストンバックには
ロウソクをこっそり、入れてあげてくださいな。

息子の、あなたを見る目が
「人生の先輩」
に変わりますこと、請け合いでござる。

弟子 密成 敬白(うやまって もうすぅー)

2001-12-18-TUE

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