本屋さんからの提案で、本屋さんどうしの協力で開催された
「青山分校! 神田出張所」。
それだけでもじゅうぶんすてきなニュースなのに、
このイベントに賛同してくださったみなさんが、
「本」について、「本屋」について
ざっくばらんに語りあってくれました。
大きな書店ばかりなのに、みなさん、ほとんど初対面。
こんなことって、じつは今まで、そんなになかった!?
話を聞いたのは言い出しっぺの、糸井重里。
そんなミーティングのようすを
全4回で、お届けします。


三省堂書店神田本店 1Fチーフ
秋山弘毅さん

今回の「青山分校! 神田出張所」を
書店の枠を超えてやろうと提案してくれた秋山さん。
神田本店での大規模な「ほぼ日フェア」も
展開してくださいました。

紀伊國屋書店 総合仕入部 
鈴木隆さん
『三位一体モデル』のベースとなった
青山分校の「第0講」にも参加した鈴木さん。
紀伊國屋書店という最大手の書店で
バイイングのお仕事を担当されています。

青山ブックセンター本店 
小川紘枝さん
秋葉直哉さん
糸井事務所からいちばん近い本屋さんからは
アルバイトでありながら
仕入れの担当をされている小川さん、
人文書の棚を担当されている秋葉さんが参加。
ブックファースト渋谷店 元4Fチーフ
現自由が丘店店長
広野陽子さん
以前、「人文書のプロ」として
この連載にもご登場いただいた広野さん。
渋谷店での中沢先生の『芸術人類学』の
大々的なフェアの仕掛人。
丸善 書籍企画部
知念佐智子さん
書店店頭でのさまざまな企画の
立案・運営にたずさわる知念さん。
『三位一体モデル』に興味を持って下さり、
丸の内本店では人文書ランクで第1位を記録。
リブロ池袋本店 イルムス館マネージャー
矢部潤子さん
よしもとばななさんの著書の
日本でも有数の販売冊数をほこる
リブロ池袋店の矢部さん。
『三位一体モデル』は人文書のコーナーで展開。





ハードカバーの本が売れていくのって、 見ていてワクワクしてくるんですよ。


糸井 これまでのお話から、
『三位一体モデル』を育てていくというか、
僕らがやるべきことは
まだまだありそうだ、と思うんです。
矢部 そうですね。
これからさらに、
物語性みたいなものをつくりこめる、
さらに多くの人に
広められる銘柄なんじゃないかと思います。
糸井 紀伊國屋さんなんかは、いかがですか?
鈴木 私、『三位一体モデル』のもととなった
「青山分校! 第0講」を
実際に聴かせていただいたんですけれど、
「価値の増殖」みたいなお話が
すごく腑に落ちたというか、納得できたんですね。
講義のあと、すがすがしい気持ちになって
青山から恵比寿の勤務先まで
歩いて帰ってしまったくらい(笑)。

糸井 わかります、わかります(笑)。
鈴木 で、この本のいちばんの意味というのは、
そんな中沢先生の思考モデルが
東京糸井重里事務所という器で出た、
ということなんだろうと思っています。

いろんなビジネスや広告などの問題に
あてはめて考えてみよう、
世のなかを、基本的なところから
見つめなおしてみようという内容の本が、
みすず書房でもなく、講談社でもなく、
ぜんぜんアカデミックじゃない出版社から
出版されたというのが、おもしろいと思って。

ですから、うちとしても
もっと売っていきたい本ですよ。
糸井 まさしく、そうした考えで、
僕らも一生懸命つくったんです。

ビジネスマンのみなさんが読む、
ということを想定した場合、
丸善さんなんかでは、どうでしょう?
知念 最初にゲラを見せていただいたときに、
これはとうぜん、中沢先生のファンのかたに
人文書の棚で受け入れられる本だろうと
思ったんですけど、
同時に、ビジネス書のハウツー本に
ちょっと飽きてしまったようなかたに、
ぜひ読んでいただきたいと思いました。

糸井 つまり、大げさにいえば生きかたの本。
もうちょっと小さいレベルでいっても、
「戦術」じゃなく「戦略」の本ですよね。

より楽しく、より生き生きと
生きるためのノウハウだと思うので、
この本がもっと売れるような時代になったら‥‥。
つまり、たとえば、つぎつぎと
目先だけ変わっていくようなビジネス書よりも、
『論語』や『十八史略』を読んでみるか、
なんて時代になったら楽しそうだな、って思うんです。
広野 ブックファーストは、いくつか
チェーン展開していますが、
もう渋谷店でダントツ売れてるんですね。
糸井 それは、あなたのせいですね(笑)。
広野 いやいや(笑)、
渋谷のことも書かれていた『アースダイバー』が
渋谷店ですごく売れた、
ということもありますよね。

それに、お手頃な価格の
ハードカバーじゃないですか、
この『三位一体モデル』って。

そうした本のつくりといい、
もちろん内容もそうですけれど、
この本、ジワジワ来ると思います。

糸井 ジワジワと。
広野 それは、逆に言うと
ロングセラーになりうる本、
ということだと思うんです。
糸井 そういう本になっていくために、
出版社としての僕らが
お手伝いできそうなことって、ありますか?
矢部 今、この本のことを知らない人に
知ってもらうようなことですよね。

それはPOPなのか、帯の付け替えなのか、
あるいはもっと大掛かりなことなのか
わかりませんけど、背中を押すようなことが‥‥。
糸井 もうちょっと、
本から遠い人のところまで
入り口を広げていく、ということですね。
矢部 いま、表紙をパッと見ただけで
内容のわかる本が売れている、
ということもありますし。
広野 そうなんですよね。
わかりやすい本のほうが、たしかに。
糸井 『憲法九条を世界遺産に』。
広野 わかりやすいです、中身まで。
矢部 でも、わかりにくいからこそ、
まだ潜在的なお客さまの層がある、
ということもできると思うんです。
ですから、この『三位一体モデル』を
つぎはそこにいる人に、届けられたら。
鈴木 「第0講」の授業って
そこで聞いていたみなさんが、
本当に熱心な雰囲気で、
これは素晴らしいな、と思ったんです。

そのほとんどが
社会人のかただったと思います。
ですから、40代、50代から、
第一線からは引退した人にまで
きちんとリーチするような、
そんなふうになっていったら
おもしろいと思いますよ、この本。

広野 若い人たちにも
読んでもらいたいですね。
糸井 そうですよね。
若い人たちにも読めるように
できているはずですしね。
広野 理論社の『よりみちパン!セ』シリーズみたいに
装丁とかの良さも含めて、
プレゼント的な押しかたもできそうですよね。

誰かに贈ってもらったら、
きっと嬉しい本だと思いますよ。
中沢さんのことを知らないかたが読んでも、
おもしろく読める内容ですしね。
糸井 書店さんが、こういうふうに
いろいろ言ってくれることで
自信もつきますし、
まだまだやれることも、
きっとたくさんあるんだなと感じます。
鈴木 やはり、今の出版業界には、
作り手側が本気でつくっているものが
そんなに多くなかったりすると思うんです。

私たち売る側の人間は本気ですから
やはり、本気な商品で
ビジネスをしたいというのがあるので、
その意味で、
糸井事務所さんは素人っぽいからこそ‥‥。
糸井 うち、本気です(笑)。

広野 それは、すごく伝わってきますよ。
鈴木 うん、それがわかるから、
こちらも本気で、
きちんとやりたいなと思うんです。
糸井 それは、本当に嬉しいですよね。
みなさんからの「本気」という言葉を
しっかり受け止めたいと思います。

そして、書店さんに
飽きずにおもしろがってもらえるように、
「本気」が持続していく関係を
つくれるように頑張りますので、
これからもよろしくお願いいたします。

本日は、ありがとうございました。

<おわります>


2007-01-12-FRI