自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

自転車=自転車の交通事故

こんにちは。

毎日自転車で走っていると、
どうしても聞いてしまう交通事故の話。
僕も、実は3ヶ月前に事故を起こしてしまいました。
それも、自転車対自転車の事故です。
ようやく保険の問題も片付き、
事故の整理もついたので、ここで書きたいと思います。

1月末の朝、事故は起きました。
時間は朝8時くらい、出勤の途中のことです。
僕は家を出て、駅前の商店街を抜けて
いつも通勤路で使う路地に入ろうとしました。
駅前商店街の道は2車線あるのですが、
ちらほらとトラックなどの駐車車両があるので、
場所によっては1車線になっていました。

日常的に自転車を利用している人であれば
理解してもらえると思うのですが、
僕は、比較的空いている車道を走る時に、
道の左端から、1メートルくらい車線中央よりを走ります。
それは、後方から一気に抜こうとするクルマに対して、
「自転車がいるよ」ということをアピールするためです。
こうすると、クルマの側も一気には抜きづらいので、
お互いのタイミングを合わせた上で
クルマを先に行かせることができます。

つまり、僕は左側の車線の中央寄りを走っていて、
その状態からスピードを落として路地に入ろうとしたのです。
といっても、出していたスピードは20〜25キロくらい。
ママチャリだって、少し調子に乗れば出せる速さでした。
路地の手前、3メートルくらいで減速して、右後方を確認。
後ろから来るクルマからの追突を気にしたわけです。
“右”後方は安全、しかし“左”後方の確認は甘かった。
曲がろうとした瞬間、その左後方から事故は起きました。

僕が曲がろうとして、方向を変えたその瞬間、
左後方から僕を抜こうとした自転車と並んでしまいました。
間隔はまったくなく、僕の左肩との相手の右肩が軽く接触。
減速していた僕はすぐさま停止できましたが、
相手はバランスを崩し転倒してしまいました。
転倒時に頭から倒れこんだ相手を見て、
これは大事になったと感じました。
実際の接触は軽いものでしたが、相手の被害は大きかった。
これはちゃんと警察を入れて、救急車を呼ばないとまずい。

もちろん、僕と同様に相手も出勤途中です。
無理矢理自転車を起こして行こうとするのを、
何とか思いとどまってもらいます。
相手が若い男性ということもあって、
空気はかなり険悪なものでした。
しばらく押し問答をした上で、
警察を入れることを納得してもらいました。
パトカーと救急車が来るほんの数分間に、
お互い会社に連絡を入れて事故のことを伝えます。
いやなものです。

救急車がやってきて、事故相手を収容します。
ほぼ同時に自転車でやってきた警官に簡単な聴取を受けます。
相手は救急車の中、僕は外で。
数分後に救急車は病院に向かっていきました。
その後、事故調査担当の警察官が何人もやってきて、
僕は実況検分を受けました。
その間、多少なりとも交通は規制されてしまいます。
つまり、事故相手以外の人にも迷惑をかけているわけです。
歩いている人たちの視線も刺さりました。

検分が終了すると、
最寄の警察署まで行かなくてはいけません。
自転車で事故して、その自転車に乗って警察署に行くのは、
やっぱり気が乗らないものです。
しかし、バスや電車だとかなり時間がかかるので、
何とか気を取り直して自転車に乗り、向かいます。

警察署に着いて、交通事故担当の部署に入ります。
事情聴取の準備をするまで、しばらく廊下で待機です。
上の階には署の剣道場があるらしく、
甲高い掛け声が響き渡っていました。
何人もの警察官が行き交います。
みんな、ごく普通の会話をしていました。
僕にとっては、非日常というか緊急事態のこの空間も、
警察の人にとっては、当然ながら日常の職場です。
その感覚の違いが、強い孤独感となって染みます。
気を紛らわそうと、廊下の壁に貼ってある掲示板を見ると、
さまざまな行方不明者が貼りだされていました。
登山に行って帰らない人、
痴呆によって徘徊を続けた挙句、行方不明になった老人。
紙に印刷された行方不明者の顔写真は、
どれもピンぼけしていて不鮮明で、かえって怖い。

自分の番が来て、事情聴取を受けます。
部屋に入って、警察官のデスクがたくさんある中を抜けると、
そこには取調室がありました。
中に入って、事故調査担当の警官から正式な聴取を受けます。
なぜか右側の壁、ちょうど椅子に座った僕の腰付近に、
エアコンの吸排気口用の穴がポッカリと空いていて、
そこから1月の冷気が容赦なく入り込んできていました。

続きます。

Ride Safe!

2002-04-21-SUN

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