有吉が、 窓から風を 入れましょう。 有吉弘行+糸井重里

第2回 「オレじゃない」と思う。
糸井 売れてるときって、収録中に
その場を仕切ってもいいという権利が
きっと、あるでしょう?
だけど、そうでもないときには、
ここはオレが仕切っちゃいけないんだ、
ということになりますよね。
有吉 はい。仕切っちゃいけないと思います。
気付いたことも
発言しちゃいけないと思うんです。
糸井 そうなんですよね、きっと。
有吉 はい。
はい。
(強くうなずく)
糸井 うーん‥‥。
有吉 ‥‥「オレじゃない」って
思うんですよね。
糸井 うん。
あのね、じつはぼくはもう
あんまりテレビに出ないんですよ。
テレビに出て、言うことが
もうないんです。
有吉 (笑)そんな。
糸井 つまり、いまみたいなこういう場所で、
「発言していいよ」と言われて
しゃべるのはいいんだけどもね。
有吉 ええ。
糸井 オレがわざわざしゃべる意味もないし、
発言する人が順番を待ってるのに
オレみたいなもんが出て行って
何かを言って
聞いてもらったら聞いてもらったで
申し訳ないし、
という気持ちになって。
有吉 はい、はい。
糸井 だから、
「自分の中でテレビが終わったんだ」
と思うに至りました。
有吉 ぼくはいまだにそうですが、
誰かがおもしろい話をしてると、
「ちゃちゃ」が入れられないんです。
糸井 うん、うん。
有吉 きっとオチがあって、
それについてのみんなのチームワークが
あるんだろうから、
ぼくは‥‥、と思って
ついつい引いちゃうんです。
だから、この世界にはあんまり
向いてないと思います。
糸井 だけど、ノリノリのときは
オッケーなわけでしょ?
みんなが、
「有吉が何言うかな?」と
待っててくれるんだったら、言うことができる。
有吉 ええ。
糸井 有吉さんはいま、
そのあたり、揺れてますよね。
有吉 揺れてます(笑)。
すごく揺れてます。
糸井 おもしろいねぇ。
でも、ほとんどの芸人さんは
仕切っていいなんていう権利は
なかなか与えられないわけです。
有吉 はい。
糸井 トーク番組で
ひな壇に座るとたいへんですよね。
何というか、あれは
縄張り争いみたいなものがあるんですか?
有吉 そうなんですよねぇ、
結局、肉食のやつが仕切ってて‥‥。
ぼくら、ホントに草食なので、
入っていけないんですよ。
やっぱり、天下取れないな、と思います(笑)。
糸井 うん、うん。
有吉 ほんっとに、
底抜けに明るい人とか、ね?
糸井 うーん、うんうん(笑)。
有吉 ぜんぜんおもしろくないけど
お客が異様に笑う人とか、ね、
いるんですよ。
糸井 わかる、わかる。
あれは不思議だけど、そうだよね。
有吉 そうするとやっぱり、
ぼくなんかは
ふてくされちゃいます。
糸井 そういう人が、
「赤上げて!」って言うだけで
みんなが笑うよね。
有吉 はい。
こっちはもう、
「なんだよ!」って思っちゃって。
糸井 うーん。
有吉 自分が話に入っていけないだけなのに、
「客がバカだ」という言い訳で
逃げちゃうんです。
糸井 おそらく、ダメな時期というのは、
そのあたりの悪循環があるわけですよね。
有吉 はい。そのとおりです。
糸井 そういうことがあったときも、
上島竜兵さんに
思いをぶつけるんですか?
有吉 はい。
あんな聞き上手、いないです。
糸井 うん(笑)、存在として、
上島さんは天才ですよね。

(続きます)

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2009-11-10-TUE