みんなで行った、 阿寒きのこの森。

10 食べ足れるきのこ、どこだ〜。

「きのこ狩り」ということで、
食べられるきのこを探してわれわれは、
湿り気のある森を歩いてゆきます。
きのこはたーくさんあるのだけれど、
美味しいのとの出会いは、なかなかむつかしいなー。

 






ハイビジョンの
ドキュメンタリーか!
 

阿寒の森は、どこをみても
人工物はうつっていなくて、
緑は密で、折しもの雨で
ぬらぬらと光っていて、
なにに似てるんだとおもったら、
ハイビジョンでみる
ドキュメンタリー映像ですよ。

カメラはどこへ向けても
いやんなっちゃうほど
絵になっちゃうし、
人間がうつりこんだとしても、
その美しい光景が歪むようなこともなし。

雨に感謝。

実は今回、
ぼくらはとてもラッキーでした。
阿寒湖周辺では、
ぼくらが行く数日前まで
雨が降らない日が
続いていたのだそうです。
この森に、湿り気がなかったら‥‥。

「そうですね、乾燥していたら
 ここまでいい感じの森は
 体験できなかったと思います」
と、新井さん。
それどころか、雨が降らないと、
そもそも「きのこが出てこない」そうで!
あー、よかった。
今回ばかりは、雨に感謝。




ちいさい倒木。  

倒木だって、
大きいものばかりじゃありません。
小さいのもあります。
かわいい。

ほら、水槽の中にしか見えない‥‥。

アクアリウム。

ほんとだー。
水槽だねー、これは。
新井さんとイトイさんは、
赤と青の熱帯魚だ(笑)。




棒っとした。  

相変わらず、棒のことが気になります。

ぼーっとした人は、
なんのためにこの棒を‥‥?

背負いかご in
背負いかご

棒も気になりますが、一枚目の写真、
背負いかごの中に
背負いかごを入れてます。

もし、きのこを見つけた場合、
は、大きい背負いかごから
小さい背負いかごを取り出して
入れるんでしょうか。

あー、なんだろう
このもやもやした気持ちは・・。




いっぱい生えてる系。  

きゃ〜〜〜。
気持ち悪い!
じっくり見ちゃう!
それは、「いっぱい生えてる系」。

倒木の破片にびっしり。
倒木の断面にびっしり。

あじゃじゃー。

あじゃぱぁ!!!
こりゃ、すごい。
膝のお皿の裏に
びっっっっっっっっっっしり、コレ。

きやぁああ〜〜〜〜〜〜〜〜!

食べられる?

こ、これはどうなんだろう?
食べられる? 有毒?
案外こういうのが美味なのでは?
新井さんに質問する前に、
‥‥女性陣が逃げてしまいました。
「たとえ食べられてもムリ!」
ということなのでしょうね‥‥。




ここはどこ?  

これ倒木の上にちろちろ生えてる
小さい苔みたいなやつなんですけど、
こうやって写真で見ると
どこか別の惑星を
空から眺めてるみたい。

こういう景色、
どこかで見たことがあるなぁ。
幽遊白書?
ドラゴンボール?
悟空とフリーザってこういうところで
戦っていたような・・。

新井さん、これなんですか?


コナアカミゴケ
(地衣類)
 

これまた地衣類。
胞子をつくりだす赤い部分が印象的です。

植物が生育していくことが
環境形成に作用して、
時間とともに
その土地の環境が変化していくことを、
植生遷移などと言いますが、
コナアカミゴケは、
その、植生遷移の一番手。
つまり「何もない」土地に
最初に発生する、
森の最初の作り手でもあるわけです。
ブラボー!

ちなみに、古い図鑑などを見ると、
「コアカミゴケ」として
載っていることがありますが、
上述の種類は
日本には生息していないらしく、
今では「コナアカミゴケ」が
正しいとされています。

(写真/新井文彦)


おいしいのを
食べられるだけ。
 

この日のわれわれは、
「採ったきのこを食べる」ことを
すごく楽しみにしていました。
もう、うるさいくらいに、
「食べられるきのこ〜」と
つぶやきながら森を歩いています。

そんなぼくらを
笑顔でたしなめる新井さん。
「さっきから食べられるきのこは
 あるんです。
 でも、わざわざ食べるほど
 おいしいものじゃないんですよ。
 おいしいのを
 食べられるだけ採りましょうね」

写真のキツネタケも、
食べられるきのこなのに、スルー。
なんか、ちょっともったいない?!


キツネタケ  

キツネタケは成長するにつれ、
赤茶色、煉瓦色、茶色、
という感じで、
色がだんだん変わっていきます。

傘も、いわゆる傘の形から、
だんだん平らになっていって、
最後には
反っくり返ってしまったりします。

名前の由来は分かりませんが、
まるで化かすようだから
「狐」タケ?

里山や、管理された公園と、
いわゆる原生林の
大きな違いのひとつは、
倒木のあるなし、かもしれません。
自然の森にとっては
倒木も重要な構成要素。
じっくり観察すると
いろいろな発見がありますよ。

(写真/新井文彦)


食毒不明。  

新井さん、このきのこは?
おいしそうに見えるんですが‥‥。

「ケニクアミタケ」という
名前なんですね。
で? 食べられますか?
‥‥ああー、食毒不明。
了解です。
「疑わしきは食せず!」

ところで、きのこの周囲に
きれいな緑がありますが、
あれは、苔ですか?
え?
「ウグイス苔」という地衣類?
うーん‥‥
苔と地衣類の世界も深そう。


ウグイスゴケ(地衣類)
 

ウグイスゴケなどの地衣類も、
森を歩いていて
よく見かけるのですが、
実際のところ、見慣れてない人が、
地衣類と苔類を見分けるのは、
案外難しいかもしれません。

地衣類は、森で見かけるだけではなく、
街中でも普通に見ることができます。

興味があれば、1冊図鑑を買い込んで、
調べてみてはいかがでしょう?

(写真/新井文彦)






ちいさな秋が。  

倒木の表面に、
ちいさな赤いものが、ぽつり。

新井さんいわく、
「おそらく、ヤマモミジです」

ぼくらが訪れてから数週間後、
阿寒の森は紅葉に包まれたそうです。
写真を拝見しました。
ものすごい美しさです。
ああ‥‥
紅葉のときにも行きたい!


倒木の中身はフカフカ。  

「倒木をみたら、そのには
 きのこが生えている」
ということは大体わかってきました。

じゃあ、その倒木は
菌糸によってどうなってるんだろうなあ
とおもって歩いていたら、
ちょっと、皮がめくれて
中身が見えている倒木がありました。

こんなふうに、木の組織は
もろもろになっていて、
手触りは「フカフカ」した状態です。

ああ、樹木は分解されて、
土に還っていくのだなあと実感しました。

フッカフカ。

気持ちよかったね〜倒木の具。
いちいち触っちゃいましたね。
その、もう、ただのゴミ的に
何の養分も含んでないせつない感じも、
よかったなぁ。
自然は五感で楽しむべし!




朽ち果てる。  

きのこもやがて古くなって
枯れていきます。

茶色くなるんだね〜。
なんか、佃煮みたいになってます。
たぶん、よくみると
虫がいっぱいいるんだと思います。
ちゃんとは見ないようにして
写真をとったはずです。
それぞれの想い。  

森にとっても感動しつつも
なかなか食べられるきのこに
ありつけない一行。

先回りしてカメラを向けてたら、
すれちがいざまにそれぞれの想いを
表現してくれました。




一応、
食べられます。
 

「フジイロタケモドキ
 というきのこです。
 一応、食べられますが‥‥」
と新井さん。
あまりオススメではないものの、
われわれがあんまり
「食べられるきのこ〜」
と言うものだから、
気をつかってくださったのかも?
すみません!
子どもみたいにグズグズ言って!
妥協しないで探します!


何に驚いたのか。  

この写真はさんの
カメラにはいっていたものです。

きのこチームのきのこである
さんは
なににそんなに驚いているのか、
その、白と緑の人物は、
なにを、ぼーっとつったってるのか。
そして、その光景を

さんは、
何故写真におさえたのか。

あの腕が新井さんだとすると、
なにかを説明してくれていて、
それに愕然としているの図とは
想像ができるところだけど、
まったく記憶がありません。

心当たりナシ。

はて? なんでしょうか?
記憶にないです‥‥。




倒木。  

森のあちこちで見かける、倒木。
これは比較的最近、
倒れた木のようです。
すごいなー、根こそぎですね、これも。
「強風でなぎ倒されたのではないか」
と新井さんがおっしゃいました。
ど、どんな強風が‥‥。
こういう壮絶な景色を目にする度に、
森の怖さを思い出します。

ときどき厳粛な気持ちになりながら、
それでもきょろきょろ、
食べられるきのこを探すわれわれです。

(そして、ついに最初の1本が!?
 ひと山迎える、次回へつづきまーす)
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2010-11-29-MON
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN