天久聖一の味写道
味写道・その三

お茶くん、
とっておきのオリビアを披露しようか?
なにニュートンジョンなこと言ってるんですか、
トリビアでしょ?
ふむ。
ライト兄弟は実は五人兄弟だったんじゃ。
へえ、
飛行機を発明した二人の他にまだ三人いたんですね。
思えば気の毒な三人じゃ。
ですね。
いつも人からは
「ライト兄弟じゃない方の兄弟」と呼ばれて。
その度に
「まあ、俺もちょっとは関わったんだけどね」
的なちっちゃい嘘をついて。
移動は意地でも新幹線使ったりして。
裏ではこっそり自分も発明に挑戦したりしてな。
で、考案した「二箇所曲がるストロー」も
採用されず。
そしてすっかり世を拗ねて職にもつかず、
昼の中途半端な時間の回転寿司に入って、
回ってないネタを注文するも声が小さく無視され、
乾いたエビをこぼしながら食べる。
まるっきり師匠じゃないですか。
‥‥先日、ワシの弟が課長に昇進したそうじゃよ。
それでは今週も
課長じゃない方の兄弟とお送りする味写道、
まず一枚目はH・N みなみさんからの作品です。


味写No.484
「虎は…」
H・N みなみさん

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最近よく見掛けるな。
こういうポエムTシャツ(略してポエT)。
しかしなんでしょう。
この読み終わった後に感じる行き場のない憤りは‥‥
「訊いといてそれかい!」
と思わず後頭部を引っぱたきたくなるものの‥‥
後ろ姿から漂う怖面ぶりが、それを阻止させる。
かつて、こんなタチの悪い背中があったじゃろうか?
笑いを堪える身にもなって欲しいものです。
せめて質問部分だけにして欲しかったぞい。
それはそれで苛つきますね。
しかし文字通り「虎の威を借る」ってヤツじゃな。
キツネじゃないだけに始末が悪いです。
お、ワシも思いついたぞ。
ワシは…なぜモテると思う?
モテてないし、もしそう思ってるならノイローゼ。
‥‥。
でもこう客観的に見ると面白いですね。
ポエTの世界。
味写とはちょっと趣向が違うが、
諸君らも面白ポエTをみつけたら
是非送ってくだされ!
それでは次、H・N スマイルボールさんの作品です。


味写No.485
「へい、お待ち!」
H・N スマイルボールさん

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まるで積み上げたソバを運んでいるような。
将来はおソバ屋さんですかね?
なんらかの運搬業じゃろうな。
それにしてもたまらん可愛さですねえ。
しかしこの顔どこかで見たことがあると思ったら、
水木しげる先生が描くこどもにそっくりじゃないか。
あの口が3になってる眠そうなこども。
ピンと来ない方は
「鬼太郎 妹」で検索してくれたまえ。
でもブロック運ぶだけで
こんなにテンション上がるなんて、
こどもって幸せですねえ。
ワシも水のたまった古タイヤに乗ってはしゃいでた、
あの頃に戻りたいわい。
先日もそれで転んで
泥だらけで帰ってきたじゃないですか。
テヘペロ。
それではこのお子様の健やかな成長をお祈りしつつ、
ラストはH・N テキーラさんの作品です。


味写No.486
「メモリーズ・オブ・ジャーニー」
H・N テキーラさん

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写真というよりも、これは絵画じゃな。
ガラスに映り込むシャガール系
味写でもたまに見掛けます。
じゃがこれは完成度が高い!
現在進行形で見てるものが、
すでに回想シーンになってますね。
それだけ老人は
物忘れが激しいということじゃろうか。
叱られますよ。
人生はまるで車窓の景色のごとく、
移ろいやすく儚きものよ。
そんな旅情がストレートに伝わりますね。
これにビリーバンバンの曲を流せば、
即いいちこのCMじゃぞい。
♪まだ君ーにー恋してる
 いままーでよーりもふーかく
この歳で‥‥
♪まだ君をー好きになれーる 心ーかーらー
実際はサッシの汚れが気になってるだけかもしれん。
もう、茶々入れないでください。
あと気になったのは、
橋が後頭部に刺さっていることじゃ。
山と後頭部をつなぐ鉄橋になってますね。
以上、
今週もバラエティに富んだ味わいを堪能したぞい。
味写では食欲の秋にふさわしい
味のある作品を待っております。
現在キープ作品が厳しい状況じゃ。
この連載は他力に掛かっておる。頼んだぞい!
それではみなさま、よい日曜を!(茶柱)
2012-09-09-SUN

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