アジオ、アジコ、アジノモト博士
天久聖一の味写入門

第77回 味写を集めよう!(その63



博士
しかしジダンはマテラッツィ選手に、
何を言われたんじゃろうな。

アジオ
あんな頭突きが飛び出すくらいだからね!
相当ヒドイことだよ!

アジコ
やっぱり、
毛髪関係かしら?

アジオ
ジダンほどの紳士が?
それはないよ。

博士
ではお国に対する侮辱かのう?

アジオ
フランスパンが固いとか。

博士
フランス人形がキモいとか。

アジコ
フランソワーズ・モレシャンって
最近テレビで観ないけど生きてるのか? とか。

博士
よほどのモレシャンファンなら、
傷つくかもしれんが‥‥

アジオ
じゃあ、ミステリー小説の犯人を
先に言っちゃったとか!

アジコ
落語のオチを
先にしゃべっちゃたとか!

博士
ああ!
それはヒドイぞい!

アジオ
ひょっとして
「サンタさんの正体はお父さんだ!」とか!

アジコ
「こりん星なんてない!」とか!

博士
なに! こりん星がないじゃと?!
マテラッツィめ! 許せん!

アジオ
もういいよ!
結局原因はなんだったんだよ!

博士
たしかパーティーでスピーチの順番を
とばされたからじゃなかったっけ?

アジコ
それは野坂昭如が
大島渚を殴った件でしょ!

アジオ
では頭突きの真相はナゾのままに、
今週の味写を発表です!

アジコ
まず一枚目はハンドル・ネーム、
ユウさんからの作品です!

味写No.147「スイカ」
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アジオ
左の赤いパンツのおばさんの
頭に注目して!

アジコ
あ! スイカ!




博士
まさに夏を先取りした
ファッションじゃな。

アジオ
写真の日付は2月だけど。

アジコ
パンツの赤とスイカの赤は
一応コーディネイトなのかしら?

博士
ふむ。
なにか全身からタダの変人にはない
「キレ」を感じるぞい!

アジコ
そうなの。
これだけ奇抜なファッションなのに、
本人が負けてない。

アジオ
堂々としてるよ。
逆にお店の中のお客さんの方が気圧されてる。

博士
まあ食事中にいきなり、
こんなおばさんに覗かれたら
動揺しない方がおかしいがな。

アジオ
ただのチラ見というより、
しっかりと店内を見据えてるね。
このおばさん。

アジコ
なんだか人類を調査中の
宇宙人みたい。

博士
彼女にとっては、頭になにも乗せてない
我々の方がおかしいのじゃよ。

アジコ
それにしても頭のスイカに
意味はあるのかしら?

アジオ
スイカが好物ってことかな?

博士
誕生石っぽい意味があるんじゃないか?
8月生まれはスイカなんじゃよ。

アジコ
単に気づいていないだけだったりして。
スイカが乗ってることに。

アジコ
これは孫のイタズラなんだよ。

博士
いいや。
彼女が確信犯だということは分かっておるぞい!
ここに証拠がある。

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アジオ
この写真は?

博士
選んでいるんじゃよ。
この食品サンプルの中から、
次に頭に乗せるものを!

アジコ
レストランの食品サンプルを、
そんな感覚でながめている人なんて
彼女だけでしょうね。

博士
「さあて、次はなにを乗せようかしら?」
ってな。

アジオ
ああ! ボクも乗せたくなってきた!
ボクはハンバーグ!

アジコ
わたしはフォークが宙に浮いてる
スパゲッティ!

博士
じゃあワシは
刺身の舟盛りじゃ!

アジオ
じゃあ人類の頭上でグルメとファッションが
華麗な融合を果たしたところで次の作品です!

アジコ
お次はハンドル・ネーム、
小堺さんのこの作品です!

味写No.148「ごきげんよう」
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アジコ
お便りによると、朝の赤坂で
出勤中に撮影したものですって。

アジオ
スナックの裏に、
無造作に捨てられていたそうだよ。

博士
なんと諸行無常な光景なんじゃ。

アジコ
投稿者がそのまま会社にいかず、
家に帰りたくなった気持ちが分かるわね。

アジオ
そのまま荒れた日本海でも
見に行きたくなっちゃうね。

博士
モノの一生には、生き物の一生とはまた違った
悲しさがあるな。

アジコ
新品の頃は
さぞもてはやされたでしょうね‥‥

アジオ
スナックの店内を
元気に転がっていたときはね‥‥

博士
ホステスの熱い視線を
浴びながら!

アジオ
自分が見せる「面」に
一喜一憂する酔客たち!

アジコ
常連のタコ社長が音頭をとる!
「恋の話! 略して!」

博士
ミスターレディたちの大合唱!

アジオ
コ・イ・バ・ナ〜〜〜!(ダミ声)

アジコ
店内を包む大爆笑!
正直、天狗になってた時期もあったはずよ。

博士
「オレさえ転がれば、なんとかなるんだよ!」
って。

アジコ
「もっと大事に転がせよ。
 オレがいないと困るのは誰だ?」
って。

アジオ
「お前に恋バナは出してやんねえ!」
とか。

博士
それがいつの間にか
こんなに黒ずんで‥‥

アジコ
形もいびつになっちゃって、
何度やっても「ここだけの話」しか
出なくなって。

アジオ
気がつけば路上のゴミ置き場で
朝日を浴びていたんだね。

博士
悲しいのお。
せめて最後くらいちゃんと
「面」を見せたかったじゃろうな。

アジコ
そうね。
この写真じゃゴミに挟まれて
ちゃんと「面」が見えてないわね。

アジオ
最後は自分のために出したい
「面」があったはずだよ。

博士
なんの「面」じゃ?

アジオ
「はじめて○○した話」さ。
はじめて自分が転がったときのみんなの笑顔を、
ごきげんようサイコロは
思い出してるんじゃないかな‥‥

アジコ
ちょっと!
泣かせないでよ!

博士
ふむ。
諸君たちも古くなったごきげんようサイコロを
捨てるときは、供養のために最後にもう一度
転がしてやってくれたまえ。
では今週はここまでじゃ。
来週も味な世界でお会いしましょうぞ!


アジオ&アジコ
バイちゃ!

2006-07-16-SUN

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