お金をちゃんと考えることから
逃げまわっていたぼくらへ。

第12回 今まで、お金を学ぶ機会がなかったんです。


これから出る本の、立ち読み版を連載してます。
毎日のご愛読を、どうもありがとうございます。

「金のためにやっているんじゃない」
という、日本人特有の
サムライ的な固定観念が
いかにして生まれているか、についての
邱さんの話が前回に展開されたところでした。

今回は、それを受けてのdarlingの感想になりますよ。

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【今まで、お金について学ぶ機会がなかったんです。】

明治以後は三等が二等になり、
二等がグリーン車になるように、
みんながグレードアップして
サムライになりましたから、
日本人の考えかたや感じかたは、
徳川三百年の
総決算みたいなところがありますよ。
糸井 ぼくは、蔵前の
江戸博物館に行ったことがあって、
そこで東京の地層が
断面図で出ているのを見たことがあります。

その時に
すごくおもしろいなあと思ったのは、
地層を見ると大火事の跡が
三つはっきりと出ていることなんです。
三回も丸焼けになっているわけです。

まあ、当時の町人の長屋というのは、
それこそ今の建物からしたら
バラックも同然でしょうから、
焼けてもいいような
デカいカバンの中に住んでいた、
みたいなもんだったでしょうけど……。

「焼けちゃうのがありうるという
 前提から、江戸っ子気質が出てきた」
という説が、
その地層を博物館で見ていると、
みごとにわかったんですよ。

どうせもともとは江戸も、
田舎から出てきた人たちが
何にもなかったところに作った都市で、
お金や経済については
何もわからなかった人たちが、
職人として腕を持ったりして
暮らしてきた土地です。

当然、職人気質なわけだから、
お金がどういうものかというのも、
わかってはいない。

そもそも、
貯めといてもパーになった経験が
何度もあるから、
焼けちゃう前提で生きていたわけでしょう?

だとしたら、初鰹を買っちゃうのも
それは当たり前で、
決して享楽的だから
そうなったんじゃないんですよね。

そうやってお金を使いきる
というかたちでの江戸っ子文化は、
火事が起きてしまう背景から、
当たり前のように生まれたんだろうなあ。

お金を管理する側にまわる
為政者たちはお金について
教育も受けて勉強していただろうけれども、
江戸以後でさえも、庶民の段階では
お金の教育をする必要もなかったし、
別に貯まりもしなかったから、
お金について学ぶチャンスもなかった……。
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※このまま、明日につづきますね。


みなさんからのメールの一部を、
匿名でここに抜粋いたしますね・・・。

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・立ち読み8回目で買うことを決心しました。
 って、遅い?楽しみに待っています。

・お金を考えるにあたっては、幼い頃からの
 親の刷り込みが大きいと思います。
 うちは父親の稼ぎが悪く、母が共稼ぎをして
 家計を支えてきましたが、その母がおとなしく
 内助の功を発揮する人ではありませんでした。
 家では年中、お金がないお金がないと小言をいい、
 それを聞いて育った私は、
 うちはずっとビンボーなのだと信じてきました。
 でも、おとなになって思うのは、実は
 それほどビンボーでは
 なかったのではないかということ。
 もちろん裕福とはほど遠いところにいましたが、
 早いうちに一軒家ももち、
 単に節約が身についてしまった
 家庭なだけなのではないかと……。
 だったら何も問題ないと思うかもしれませんが、
 悲しいのは刷り込みです。

 おとなになった私は、
 お金をつかう度に身をつくような
 罪悪感を抱え込む人間になっていました。
 お金は豊かさや楽しさをを
 手に入れる手段なはずなのに。

・いつも仕事が暇なので、
 「ほぼ日」は隅から隅まで読みに読んでいます。
 おがげ様で寒々しい日常を
 なんとかそれなりに建設的な気持ちで過ごせています。
 さて、最近、やってみたいことがあり、
 普段はお金を欲しがらないタイプの私も、
 とうとうお金を欲しがってみる気になりました。
 ここいらで生活で消費するお金とは違うところで
 ぐりぐりと激しく廻って行ってくれるお金
 「ぐり金」を手に入れたいものです。
 「ぐり金」を得るための方法について
 具体的方策を考えたい私に
 是非とも1冊お願いいたします。

・お金ってところで
 読み飛ばしそうになっていた記事ですが
 立ち読み用ページにちょっと立ち寄ったら・・・
 なんだかかなり自分に大丈夫そうだったので
 申し込みました。よろしくおねがいします。


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みなさん、メールをありがとうございます。


(ほぼ日でメール予約をしています。詳しくは↓へ。)

2001-02-11-SUN

TANUKI
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